2010年05月14日

キラー・ヴァージンロード

c9ad68ed.jpg非常に演劇的な映画。映画中心に観ていて演劇をあんまり観ていない人がこの映画を観ると、嫌われ松子の流れで作られていると感じるかも知れないけれど、方向性は似ているものの、表現自体は決して漫画的ではなく、どちらかと言えば岸谷監督のルーツであるスーパー・エキセントリック・シアター(SET)の芝居に非常に近い。

前半、バカらしいギャグを連発し、思わず「くっだらねぇーなー」と口にしてしまいたくなるような演出が続くのだけれど、最後に広げた風呂敷をたたむ段階になって突然しんみりする、この作りがそのままSETである。

では、映画として成功しているかと言うと、うーーーーーーん、映画らしい演出もあちこちに観られて、独特のカラーは出せていたと思うけれど、諸手を挙げて、という感じの仕上がりにはなっていない。なぜなら、ラス前の転調からがもう永遠かと思うほどに間延びしてしまうのである。実は、これは岸谷監督のみならず、SETの演劇の弱点そのままだったりもする。ただ、これを弱点と感じるのか、それともこうであって欲しいと感じるかはそれぞれで、少なくとも三宅裕司氏、小倉久寛氏、そして岸谷五朗氏あたりはこういうのが好きなんだと思う。

でも、どうせなら、あのまま一気に突っ走って欲しいというのが個人的な思い。真面目なシーンなんていらないじゃん。面白おかしくてくだらないのが良いじゃん。どうしてホロリとさせなくちゃならないのさ、って思ってしまう。

途中までの1時間程度までは凄く笑えたんだけれど、そこから急激に失速したのが残念。でも、SETの演劇が大好きっっていう人には良いんじゃないかと思う。評価は☆1つ半。

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