2010年08月24日

監督が決めないチームは「代表」とは呼べないだろう

協会迷走…原代行で新生JAPAN船出

なんか、随分ひどい話になってきたようだ。まだ代表監督が決まらないという異常事態。試合だけは組まれているので、「どうするの?」って感じである。南アフリカワールドカップ出場32ヶ国で新監督(継続を含む)が決っていないのは日本だけである。

日本においては代表監督の役割というのは今ひとつ評価されていない感があるのだけれど、実際には誰が監督をやって、どういう方針でチームを作るのか、というのはチームにとって非常に重要だ。成績が悪い時にクビにして選手の発奮材料にする、程度の役割ではもちろんない。特にどういう戦術を掲げるかは大事だということを、日本人は南アフリカワールドカップで良くわかったはずだ。それまで攻撃重視の戦術で戦って成績を残せなかった日本代表が、その戦術を捨て、守備重視の戦い方をしたことによって、一次リーグ突破という予想外の好成績を残したのは記憶に新しい。ただ、結果だけを見れば望外のものを残した岡田JAPANも、視点を変えればただの失敗例である。岡田さんは、オシムから引き継いだあとの2年半を全く無駄にしたことを忘れてはならない。攻撃重視の戦術を採用し、それにフィットした選手たちを選び、そしてワールドカップ直前にそれをリセットした。就任した最初からポゼッションを放棄し守備重視のサッカーを選択していれば、もっと上が望めたのかも知れない。結果が全ての勝負の世界だから、ベスト16という成績を残した岡田前監督を非難するのは間違いだが、反省すべきところは反省し、次につなげる必要がある。ワールドカップが存続する限り、過去の検証と新しいチャレンジは続けていかなくてはならない。

そんな中、日本代表はまだ新監督が決まらないでいる。監督が決まらない以上、戦術も決まらない。戦術が決まらないのであれば、チーム編成の方針も決まらない。こんな状態で代表戦などをやったとしても全く意味が無い。選手からすればただ疲れるだけの話である。ヘタをしたらけがをする可能性もあるわけで、Jリーグが後半の正念場に差し掛かっていることを考えれば、選手たちは「できれば呼んで欲しくない」と考えるのが普通である。代表に呼ばれる可能性のある選手たちは、当然のことながら所属チームでは主力選手達なのだから、チームとしても迷惑な話である。

アジアの端っこで場所が悪いこと、スポンサーの意向が強く反映され圧力がかかる状況など、ネガティブな要素があることは否定出来ないから、それなりに難しい作業なのは理解できるのだが、差別が少なく、治安が良く、食糧事情も問題なく、衛生状態も良いというポジティブな要素もあるはずだ。あとは提示する条件の問題なんじゃないかと思う。要は「カネ」である。JFAの資金が潤沢で使い道に困っている、という話は聞いたことがないが、逆に首がまわらないような状態という話も伝わってこない。W杯の賞金も入ってくるはずだし、それなりの資金は存在するんじゃないだろうか。だからといって札束を積めばそれだけで良いという話でもないのだが・・・。

ちょっと不思議なのは、技術委員会が物凄くスペインにこだわっていること。確かにスペインサッカーはワールドカップで成績を残したし、バルサのサッカーも魅力的だ。しかし、あの手のポゼッションサッカー、パスサッカーは日本代表には無理、というのがこの4年間の答えではなかったのか。希望と現実のギャップはきちんと埋めなくてはならないはずだ。スカパーの解説などではオシムもフィンケも異口同音に「もっと攻撃的なサッカーを、見ていて楽しいサッカーを」と述べていたけれど、それを実現するには日本代表はかなりタレント不足だと思う。

今、名前が上がっているビクトル・フェルナンデス(スペインスタイルの攻撃サッカー)、ペケルマン(南米スタイルの攻撃サッカー)あたりは才能的には素晴らしいものがあると思うのだが、今の日本代表にフィットするかと言われるとやや疑問だと思う。

前レアル監督の超大物ペジェグリーニも守備的サッカーを見たことがないのでかなりギャンブルだと思うし、エメ・ジャケ(全盛期のフランス代表を指揮。高齢なのがネック)、リッピ(イタリアサッカーの申し子。ただし、イタリアから出たことが一度もない。英語もしゃべれない)あたりも難しいだろう。

現実的なところでは、日本を知っているフェリペ・スコラーリ(元ジュビロ監督、守備的なチーム作りが得意だが、チェルシーではポゼッションサッカーを標榜、選手のポジティブな部分を伸ばす考え方)などはかなり良いと思うし、同じように大分を長年率いて日本を知っているシャムスカ(元大分監督、ただしカタールのクラブチーム監督就任の噂あり)なども良さそうだと思う。また、ブラジルでの評価はイマイチのようだが、ドゥンガ(元ジュビロ磐田、元ブラジル代表監督)もありだろう。

個人的なことを言えば、サッキ(元イタリア代表監督、守備的サッカー、高齢のため監督業を引退)が良いのだけれど、オシムで一度痛い目にあっているJFAにとってはちょっと取りづらい選択肢かも知れない。

無理やり引き剥がす、ということなら、オリベイラ(現鹿島監督)、ストイコビッチ(現名古屋監督)といった線もなくはないはずだ。

今、新監督に期待されることは、ひとつに能力の高い選手のピックアップ、ひとつにその選手たちを有効活用できる戦術を考え出すこと、ひとつにその戦術にもっともフィットする選手を配置すること、ひとつにその方針を明確に打ち出し、Jリーグ各チームに提示すること、である。どこかよそでやっているサッカー、バルサのサッカーやモリーニョのサッカーをそのまま真似することではない。このことを考えれば、ギャンブルをするならフェルナンデス、ペケルマン、ペジェグリーニ(どれも賭け金は高い)といったところ、安全を取るならフェリペ、シャムスカ、ドゥンガ、オリベイラ、ピクシーといったラインナップだと思う。後者を選ぶなら、パラグアイ戦にも間に合う。ただ、もちろん「パラグアイ戦に間に合うから」という理由で採択すべき選択肢ではない。間に合う、間に合わないはあくまでも結果である。

ギャンブルをするのでも良いし、安全策を採るのでも構わないのだが、とにかく早く決めて欲しい。次のワールドカップまで47ヶ月しかない中で、すでに1ヶ月を無駄遣いしたのである。

せっかくパラグアイ戦をやるなら、もういっそのことワールドカップで出場できなかった控え選手たちを使ったらどうか。コンソレーションである。監督が決まらないなら、そのくらいしか、意味のある試合にする方法を思いつかない。

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この記事へのコメント
今日はサッカーの記事にコメントさせていただきます。

私も映画とサッカーが大好物です。
それ以外に音楽とドラマがありますが、サッカーの記事はいつも楽しく拝見させていただいています。

代表監督決定の遅れはあり得ない失態ですね。
やはり日本サッカー協会の体育会系特有の旧態依然とした体質が問題ではないでしょうか。

原さんの代行なんて、おっしゃるとおり意味ないですね。
だから、W杯のサブ組中心というのはいいアイディアだと思います。

ちなみに私は、リバプールとバレンシアが好きで、毎週プレミアとリーガの放映される全試合を観ていますが、Jも発足当時からベルマーレのファンで、あと地元のグランパスも応援しています(笑
Posted by yamarine at 2010年08月24日 23:20
> 今日はサッカーの記事にコメントさせていただきます。

どうぞ、なんでも構いません(笑)

> 代表監督決定の遅れはあり得ない失態ですね。

ま、犬飼さんクーデター事件のとばっちりなんでしょうが。

> やはり日本サッカー協会の体育会系特有の旧態依然とした体質が問題ではないでしょうか。

そうですね。

> だから、W杯のサブ組中心というのはいいアイディアだと思います。

でしょう?「中村俊輔代表引退試合」でも良いかも(笑)。

> ちなみに私は、リバプールとバレンシアが好きで、毎週プレミアとリーガの放映される全試合を観ていますが、Jも発足当時からベルマーレのファンで、あと地元のグランパスも応援しています(笑

僕はマリノス一筋。日産FC時代から応援しています(^^ 当時はファンクラブに1000円で入会すると全試合ただで観戦できました(^^
Posted by buu* at 2010年08月25日 22:04