2010年04月27日

久しぶりにTwittterでつぶやいてみたけれど

今日は事業仕分けで理研が取り上げられていた。ということで、元職員として語るべきことがあるかも知れないと思い、活動を無期限休止しているAmidalachanのアカウントで何度かつぶやいてみた。

理研の仕分の内容については、「それを理研に言っても、ちょっと可哀想じゃないの?」という部分もあり、もうちょっと攻める側も守る側もやりようがあったと思うのだけれど、このあたりが限界かな、とも思う。本来なら、政治家の仕事はもっと上の方の、「科学技術予算は30%減額に決めました。それに合わせて役所で調整してください」みたいな部分のはずなんだけれど、何故か今の日本ではボトムの部分を役人以上に素人の政治家がやっているので、どうしてもトンチンカンになっちゃう。しかし、今までは何もやってなかったのだから、まずはどんどんやってみれば良い。多分、すぐにパンクする。「こんなこと、政治家がやっている場合じゃない」って気が付くはず。それも、そんなに遠くない将来に。だから、今は政治家の皆さんが死にそうになりながら勉強しているのをちょっと遠巻きに見ておこうと思っている。

しかし、ついでに関連のつぶやきを見ていて思ったのは、研究者は「自分たちが使っているお金が税金である」ということを基本的に理解していないし、理解しようともしていないってこと。これまでは文科省が自らの組織拡大の目的で財務省からお金を取ってきてくれていたわけで、研究者にとってはお金は天から降ってくるものだったのかも知れない。だから、それが税金だってことをわかってなかったんだろうね。そして、今もほとんどの研究者がわかっていない。だから、「この位は普通でしょ」みたいなことを平気でつぶやいている。

お金を貰う方は、そのお金の原資がどこにあるかっていうことについては一般的に鈍感。でも、お金を出す方はそんなことはない。苦労して作ったお金を引きはがされているんだから、当然1円たりとも無駄になんかして欲しくない。だから、無駄遣いをされているなら、それを許すことなんてできない。

基本的に、民間以外の研究者っていうのは何も生産をしていない。ただ消費しているだけ。税金をもらって、その税金を使っているだけの存在。だから、何かの拍子に「タックスイーター」という汚名を着せられても何の不思議もない。その地位の危うさをもうちょっと理解しないとね。そして、研究を続けるためには納税者の理解が必要だってことも理解しないと。今までは文科省の方だけを向いていれば良かったけれど、これからは違う。納税者の視線をきちんと意識する必要がある。

例えばさっきも東大の先生がこんなエントリーをアップしたけれど、結構的が外れてると思うんだよね。

がくの飛耳長目録「事業仕分け 科学・技術

理化学研究所の女性職員採用に関わるつっこみは最低であった。仕分け側の見識が大きく問われたものだ。


確かに一般企業ならそうかも知れない。でもね、理研はほとんど税金で運営されているんですよ。高い透明性が要求される。それが嫌なら、国からお金をもらうな、という話なんだよ。男女共同参画と矛盾があると書いているけれど、別に矛盾なんかない。そんなに有能なら、理研以外のところでも仕事はあるだろうし、理研の中だって、他の研究室でも良いでしょ、ってこと。こういう配慮は民間企業だってきちんとやっているし、そもそも、男女共同参画という話とはレイヤーが違う。それを故意に一緒にしているのか、気がつかないで一緒にしているのかはわからないけれど(多分、後者だとは思うけれど)、このあたりが研究者クオリティなんだよなぁ、と感じちゃう。

そもそも総合科学技術会議、文部科学省にそれが出来ないから、研究開発独立行政法人をある種のシンクタンクとして使っていたのだろう。


これもなんか変な理屈。理研はもともとシンクタンクの機能なんか果たしていない。シンクタンク機能は文科省。理研はその下働きをしていただけ。実際に理研でも経産省でも勤務経験があって、さらに三菱総研でシンクタンクの実務をやってきた人間が言っているんだから、そうはハズレていないはず。総合科学技術会議に任されたのは、省庁横断的なシンクタンク機能。これを文科省や経産省では実施できないから、総合科学技術会議という組織を作った。でも、結局そこで実務をやるのはそれぞれの省庁から派遣された課長補佐レベルの人間たち。いつまで経っても機能しないのは当たり前、みたいなのが今に至る話。ということで、総合科学技術会議と文科省ができないから独法を使ったというのは全くトンチンカンな話である。また、理研や産総研にはそういうシンクタンク機能は殆ど、ない。理研は今のところあくまでも文科省の予算消化機関であり、文科省の要請にしたがって予算要求資料を作る組織である。もしそうではないなら、経産省や農水省の大型予算を理研で取ってみろ、という話である。

今日の仕分で理研が言うべきだったのは、「うちは国家的な全体戦略を練る機関ではなく、それをやってきていないし、やっていくこともない。それをやるのは文科省であり、総合科学技術会議のはず」という内容だったはず。別に断言しても、全然問題ないはずだ。

戦略がないのは総合科学者会議有識者議員らのせいであるかのように言ったのには笑ってしまったよ。


なんでだろう?実際、戦略がないのは総合科学技術会議のせいでしょう?このあたりからちょっと論旨が不明確になっているんだよな、このエントリー。

だから、私は声高に、科学技術政策をきちんとリードできる理系専門行政官(事務官ではない)を大量に増やせと言っている。


これはどうなんだろうね。役に立たない人間がいくら送り込まれても、役所も困る。それに、送り込まれた人間自身も困る。僕は経産省時代にこうやって外部から送り込まれてきた人間が壊れるのを何人も見てきたし、また、今でも理研の内部の人間と話をしていると、文科省に行って壊れちゃった人の話を聞く。外部の人間が外から見て感じているほどには、役所の仕事は楽じゃないんだよ。そこまで言うなら「まずお前が現職退職してやってみろよ」という話であって(笑)。僕はこのブログの人がどのくらい偉くて、どのくらい能力がある人なのかは全然わからないけれど、ど田舎の非常勤講師に比べたらきっと凄く偉くて凄く能力があるんだと思う。だから、まずあなたもやってみたらどうかな、と思う。僕はもうやったからね。実情を知らずに文句を言っても仕方ない。

僕は、こういうことは誰でも知っているんだろうって思っていたけれど、以前、ナショプロの企画立案方法についてブログに書いたら多方面から反響があったことがあるので、意外とそうでもないらしい。それならちゃんと勉強したら良いのに、と思う。

2−3年でコロコロ変わる、一流に器用な文系転がし官僚では持たないのである。


これは一理あるけれど、上に出された対案は役に立たないだろうね。

以前、朝日新聞の私の視点に投書したけれど、僕は短期的な対症療法としては、キャリアパスの見直しで対応すべきだと思う。そして、長期的なプランとしては、課長以上になったら役人は一律非公務員にしてしまえ、株式会社日本官僚で良いじゃないか、と思う。責任を取る、クビにもなる、身分保障はない、天下りもない、というもの。それが嫌なら、出世しないで一生課長補佐をやっていれば良い。そういう制度を作った上で、あとは民間企業である株式会社日本官僚が、民間の理論で組織を運営していけば良い。そこの会社の人材が役に立たないなら、野村総研でも、三菱総研でも、東大でも、どこでも良いから役に立つ奴を連れてくれば良いわけで。で、その人選は政治家がやれば良い。

ちょっと言い過ぎたかな〜。


言い過ぎっていうか、「この人、わかってないな」という感じかなぁ。「研究室に閉じこもって、世の中をきちんと見ていないとこうなっちゃうのかな」というか、なんかトンチンカンっぷりがちょうど良い具合だったので取り上げてみました(^^ でも、何しろ情報を発信するのは良いことだよね。何を考えているのかさっぱりわからないよりはずっとマシ。批判されたり、馬鹿がバレたりするのを恐れずに実名で情報発信をするということは尊重されるべきだと思う。

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この記事へのコメント
私も短期間ですが理研にいたので、興味を持ってみておりました。
女性職員の件は、週30時間の勤務実態に対して、600万円程度の
年俸を支給していたことが問題視されたのではないでしょうか。
これだけ税金のことが言われているのに、この意識の低さは
逆にある意味尊敬に値するかと。
もっと世の中のこと勉強しないとね。

事業仕分けに関してはbuuさんの意見に同意。
すべての事業分野に国家戦略を打ち出すのが政治家、
その戦略に沿って予算配分し、それを実行、最後に
その効果を検証するのが官僚、これにつきると思います。
例えば、枝野議員の顔を見てもとても科学がわかるとは
思えないんですよね。
Posted by どらごん at 2010年04月27日 09:37
> 女性職員の件は、週30時間の勤務実態に対して、600万円程度の
> 年俸を支給していたことが問題視されたのではないでしょうか。
> これだけ税金のことが言われているのに、この意識の低さは
> 逆にある意味尊敬に値するかと。

そうですね。国のお金を使っているということを、もっときちんと理解しないと。そこがスタートラインなんですよ。株式会社は株主に対して説明責任があるし、税金を使うなら国民に対して説明責任がある。外資系のようにきちんとした評価があって、×の評価がついたらスッパリ解雇される、というのならまた話は別なんですが、日本は評価は苦手だし、解雇は難しい。となると、李下に冠を正さず、ということにならざるを得ないわけで、理研みたいな立場なら一層のことです。年俸600万円でボスの配偶者が秘書をやっていて、じゃぁ、そこのポスドクやテクニシャンはいくら貰っているの?ということにもなる。

> すべての事業分野に国家戦略を打ち出すのが政治家、
> その戦略に沿って予算配分し、それを実行、最後に
> その効果を検証するのが官僚、これにつきると思います。

今の調子でやっていればすぐに息切れしますよ(笑)でも、僕は今やっていることはそんなに無駄にはならないと思っています。半世紀も一党独裁でやってきた国ですから、一足飛びの改革も難しいし、また、改革の現場にいる人たちは相当に苦労すると思います。その一つ一つの積み重ねがないと、世界標準には追いつけないと思っています。今まで楽してきたことのつけです。でも、そういう改革の現場にいられるということも、実は幸せなことだと思います。

問題は、できるかどうか、ということですね。
Posted by buu* at 2010年04月27日 10:00