2010年11月23日

画竜点睛

午前十時の映画祭、来年もやることになったらしい。

第二回 午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本

この映画祭の試みは非常に面白いと思うし、映画ファンとしては「良くやった」と拍手をおくりたいものでもあるのだけれど、唯一ダメな点がタイトルにもなっている「午前十時」だっていうこと。多分、「お客さんがあんまりいない午前中に集客力のあるコンテンツを配置しよう」「客の入りがわからない。万一客が入らなかったときのリスクを考えて、傷が小さな午前中を利用しよう」ぐらいの理由なんだと思うのだけれど。

この企画、上映館が限られているので、「よし、観よう」と思っても、自分が住んでいるところの近所で上映していることはまれだと思う。朝早起きして観に行くのはそれはそれで辛い。結果として、「レンタルビデオで良いや」という事になりかねない。というか、そういうケースは実は非常に多いと思う。なぜなら、僕自身「これを観たいな」と思っていて、結果的に朝起きれなくて観られなかったということが少なくとも3回あったからだ。

昨晩、Twitterで「テアトル徳山のひと」がこんなことをつぶやいていた。

最近、若者の映画館離れに真剣に考えねばと気づき始めました。かといって経験も少ないイチスタッフがなにができるのか。手元の仕事で手一杯なのに大風呂敷は広げられないけれど、なにか考えて実行していかねば。かといってローカルらしく年配層も確実に確保していかないといけない。


出典:http://twitter.com/#!/theatoku/status/6751655047467009

映画は、テレビドラマとは違うこと、どんなに違うのかを若者にかんじとってほしい…。


出典:http://twitter.com/#!/theatoku/status/6752690491105280

残念ながら山口県で僕が行ったことがあるのは岩国と錦帯橋ぐらいのもので、新幹線で素通りはあるものの、ほとんど知らない。もちろん徳山にも行ったことはないのでさっぱりわからないけれど、テアトル徳山は街中の映画館ということで、僕が知っている範囲では子供の頃に良く行った六角橋の「紅座」や最近お気に入りの「川越スカラ座」みたいな映画館だと思う。そんな映画館ではこういう十時からの映画祭とかへの参加自体が難しいのだと思うけれど、映画祭の担当者にこそ、このつぶやきを読んで欲しい。

午前十時の映画祭をやっているような映画館は東宝系の大きなところなので、テアトル徳山が現実に抱えているような悩みは比較的少ないはずだ。

#もちろん、大きな映画館には大きな映画館なりの悩みはあるはずで、それは僕が良く行くシネプレックスなどを見ていれば外部からでも分かる部分がある。土日と平日では客の入りに極端にムラがありすぎるとか。

大きな映画館には、大きな映画館にしかできないことをやるのが役割であって、そのひとつとして「午前十時の映画祭」というのは非常に良いアイデアだと思う。ただ、今のままでは、軸足は「年配層に昔を懐かしんでもらおう」というところにあって、「普段映画館で映画を観ることが少ない若者に、もっと映画に親しんでもらおう」ということにはならない。

TOHOシネマズみたいなところなら当然のことのようにタップリとデータも持っているはずで、「この映画のこの時間帯はあんまり客が入らない」とかもわかっているはず。例えば今なら「雷桜」なんていうくだらない映画(ツッコミどころ満載だから、ツッコむのを目的で観るのはもちろんありだが)を上映している時間があるなら、そのうちのひとつぐらいを「駄作の上映の代わりの映画祭」にしたって良いと思う。そりゃぁ、他社配給の映画で差し替えは難しいかも知れないけれど、雷桜の配給は東宝だ。たとえ映画業界では前例のないようなことであっても、それが「TOHOシネマズだからこそできること」のはず。映画の上映スケジュールなんてせいぜい2週間先までしか決めないんだから、「あ、こりゃぁ駄目だ」ってわかったところでさっくり名画を入れちゃって、その情報をネットで流せば良い。今の時代はそういうスピード感を出していける時代のはず。ネットを利用するということは、そういうことなんじゃないかと思う。

例えば、今書いている本ではこんな記述があるんだけれど(ただし未定稿)

Twitterの消費スピードは非常に早く、それは商用利用においても例外ではありません。こうした中で唯一、私が将来的にも安定して運営されそうだと考えている事例が川越スカラ座の公式アカウントです。川越スカラ座は埼玉県川越市にある小さな映画館ですが、このアカウントは派手さこそいものの、同館のファンにとっては非常に良い情報を発信し続けています。そして、このアカウントの最大のポイントは、映画館で上映する映画が基本的に2週間で変わっていくということです。常に新しいネタが供給されるため、マンネリ化しないのです。これは消費スピードが格段に早いTwitterにおいて、絶大な威力を発揮します。多くの公式アカウントが苦戦し、また善戦こそしてもそれが長続きしない中にあっても、安定して成果を挙げていくと考えられます。


映画館関係のTwitterというのは、きちんと運用すればうまくいく可能性のある数少ないカテゴリだと思っている。それは、TOHOシネマズでも一緒だ。大きな箱、知名度、組織力、そしてある程度の資金力を持っているTOHOシネマズが、上手にTwitterを使いこなせば、今よりもずっとうまく午前十時の映画祭を回せると思う。それは東宝のみならず、映画関係者の多くが望むところでもあると思う。そして、もちろん、映画ファンも。

せっかくの良い企画なんだから、もうひと頑張り、あとちょっとだけ映画を観る人の立場に立って考えてくれたら良いのにな、と思う。画竜点睛を欠くとはこのことだと思う。

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