2011年02月17日

あしたのジョー

944ffd62.jpg今年はまだ始まったばかりだけれど、今年の最も駄目な映画最有力候補の登場。もう、見ていて腹が立ってくるくらいにダメな映画。こんな映画も珍しい。去年のヤマトだってツッコミどころ満載で楽しみようがあったのに。これはもう、全然駄目。

何が駄目って、美術なんですよ。質感が全然ダメ。ヤマトの船内のチープさも凄かったけれど、ジョーの安っぽさは半端じゃない。もう、全然質感がなくて、「あーーーあ」という感じ。木も看板も紙もロッカーも何もかも全部駄目。最悪なのは衣装。ドヤ街の連中なのに、着ている服はやぶけているだけで、シミとか全然ない。ラスト近くのほんの一部のシーンだけ、あ、そこそこちゃんとやっている、っていう場面があったけれど、総じて駄目。全然駄目。あと、髪の毛も。ドヤ街だよ、ドヤ街。それなのにそこの住民たちのヘアスタイルはみんなバチっと決まっている。あぁ、毎日朝シャンしてるんだねぇ、みたいな。だから、ドヤ街が全くドヤ街っぽくない。安っぽい模型の中で演技しているのがはっきりわかっちゃう。なんというかな、水気がない。雨で汚れた質感、汗で汚れた質感、こういうのが皆無。最近だと白夜行とかノルウェイの森はそのあたり、凄くしっかりしていたんだけどなぁ。それから、現実味がないといえば、一年経っても子供たちが全然成長しないのが不気味。成長を止めちゃったのかな。

一方で、役者の演技はそこそこ。特に力石はかなり良かった。丹下段平もまぁまぁ。ジョーは、どうなのかな、正直微妙だけれど、酷評するほどではない。でも、それだけかな。いや、でもね、役者さんたちが凄く頑張っているから、余計にバックの手抜きが目立っちゃって、腹が立ってくるの。

もうひとつ最悪なのが脚本。特に、なんだよ、このラストは。余計な脚本書くなよ、って感じ。8回戦が終わってからはマジで苦痛だった。そして、その不要なシーンが延々と続くから吐き気がしてきた。セリフもさ、それをなくしちゃオシマイよ、っていうのが結構あった。「さすが力石だ。参ったぜ」がなんでないんだよ。「本物だった、本物だった」もなかったんじゃない?セリフ以外でも、ジョーのあごを狙ったアッパーを練習しまくるところとかもないし。それでいて、グローブを残すとか意味不明なの入れるし。入れておかなくちゃいけないところを削って、代わりに必要のないものを創作するって、どうなのかなぁ。

他にも、ボクシングシーンでなぜか今のラウンドがわからなかったり、試合が終わってもシーンとしていたり、全く臨場感のない演出だった。試合終了・・・・シーン・・・・おいおい、どうしたんだ?場面変わって、リングに駆け上るみんな、みたいな。なんか、映画がぶつ切りなの。これは酷い。このあたりって、ハリウッドのボクシング映画にお手本になる奴がたくさんあるのに。試合終了時の演出は色々あって良いと思うけれど、この映画の演出はただ監督が能無しなだけ。あぁ、クライマックスの、トリプルクロスカウンターも、どうなの、これ。なんか流れるように決まっちゃうんだよね。してみると、アニメのクライマックスの仕上げ方は抜群だった。「右のダブルクロスで勝負っ」って出したパンチを力石がかわして、そこで両者の動きが止まる。でも、汗だけが流れてラストパンチ。この間が最高なんじゃん。それで、「終わった。何もかも」というセリフがあって、呆然としてカウントを取ることも忘れるレフェリー。立とうとするけれど立てず、焦点があわなくてぼやける力石の姿。まぁ、そこまで全部再現しろとは言わないけれど、やっぱり全部流れるようにして処理されちゃうのは物凄く違和感がある。流れるように行って欲しいところをぶつ切りにして、一方で演出によって上手に仕上げなくちゃいけないところを流れるように処理してあっさり終わらせる。監督の下手くそっぷりに涙が出てくる。

白木葉子の設定とかも全然意味無いじゃん。なんなんだよ。何がやりたいんだよ。つまんない新設定入れて、でも何の役にも立ってないってなんなの?たんぽぽとか、紙飛行機とかも意味不明だし。挙句、紙飛行機は下手くそな特撮使っているし。紙飛行機が変なのって、ついこの間も見た気がするけれど、映画監督って紙飛行機を飛ばしたくなる人種なのかな?

あーーー、思い出した。ボクサーたちが、また全然リアリティがないの。顔だけアザを作っているけれど、体は全く何ともない。汗も全然かいてないし、返り血があるわけでもない。顔も、メイクの部分はそれらしいけど、残りは全然普通。なんか、ボクシングをやったっていう感じが全然ない。顔にちょっと色つけました、これで良いでしょ?みたいな。全然良くねぇよ!

ということで、もう、全然だめ。何から何まで駄目ならまだ良いけれど、力石がかなりちゃんとしていたから、もう勿体無くて仕方がない。あぁ、腹がたつ。精神衛生に良くない。

ああ、駄目な映画って、こういうのだよね、という典型例。多分、今年最も駄目な映画になると思う。

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