2010年08月15日

アラビアのロレンス

アラビアのロレンス [完全版]デラックス・コレクターズ・エデション (2枚組) [DVD]

典型的な、「DVDで観るのではダメな映画」なんだと思う。それをDVDで観た。

実在の英国陸軍将校ロレンスを描いた歴史映画。オスマン帝国からアラブを独立させるための闘争を描いているのだけれど、戦争映画と言うよりは砂漠の映画。アラブに大きな影響を及ぼしたにも関わらず、歴史の中で英国からもアラブからも都合の悪い存在となってしまい、そのまま消えていかざるを得なかったロレンスの半生を雄大な砂漠の中に描いた一本である。そして、ロレンスは戦っているより、砂漠を歩いている時間の方がはるかに長い。

DVDに印刷されている上映時間は218分で、今の常識から考えると異常に長い。今なら前編、後編に分離されていただろう(本作は休憩あり)。

ロレンスは、常識外れの着想と行動力によって次々と戦果をあげ、アラブの指導者からも、そして英国陸軍からも高く評価されていく。しかし、その地位があがるにつれ、ロレンスは疲弊し、顔からは生気が抜けていく。指導者としてやりたいことと、指導者としてやらねばならないことのギャップの大きさに悩み、そして少しずつ死に近づいていく。映画の冒頭で彼の死が描かれるので、これはネタバレではないと思うのだけれど、なぜロレンスがそのような死に方をしたのか、長い時間をかけてじっくりと語っていくのがこの映画である。彼はいきなり死んだのではなく、砂漠で戦いながら、徐々に死んでいったように感じる。冒頭のシーンは単にきっかけに過ぎなかったような。

戦闘場面ではあまり華々しい活躍がないので、観ていて爽快になるような映画ではない。どちらかというと精神的に追い詰められていく主人公をずっと観続けなければならないので、辛い映画である。全然違う映画だけれど、主人公がだんだんと変化していく様子がスピルバーグの「太陽の帝国」に似ていると思う。

スターウォーズシリーズが映画館で観ないと全然意味がないのと同様、この映画も映画館で観ないと、砂漠の雄大さとか、主人公が惚れ込んだ砂漠という存在が感じられないと思う。なので、この映画に興味があるならば、DVDで観るのではなく、映画館での上映を探して観に行くべきだろう。近いところだと、こんなのがある。

む?今日からMOVIXさいたまですね?

アラブの思想がじっくりと描かれいている(ただし、それがアラブの立場から観て正当なのかどうかは不明)ので、イスラエル建国、中東戦争から9.11に至るまでの、アラブと欧米の間に横たわる大きな問題の端緒を知るという意味でも勉強になる映画だと思う。今に至るまでの中東の問題は英国政府がアラブ人と締結したフサイン・マクマホン条約、ユダヤ人と締結したバルフォア条約、フランス、ロシアと締結した秘密協定サイクス・ピコ協定の3つが大きな影響を及ぼしており、その一部を映像化した映画が英国で作られているというのはなかなか興味深い。

しかし、それにしても、砂漠のシーン。足跡がついちゃうので、NGとかあったら撮り直しが大変だっただろうなぁ。

評価は☆2つ半。DVDだから。

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