2011年02月20日

洋菓子店コアンドル

yogashi


先日「南へ」の舞台で散々だった蒼井優さん主演作品。

この映画を見ると、「あぁ、この人は、スピーカーを通せばしっかりしているんだなぁ」というのが良くわかる。芝居が凄く細かくて、映像向き。スピーカーからばかでかく聞こえるなら声には十分に迫力があるし、ちょっとしたところで見せる表情は素晴らしく可愛い(「由実は誰にでも愛される子だった」のシーンとか)。見事な演技だったと思う。他にも、江口のりこさん、戸田恵子さんといった、洋菓子店の面々もなかなかの好演技。

ただ、映画の出来とすると、満点とは言いがたい。観ていて「あれ??」って思うところがあちこちにある。

例えば蒼井優さんの洋菓子店での髪型。長い髪をゴムでちょこっとまとめるだけで、髪を振り乱して走り回っている。それじゃぁ、髪の毛があちこちに飛んじゃうんじゃないの?って思っちゃう。髪はきちんとまとめて帽子の中に収めるんじゃないかなぁ、普通。

洋菓子の修行の様子も、「うーーーん」という感じ。洋菓子って、普通の料理よりもデリケートで、「このくらいで良いや」というアバウトなことじゃなく、きちんと分量を計って、時間を見て、化学の実験のようにしっかりと管理していくイメージがある。そして、一瞬映画の中で出てくるノートでも、そのあたりを垣間見せている。でも、蒼井優さんの洋菓子修行では、そういったシーンは皆無。ほとんど感覚的な作業に終始している。大体、そのノートのシーンで「全然わかんない」とか言ってるし。

あと、洋菓子店での作業シーン、素人が見ても素人色丸出し。せっかく顔が写らないように手先だけのカットにしているんだから、もっと上手な人を使ったら良かったと思う。

店主の旦那さんに頼まれて持っていくケーキも、「おいしいねぇ」と喜んでもらってはいるけれど、それって自分で作ったケーキじゃなくない?いや、もしかしたらそうなのかも知れないけれど、そういう描写が全くない。編集の都合ですっ飛ばされちゃったのかも知れないけれど、もしそうなら、他にカットできるシーンはいくつもあったと思う。そうそう、そのケーキを持っていくのだって、家を訪ねるのに誰の家かわからないっていう設定も意味不明。

他にも、伝説のケーキ職人がたばこをスパスパ吸っていたり、これから勝負のケーキ作りっていうところで調理台に座っていて、そのあとエタノールか何かで拭いてはいたけれど、座っていた場所と違うし、大体あんた化粧が濃すぎるよ。なんか、そういうひとつひとつのところにリアリティがない。

なつめの設定も微妙。全然魅力的じゃない。わがままな田舎者っていう感じで、しかも物語を通してほとんど成長していない。成長してないのに、なぜかケーキ作りの腕だけは上達しているらしい。でも、それがなぜなのかさっぱり伝わってこない。映像では味を直接表現することはできない。何か他の方法で「美味しくなった」ということを伝えなくちゃならないのに、それが全然みあたらない。

この間観た「あしたのジョー」もそうだったんだけど、せっかく役者さんたちが良い演技をしているのに、他の部分でぐいぐい足を引っ張って、映画トータルで見ると「うーーーーん」という出来になっちゃっている。

映画の日とか、レディースディとかに1000円ぐらいで観るには悪くない。ドラマだけど、テレビよりも映画館向きなのは、音の大小にかなりのメリハリがあるから。☆1つ半。

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