2010年07月10日

決勝は渡辺竜王対深浦王位!!

ワールドカップトーナメント6ワールドカップを将棋でたとえるシリーズファンのみなさん、こんにちは。

いよいよ大詰めです。まずは準決勝の2局について振り返りましょう。まずは戸部六段(ランキング16位)対深浦王位(同4位)の一局。序盤、先手を取ったのは深浦王位。「え?ここから香車?」というタイミングでの意表を突く飛び道具が綺麗に決まって優位に立ちました。しかし、そこで得た香車を負けじと利用したのが戸部六段。こちらも控え室が驚くような妙手で対抗し、昼食休憩の時点ではほぼ互角の状況でした。昼食休憩後は深浦王位の攻勢。序盤とはうって変わっての積極的な攻めで、その攻めが切れるのか、切れないのかが注目される展開となりました。そして、終盤の入り口でひとつの転機が生まれます。深浦王位はかつての加藤九段のようなモーションで、一度盤面に打ち込んだ銀を指でちょん、ちょん、ちょん、と叩き、そして、またその駒を駒台に戻してしまいました。これに納得がいかない戸部六段は、「ちょっと、それはおかしいんじゃないですか?」と深浦王位に詰め寄りますが、「いや、まだ指していませんよ」と応対。収まりがつかない戸部六段は時間係に「ちゃんと秒を読んでください!」と要求。しかし、この応酬によってリズムを崩した戸部六段は、わずか3手後に深浦王位に絶妙手を浴びてしまいます。ここで角得と大きくリードした深浦王位は、終盤での戸部六段の捨て身の攻撃をなんとか凌ぎ切り、見事に決勝進出を決めました。

一方、山崎七段(ランキング6位)と渡辺竜王(同2位)の一局。こちらは序盤から相穴熊と、双方「絶対に負けたくない」という気持ちを表した一局となりました。この対局まで深い研究に裏打ちされた高度に組織的な戦術「山崎システム」で難敵をことごとく撃破してきた山崎七段は、なぜかこの対局では消極的な指し回しを見せ、終始渡辺竜王が攻めるという、やや意外な展開となった本局。形勢が傾いたのはおやつ休憩のあとからでした。敵陣深くに打った角をあっさり切っての好手がきれいに決まり、渡辺竜王がリード。山崎七段の反撃が期待されたのですが、渡辺竜王の穴熊はがっちりと固く、山崎七段の攻撃を寄せ付けません。終盤は山崎七段も連戦の疲れが出たのか、やや粘りを欠いた戦いとなり、最後は控え室も意外なタイミングでの投了となりました。投了図ではまだ山崎七段にも反撃の余地がありそうなのですが、山崎七段は周囲の評価以上に形勢を悲観していたようです。

この結果、決勝戦は深浦王位対渡辺竜王という実力者同士の対戦となりました。しかし、意外なことに両対局者はこのワールドカップで優勝の経験がありません。これまで18回の大会でわずか7人しか優勝者のいないこの大会で、どちらが8人目の優勝者として歴史に名を刻むのか、注目の対局は11日深夜に行われます。

参考:ブラジル戦が始まるまでまだ少し時間があるので、FIFAワールドカップを将棋でたとえてみる

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