2010年04月20日

看板商売で儲けるひと

今日の朝日新聞にも載っていたけれど、ネットでも記事になっていた。

脳ブームに「待った」 学会「根拠示す配慮を」

ストレートに言っちゃうと、金儲けができない学者が金儲けをしちゃった学者の足を引っ張っている現場であって、悔しいんだろうね(笑)。ま、気持ちは分からないではないし、色々と微妙なところを含んでいて、僕としてもスパッと切ってしまうのが難しい事例。

この話を一番難しくしているところは「娯楽商品は害がなくて楽しいことが最重要」ってところ。この「DSというプラットフォームを使っている以上、娯楽なんだよ」って言い切っているところをどう受け止めるかによって、反応が変わってきちゃう。

脳トレで遊んだら、脳トレで出題された問題を解決するスキルは身につくわけで、それが何の役に経つのかは分からないけれど、楽しんで時間が潰れるんだし、まぁ、別にいいのかな、という気もしないでもない。ただ、これを科学の還元と位置づけちゃうとしたら「えええーーーー」という感じではある。

科学が存在しなくても、「頭を使っていれば、なんとなくボケ防止につながりそう」っていうのは感覚的に語れるわけで、それは比較的容易に市民に受け入れられる内容でもある。

要は、それっぽいゲームに川島教授の看板をつけたらバカ売れしちゃった、というだけのこと。

なんか似たような話が最近あったよなー、と思ったら、三菱総合研究所の株式公開だった。三菱総研、かねてから野村総研が上場しているのが羨ましくて羨ましくて羨ましくて、ほとんど悲願みたいになっちゃっていた。でも、シンクタンク業務だけじゃ全然利益が出ないので、上場なんてとてもじゃないけれど無理。そこで考えたのが野村総研よろしく、システム部門を増強すること。これだと比較的簡単に売上が立つ。もともと三菱総研にはシステム部門があったんだけれど、すげぇ能力があった新部さんはサヨウナラして産総研に出ていっちゃったし、なかなか上場の原動力にならない。ということで目を付けたのがグループ会社のダイヤモンドコンピューターサービスという一部上場の会社。この会社、90年代前半に上場、初値は2600円前後。その後3500円ぐらいまでアップしたけれど、最終的には500円前後をうろうろしていた。これが2004年ぐらい。で、この安値の時に三菱銀行(当時の名称が東京三菱銀行だったのか、東京三菱UFJ銀行だったのか、なんだったのかは良く分からないけれど、要は三菱グループの銀行で、三菱総研の大株主)が全株買い取って上場を廃止しちゃった。そして、この会社の株を三菱総研が買い取って(その原資はどうしたんでしょうね?やっぱり三菱銀行からの借金かな?)、連結子会社にした。この会社は中堅のシステム会社だったから、三菱総研本体よりも利益を出している(笑)。ということで、めでたく利益が出るようになった三菱総研は去年、念願だった上場を果たした。

簡単にまとめちゃえば、三菱銀行がダイヤモンドコンピューターサービスを安値で買ってきて、そこに三菱総研の看板をつけて売り出した、ということ。三菱総研の上場時の公募価格は2200円、その後初値で3200円になったんだから、株を持っていた株主はウハウハですね。そのあと材料がなくて、今は1800円ぐらいまで下がっているわけですが、それでもダイヤモンドコンピューターサービスの株価を考えれば3倍以上にはなっている。

川島教授と三菱総研の看板にそこまでのパワーがあるのはまぁ驚きと言えば驚きだけれど、金儲けに成功したのはある意味見事。ダイヤモンドコンピューターサービス社の株を高値で買って持っていた株主は納得いかないと思うし、僕は三菱のやり方はどうかと思うけれど、脳トレはどうなのかなぁ。難しいところですね。

ちょっと記事を引用してコメントすると、

「科学政策が成果主義に傾き、基礎の研究者も、研究費のために多少の『お役立ち』を口にしてしまうのでは」


っていうのはどうなのかな。ゲームとしてなら受け入れるけれど、これを「科学の成果」とするのはちょっと違うと思う。これもやっぱり「科学のようなもの」の範疇だからねぇ。でも、これを成果として受け止めているのかな?文科省は。これを科学の成果だって本気で思っているなら、それはちょっといかがなものかと思うけれど。

一方で、

「『科学的な根拠』がそろうまで待ったら、(成果が)世の中に役立つまでに長い時間がかかる。それまで何も発言しないのは科学のエゴ」


っていうのは、それはそれでどうなのかな、と思う。というか、笑っちゃう。それなら、「科学的な根拠は揃ってないんですが、専門家である私はこう思うんです」って言えば良いだけのこと。そういう風に言ってるのかな?私の脳トレは私が監修しているだけで、科学的な根拠は揃ってはいないんです。でも、それまで待ってらんないから、作っちゃいました、って。

科学をやっている人がゲームを作った、と、こういうことなんだよねぇ。

何しろ、もうちょっと、もうちょっと待ってね。今年の夏ぐらいには形にできるハズだから。こういう状況に一石を投じることができるシステムを。できるんじゃないかな。できたら良いな。たぶん出来ると思う。まぁ、適度に期待して待っていて(笑)。

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