2010年06月14日

ディア・ハンター

ディア・ハンター デジタル・ニューマスター版  【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]

簡単に言うとロシアンルーレットの映画。

この一言で片付いちゃうといえば片付いちゃうんだけれど、この間アカデミー賞を獲った「ハート・ロッカー」のルーツとも言えるような作品。ベトナム戦争が重要な役割を果たしてはいるけれど、戦争映画ではない。どちらかと言えば友情を描いている。

3時間を超える長尺を活かして、ペンシルバニアの田舎町、ベトナム、そしてまたペンシルバニアと、それぞれの場面を濃密に描いている。特にベトナムパートのロシアンルーレットのシーンは何度見ても圧巻。

非常に長い映画だけれど、初めて観る人は最初のペンシルバニアパートはやや退屈に感じてしまうんじゃないだろうか。ところが、その場面、場面には色々な伏線が配置されているので、集中力を切らさずに観ておく必要がある。でも、今この映画を観る人はほとんどがDVDでの鑑賞だろうから、とりあえずさーっと観てしまうのが良いと思う。細かいところはあとでもう一度観れば良い。最後まで観たら、凄い衝撃を受けて、どうだったんだろう、って見返すことになると思う。そもそも、最初のうちはたくさんの登場人物のどこにフォーカスが当たるのかがわからないので、物語の全体像がわかった上でもう一度観るのが正解。

さて、やや冗長に、しかし、意図的に長く描かれたペンシルバニアパートは突然終了して、あっという間にベトナム戦争のシーンへと転換される。そして、映画の様相は一変してしまう。吐き気がするほどの緊迫感が続くので、観ていて異常に疲れる。このあたりはハート・ロッカーと一緒。

そして、その緊張から解放されると、ともに育ち、一緒にベトナムに行った3人のそれぞれの「ベトナム後」が描かれる。ここを楽しむためには前半をきちんと観ておく必要がある。

クライマックスのセリフの意味とか、マイケルのリンダに対する思いとか、色々と細かいところに意味のあるシーンが配置されているので、2回観て「あー、そういうことね」と頷くのがお薦め。ロシアンルーレットも、初見の時に比べれば2回目以降は多少緊張せずに観ることができるし(弾が出るかどうかわかっているから)。結末を見てから、主人公たちのアメリカ社会の中での位置づけとか、「ふっくらして」という言葉の顛末とか、色々と確認すると面白いと思う。そもそも、日本人は米国における移民の状況とか、宗教のこととか、知識がないわけで、初見で全部理解するのは無理だと思う。

この映画は内容も演出も脚本も音楽も素晴らしいと思うけれど、個人的に一番評価しているのはメリル・ストリープの美しさ。この映画の彼女の全てが好き。デ・ニーロも、ウォーケンも、カザールも、みんな存在感があるんだけれど。

ということで、メリルに☆ひとつおまけしたいところなんだけれど、映画だけで満点なのでプラスアルファはなし。☆3つ。

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