2010年12月17日

未知への飛行

未知への飛行 フェイル・セイフ [DVD]

1964年の映画ということで、パッケージはカラーでも中身はモノクロ。

冒頭、「え?この時代って、こんな映像技術だったの?」と思わされるところからスタート。すぐに安心できます。

さて、そこから先は、ほとんどがいくつかの室内で展開される密室劇。セリフがある登場人物も決して多くない。だから、演劇向きなストーリー。いくつかの部屋で、同じメンツで、会話が続いていく。しかし、だからといって迫力に欠けるかというとそんなこともなく、グイグイと引っ張っていく力強さがある。

では、どんなストーリーかというと、機械の誤動作によって、水爆を積んだ米国の爆撃機がモスクワを目指してしまい、さぁ、大変、というもの。米国、ソ連ともに相手を攻撃するための核兵器を持ち、その上で相手の情報技術を撹乱する技術も持ち、それらがたまたまピッチリと不幸方向にハマってしまう。残された時間はあとわずか。可能な対策も限られている。そして、米国もソ連もお互いを信用していない。それは、トップも、その部下も。そんな極限状態で、米国大統領がどういう決断を下すのか、というのが見所。

被爆国である日本の国民は、米国やロシアの人たちとはまた違った感覚でこの映画を観ることができるはずで、誰が観てもそれなりに考えさせられる映画だと思う。技術は古くて、場面も少なく、登場人物もそれほど多くない、そんな映画でも、脚本、演出などの力によってきちんとした娯楽作になるということを提示した作品だと思う。

評価は☆2つ半。

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