2010年09月04日

おにいちゃんのハナビ

7e7989d7.jpg九段会館での試写会で鑑賞。

白血病で余命いくばくもない妹と兄。あぁ、「赤い疑惑」ですね、と思ったら違った。

しかし、もう、冒頭からいきなり「うわぁ、難病」という感じなので、ストーリーがいきなり読めてしまう。「いつカツラが飛ぶんだろう」「いつこの子は再入院するんだろう」みたいな感じで、予定通りに調和していくのを楽しむ展開。しかし、それでもなお、なんとなく泣けてきてはしまう。いや、これは、もうどうしようもないことだ。だって、徹頭徹尾、観る人間を泣かせようとしているんだもの。でも、そのための手法がどうなのか。ちょっと演出過多のところがあったと思う。だんだん精気を取り戻す兄と、だんだん弱っていく妹、その対照がまずちょっと過剰だったような。主役の二人は演技はそこそこに上手だったと思うけれど、どうも北の国からの純と蛍に重なるようなところもあって(駄目兄とできた妹)、ストーリーの凡庸さと相まってなんだかとっても既視感がある。

それでいて、白血病なのに最初から最後まで一般病棟にいる妹もなんだかちょっと変な感じだ。それに、妹はどうしてそんなにいつまでもツルッパゲなの?抗がん剤治療でツルッパゲになるのはもちろん分かるけれど、それはあくまでも治療している期間だけ。退院するほど寛解したのなら、比較的早い段階で生えてくるでしょう。父親を白血病で亡くしている僕としてはなんかディテールにリアリティが感じられなかった。まぁ、新潟の方ではああいう感じで治療するのかも知れないけれど。

最初からラストまで湿っぽい映画なのは良いのだが、やはり最後の見せ場は花火である。と、こ、ろ、が、うーーーーーーん、花火がこんな感じかぁ。これ、合成じゃなくて生花火なのかな?スクリーンのせいかも知れない(九段会館だから)けれど、どうにも花火がきれいじゃない。いや、やっぱり、花火とか、オーロラとかを小さめのスクリーンで表現しようっていうのがそもそもの間違いなのかも?

別に、ツマラナイ映画ではない。泣けない映画でもない。役者も別に下手じゃない。撮影や表現の方法も無難だ。でも、何かが足りない。それが何なのか。そうか、登場人物たちの苦悩が全然描かれていないからだ。だから、ただ泣けるだけの映画になってしまっているんだと思う。

「なんか、おもいっきり泣きたいな」という人にはお薦め。あと、新潟に彼女と花火を観に行きたいと思っている人なら、デートでこの映画に誘うと吉。ただし、この映画を観てから新潟の花火までは約1年(笑)。

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