2010年05月18日

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

85944376.jpgリアルツイッター試写会という、つぶやきながら鑑賞する試写会で観てきた。正直、つぶやきながらだったので注意力散漫。しっかり観たとは言い難い。その分は割り引いて読んで欲しい。

ストーリーの方は、いくつかの周囲の環境の変化によって自分の人生が敷かれたレールの上にあって、しかもその後半にあることに気がついた主人公が、転職して故郷の電車の運転士になる、というもの。前半は色々なアクシデントが発生するため、とにかく暗い展開で鬱々としてくる。

一昔前なら49歳、東芝を想像させる大手電気会社の幹部という立場を捨てての転職というのは現実味のない話だったけれど、少子高齢化、過疎、終身雇用の崩壊といった社会情勢を鑑みると、それほど荒唐無稽という感じでもなく、メインの設定にはそれほど無理がない。しかし、その一方で、次の職が決まる前に会社を辞めてしまうなど、ちょっと現実離れしたところもある。転職を何度もしている経験からすると、子どもがいて家のローンがある状態であれば、少なくとも先に次の仕事を決めるはず。このあたりはちょっと違和感がある。

主人公は前半ではあまり家庭を省みず、家に仕事を持ち込み、電話でも怒鳴り散らし、家族ともあまりうまくいっておらず、といった感じで、大企業の中間管理職のステレオタイプ的な人間。ところが、転職を機に「そこまで変わるか?」というくらいに良いパパ、良い社員、良い人に変わってしまう。このあたりにもかなり違和感がある。三つ子の魂百まででしょ、やっぱり。必要以上に主人公の人間味を打ち出したお陰で、踏切でのトラブルという仕方のない場面での対処まで主人公を責めなくてはならない事態になってしまったのは、さすがに主人公が気の毒。ひき殺せば良かったのかという話。また、主人公の奮闘ぶりをアピールしたいが故に、三ヶ月ぐらいの間に電車運行上のトラブルが連発。まるで殺人事件が頻発する金田一少年の学校みたい。

なんか、特定の場面で画面がまっ黄色になるのが演出過多。田舎を黄色く、過去をセピアに表現するのはそろそろ辞めた方が良いのではと思う。

下手くそな俳優がほとんどいなくて、チョイ役でも芸達者な人を使っているあたりは好感がもてる。観ていて「うわーー、こいつヘタクソ(;_;)」という場面はほとんどなかった。それにしても宮崎美子って似たような役をやるよな、と思い返してみたら、それはデトロイト・メタル・シティ。あちらは田舎のお母ちゃんの役だったけれど、演技が一緒。こういう似たような役を続けてやらせていると柴咲コウみたいに何をやっても柴咲コウになっちゃうような役者になってしまうので、どうなのかなーと思っちゃうけれど、まぁこれは余計なお世話かな。

電車の映画ってこともあってか、とにかく電車が頻繁に出てくるのだけれど、親が倒れて一刻を争う、っていうときに夜行列車で帰省したりするのをみると、飛行機で行ったらどうなのかな、と思わないでもない。これも含めて、電車会社の全面協力ということもあって、電車会社のPR色は非常に濃い。不自然に登場人物が「会社の中を見てみたい」とか言い出して歴史や設備の説明的なシーンになるのはちょっとヤレヤレ感があるのだけれど、綾瀬はるかの「ハッピーフライト」みたいな気持ち悪さまではいかず、そのあたりはANAみたいなでかい会社とど田舎の鉄道会社という、会社の立ち位置の違いなのかも知れない。無理やりな会社紹介は不自然ではあるものの、まぁ、仕方ないか、という気にはなる。もちろん、そういう演出はなかった方が良かったけれど。会社の紹介のほかに、島根の紹介シーンもたくさん。お祭りのシーンとか、ストーリー上からは完璧に意図不明、必然性ゼロ。自然な形、必然性のある形なら納得するものの、無理やりでは違和感しか残らない。

脚本的に無理のある展開が多いのも否定できない。元野球少年の同僚とのやり取りとか、臭すぎてみてらんない。そういうシーンはばっさり削っちゃって、少し短くするか、あるいはもうちょっとお嫁さんのエピソードを入れたらどうだったんだろう。お嫁さんといえば、「てぃーだカンカン」と同じような展開があってデジャブ感満載。でも、公開のタイミングを考えるとたまたまなんだろう。てぃーだカンカンを観た監督は「うわっ、全く同じことを先にやられちゃったよ」と思ったに違いない。

ラストのユーミンは普通にフィットしていた。魔女の宅急便のラストみたい。

総じて言えるのは演出過多。タイトルの「RAILWAYS」を含め、デジャブ感満載(セルフパロディなのかな)。一方、それを演じている役者さん達はなかなか芸達者。ちょっと勿体無かった。鉄道ファン、島根ファン、田舎大好きという向きには結構楽しめるのかも知れない。観る前はラストに流れるのは「ホームにて」@中島みゆきみたいな映画を予想していたんだけれど、意外とちゃんと松任谷由実だった。あぁ、作詞作曲松任谷由美、編曲松任谷正隆っていうあたりを映画のラストに重ねたかったのかな。評価は☆1つ半。

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