2010年06月09日

ヴィレッジ

なるほど、先日紹介した「ハプニング」でも同じなんだけれど、シャマラン監督の作品は、予告編の作り方が悪すぎる。ホラー映画として紹介しちゃうから、それを期待した観客が評価を下げちゃって、おかげでみんなが観に行かなくなっちゃう。かくいう僕もその一人。ハプニングを観て、そしてもしかして、と思って今日ヴィレッジを観て、そして確信した。シャマラン監督は、別にホラー映画の監督じゃない。彼がやっているのはホラーテイストの恋愛映画というジャンルである。

village

この映画が公開されたとき、僕は「わけわかんない」という意見を何度か耳にした。でも、今DVDで観てみると、難しいところは何一つない。全てきちんと種明かしされているし、そして恋愛映画としてきちんと広げた風呂敷をたたんでいる。別に複雑な構図もないし、この程度の映画が理解できないなら、例えば浦沢直樹の20世紀少年とか、あるいはモンスターとか、あの手の漫画なんか何一つ理解出来ないと思う。つまり、普通に簡単な映画なのだ。これが「わけわかんない」になってしまうのは、ホラー映画だと思って、ホラーを期待していくからだろう。「わけわかんない」という意見が出ることの方がよっぽどわけわかんないというのが正直なところ。つまり、予告編を作った会社の人が悪い。

そして、ハプニングを観る限り、日本の配給会社は相変わらずシャマラン監督をホラー映画の監督として売り込みたいらしい。だから、ここで大声で言っておくけれど、

●●●シャマラン監督の映画にホラーを期待していくのは間違いっすよ!!!!●●●

確かにちょっと驚かされたり、ドキドキしちゃう場面はあるけれど、それが味付けの部分。そうした味付けの中で描かれている本筋は「大怪我をした恋人のために危険をかえりみずに冒険に出る」という、恋愛冒険ストーリーなのだ。あと、シックス・センスのようなどんでん返しを期待するのも駄目。徐々に明らかになっていく謎はあるけれど、それは別に謎っていうほどのものでもない。映画の中でネタばれするときも、伏線からネタばらしまでの間が異常に短い(笑)。さぁー、ここ、ナイショですよ、覚えておいてね!っていう場面からほんの10分ほどでネタばらししてくれる圧倒的親切心が嬉しい。

内容に触れちゃうと思いっきりネタバレになってしまうので、表レビューで書けるのはこの程度。あとは、ホアキン・フェニックスがこの直後に「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」で非常に良い演技を見せ、そしてブライス・ダラス・ハワードが「スパイダーマン3」で活躍するのが感慨深い。向こうの役者さんは引き出しが多い。特にブライス・ダラス・ハワードは、徐々に彼女が抱えている問題が明らかになってくるというちょっと難しい役どころを非常に上手にこなしていたと思う。

評価は☆2つ半。さらっと楽しめるので、結構お薦め。ただし、恋愛映画だからね!

以下、ネタバレレビューは追記に書きます。これ読んじゃったらつまらなくなるかも知れないから要注意。覚悟して読んでください。
「うるせー、ネタバレ上等!ドキドキするより種明かしの方が重要なんだよ!」という、もののあはれを解さないみなさん、ネタバレレビューへようこそ(笑)

えっと、この映画の舞台は、外界から遮断された村(『ヴィレッジ』)。ここは小さな、そして完全に完結している空間である。そこは、例えば村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の世界の終りで描かれているような場所だ。外界から物理的にどのように遮断されているかは後半で明らかになるが、そうした物理的な遮断に加えて、「語ってはいけないモノ」という、ハリポタのヴォルデモートさんみたいな人がウロウロしていて、これによって精神的にも壁が作られている。村の中で発生した事件によって彼氏が大怪我をした女の子が、抱えている障害をものともせず、幾多の試練を乗り越えて彼氏のために薬を取りにいく、というお話。あれ?なんかちょっと聞いたことある?幾多の試練を乗り越えてお使いに行くといえば、イスカンダルまではるばる臨んだヤマトが有名なところだけれど、他にもドラゴンクエストシリーズとかもこんな構造の話があったと思うし、うーーーん、定番どころですよね。そして、それをホラーの味付けにして見せているところがちょっと新しい感じ。日本人だと、こういう設定ってどうもオウムとかを想像しちゃうので、正直微妙というか、ちょっと無意識のうちに拒否反応を示しちゃいそうなところもあるんだけれど、なぜそんなところで生活しているのかっていうのもきちんと説明されるし、そうせざるを得ない理由とか、苦悩とか、現代社会が抱える病巣とかをきちんと描いていて、説得力があるから理解してあげて欲しい。

いや、マジで普通に面白いと思います。

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