2011年02月12日

B to Cの関係をどうやって再構築していくか

日本人は、広告に対して基本的に不信感を持っている。これはすなわちスポンサーへの不信感でもある。

その原因は既存のメディアがつくりあげた。これまでの広告は、見たくない人に無理やり見せて、刷り込むといった手法だった。こうした手法の典型例は選挙時に候補者が展開する「よろしくお願いします」連呼の選挙カー戦術である。みんな迷惑だな、と思っているが、候補者たちが有効だと考えているから、いつまで経ってもなくならない。例えば「今日、耳にした迷惑選挙カー」みたいなサイトを作って、耳に入った数をカウントして、その数が多い候補者には投票しない、といった運動でも起こさない限り、なくならないだろう。何も無いよりは迷惑だろうが耳に入れたほうがマシ、という考え方で、これはこれであり得る考え方だ。

日本の広告の多くが、こうした選挙カー戦術と同じものを採っている。つまり、無闇矢鱈に相手のことを考えず、ただただ垂れ流す、という手法だ。だから、テレビを見ている人たちはコマーシャルが邪魔だと考え、ビデオで録画しておいて、あとでコマーシャルを飛ばして見る、という行動に走る。冒頭にも書いたが、日本では消費者と広告・スポンサーの間に信頼関係が存在しない。

ところで、僕はカーリングやアルペンスキーといったマイナースポーツのプレイヤーである。そういうスポーツをやっていて感じるのは、僕達の世界においてもスポンサーと消費者(多くの場合はアマチュアスポーツの競技者)の間に信頼関係が存在しないことは、非常に不孝なことだ、ということである。なぜ僕達がオリンピック会場で気軽にカーリングを楽しめるのか、あるいは、なぜ僕達が本格的なコースで楽しくアルペンスキーの競技を楽しめるのか。確かに、僕達は参加費を払っている。そのお金で、場所を借りたり、競技進行のための役員の手当を出したりはしているのだろう。でも、それだけでは多分賄えない。だから、多くのスポンサーがついていて、お金を出してくれているはずだ。ところが、僕達は、これまでの、主として既存メディアによる押し付け型広告によって、広告に不信感を持っている。広告を無視する癖がついている。だから、カーリングをやったり、スキーの大会に出たりしても、その広告に全く気を配らない。無意識のうちに、ネグレクトしているのだ。

でも、ちょっと待ってみよう。僕達がカーリングやアルペンスキーを当たり前のように楽しめるのは、誰のおかげなのか。そういったスポンサー達がなかったら、8000円でやっているところが15000円かも知れないのだ。少なくとも、スポンサーが無いほうが安くなるなんてことは絶対にない。逆に、もっとスポンサーが増えてくれるなら、競技の費用は安くなるかも知れず、また、競技の内容がもっと充実するかも知れない。

20年ぐらい前までは、みんながお金を持っていて、みんながそれをばらまいて遊ぶのが普通だった。でも、今は随分と様変わりした。みんなで少しずつ協力して、みんなで工夫して、みんなで楽しむような状況に変わってきた。そして、スポンサーとの関係も、考え直すべきなんだと思う。例えば、軽井沢のスカップでカーリングの大会があって、その大会のスポンサーに「ファミリーマートヤオトク軽井沢東店」というのがあれば、みんなそこのお店で買物をすべきなんだよ。そうすれば、そのヤオトク軽井沢店は「あぁ、次の大会もスポンサーになろう」って思うし、スポンサー集めをする主催者は「こういう実績も出ています。この大会は、競技者や観覧者とスポンサー各社様のコミュニケーションがとてもうまく行っています」って説明できる。スポンサーがたくさん集まれば、競技の参加費だって安くなるし、観覧料だって安くなる(現状はもうすでにタダだけど(笑))。これはアルペンスキーだって一緒。僕達は、「この試合ができるのは誰のおかげなんだろう?」って考えて、その会社名を探すぐらいで当たり前なんだと思う。そりゃぁ、無理してその店を使う必要はないと思う。でも、上の例で言えば、ファミマだろうがセブンだろうがローソンだろうが、どこでも大差ないんだから、「目についたセブンで」というよりは、ヤオトク軽井沢店で買えば良いじゃん。実際、この間の軽井沢国際カーリング選手権のスポンサーは、このサイトで簡単に見つけることができる。

軽井沢国際カーリング選手権大会2011 スポンサー

知っている会社もあれば知らない会社もあるし、自分の消費生活とは縁もゆかりもないものもたくさんある。でも、わけのわかんないラーメン屋でラーメンを食べるくらいなら、軽井沢高原コロッケと地ビールの店でコロッケを食べようと思うし、おみやげに何か買うなら肉のSATOHで買って帰ろうと思う。だって、この人達のおかげで、僕は米国代表の女子チームと試合ができたんだもん。

#軽井沢国際カーリングのサイトが物凄くクールなのは、トップページに全然スポンサーリンクがないことなんだよね。

こういうことって、アルペンスキーだって同じ。特段のこだわりがあるもの、例えば、スキーの板なんかだったら、「俺は絶対アトミック」とか、あると思う。そういう場面では、別に無理する必要はない。でも、「アトミックと、ロシニョールと、どっちも同じだよなぁ、どうしようかなぁ」と悩むなら、身近な大会でスポンサーになってくれているメーカーを選べば良いんだと思う。

もっとメジャーなスポーツ、例えばサッカーだって、一緒でしょ。テレビで見ていて、繰り返しコマーシャルが流れていて、なんか刷り込まれているからキリンビールを飲む、という消費行動はイマイチクールじゃない。「キリンビールはJリーグが始まる前からずっとサッカーの大会を支援してきてくれている。だから、サッカーファンならビールはキリンだよ」っていうのがカッコ良くない?カッコ良いって思うのは僕だけなのかな?僕は代表も、マリノスも応援している。だから、複数の銘柄がある場所ではビールはキリン。それは日本代表を応援するサッカーファンだから。駅弁が複数あるときはシウマイ弁当。崎陽軒はマリノスのスポンサーだからね。

ちなみに、マリノスのサイトはちょっといただけない。

マリノス公式サイト

だって、このサイト、スポンサーが一覧できないじゃん。あと、ちょろちょろ変わるスポンサーリンクは、スポンサーに用のない人にとっては邪魔な情報でもある。だから、上で紹介したような、軽井沢国際カーリングのページみたいに、「スポンサーはこちら」ってなっていた方がクール。でもね、マリノスのサイトみたいにならざるを得ないのもわからないではないの。だって、今は、僕達とスポンサーとの間にきちんとした信頼関係が構築されていないんだもん。だから、今のマリノスのサイトみたいに、刷り込み型の広告を掲示しなくちゃならなくなる。こういう広告にならざるを得ないのは、単純に、信頼関係の問題なんだと思う。その原因は確かに既存メディアにあるんだけど、どこかでブレイクしないと、いつまで経っても変わらないよね。マリノスがやるべきことは簡単。「僕達のチームは、スポンサーの協力があってやっていけている。もっと強くしたかったら、スポンサーとの信頼関係を構築していく必要がある。スポンサーも増やさなくちゃいけない。だから、サポーターの皆さん、マリノスを応援するなら、スポンサーの皆さんもあわせて応援してください。僕達は、みんなマリノスを愛する仲間なんです」って、きちんとチーム、サポーター、スポンサーの関係を明確化して、それぞれの役割を明示することなんだと思う。

僕達は、スポンサーである会社と、新しい関係を築いていかなくちゃならない。インターネットの時代になって、それがずっと簡単になったはず。だって、僕がこうやって、横浜や埼玉にいながらにして、毎日閲覧者が2000人いるサイトでファミリーマートヤオトク軽井沢東店のことを宣伝できるんだもん。みんな、軽井沢でコンビニに行くことがあったら、ヤオトク軽井沢東店に行こうぜ!あ、でも、まだ開店してないんだと思う(笑)。今春開店らしいから。また、スポンサーとのコミュニケーションだってずっと簡単になったはず。それを上手に利用出来ていないだけ。文句を言うだけがコミュニケーションじゃないから。相互の信頼関係がより強固になるようなコミュニケーションもあるはず。それに向けた動きは徐々に出てきているはず。多分そのあたりはsmashmediaの河野さんあたりが詳しいと思うけれど。

つい先日、池田信夫さんが

三菱電機とテレビ局の八百長

というエントリーで、

本質的な問題は、リアルタイムで番組を流して見たくもないCMを無理やり見せるという民放のビジネスモデルがもう破綻していることなのだ。


って書いていたけれど、B to Cの関係の再構築っていうのは、「信頼関係の構築」っていう視点で考えていくことが重要なんだと思う。

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