2011年03月10日

雑文:日本のシンクタンクとは

友達がツイッターで「シンクタンクへの就職も選択肢」みたいに書いていたので、ワンポイント。前にも似たようなことを書いたと思うけれど、探すより書いたほうが早い。

シンクタンクの仕事は大きく分けて3種類ある。一つは企業のアドバイザー的な役割。二つ目が看板付け(箔付け)。三つ目が小間使い。

多くの人は一つ目の、アドバイザー的な役割がシンクタンクのメイン業務だと勘違いしているけれど、実際にはこの業務はあまりない。なぜなら、ちょっとした企業なら、シンクタンクに相談なんかせず、自前で検討して答えを出すからだ。だって、シンクタンクの無責任なアドバイスに従って何か間違った経営判断をしてしまったらどうする。結果的に損害が発生してもシンクタンクは責任を取ってくれないのだから。真の実力があるなら別だけれど、そんな実力があるシンクタンクが国内にあるのは今のところ見たことがない。

二つ目の看板付け。実はこの仕事はそこそこある。要は、クライアントの社内的な調整において、「○○総研さんもこう言ってます」という、担当者の自説の正当性を補強する目的のものだ。特に半ば官僚組織的な旧態依然とした大企業では、この手の書類のニーズがまだあるようだ。

三つ目の小間使い。これは圧倒的にというか、ほとんど全部役所からの仕事である。まず、事務局みたいな仕事。この仕事はついこの間まで、役所の天下り法人が担当していた(バイオで言えばバイオインダストリー協会とか)のだけれど、その手のお金の流れに対して2000年ぐらいからチェックが厳しくなって、仕事を出しにくくなった。それで、財団法人やら社団法人やらにこの手の仕事を出せなくなって、でも、忙しいし、こんな仕事やりたくないよね(中央の官僚)、というのをチョロチョロとシンクタンクに出すようになった。面倒くさいだけで馬鹿でもできる仕事だ。それから、財務省説明などに使う資料の作成。これなんかは、入り口と出口が決まっていて、中身をなんとかしろ、という仕事。喩えて言えば、「出演する役者は里見浩太朗と東幹久と的場浩司です。登場人物は黄門様と助さん、格さんです。ラストは助さんが印籠を見せて、みんなが土下座して、黄門様が大笑いして終わりです。間のストーリーを考えてください」という感じ。クリエイティビティ(繰り返しますが、「クリエイティビティ」です。調査能力とか、分析能力ではないです)を全く要求されないものではない。ただまぁ、「バイオ市場を試算してください。結果は2010年で25兆円にしてください」というオーダーが出て、それにぴったりと合うような試算をすることが楽しいかどうかは正直微妙である。さらに、色々な資料で「○○総研の試算によると」と書かれてしまう。「おいおい、2010年のニューバイオ市場は3兆円ぐらいなんじゃないの?酷い計算間違いだな、25兆円って、脳みそ大丈夫か?」みたいなことになって、責任を取らされるのもなんとなくすっきりしない(笑)。まぁ、それなりにお金は貰っているのだし、その責任料も込みではあるんだけれど。

それで、シンクタンクの質は?ということになると、当然のことながら、1の仕事の割合が多いほうがレベルが高いということになる。だから、シンクタンクがまともな会社かどうかを判断しようと思ったら、そのシンクタンクの受注実績における産官の比率を調べれば良い。

官僚は、間違ってもシンクタンクの出した数字を鵜呑みにしたりなんかしない。だって、自分たちのほうが最新のしかも良質なデータを持っているんだから。僕は三菱総研から経産省に行って、彼此の差に唖然としましたよ。

この記事へのコメント
私、数年前までシンクタンクと呼ばれるところに
派遣ですけど事務で行ってましたー。

理事長はとても尊敬できる人だったけど。。。
あとは?って感じでしたね(^_^;)
Posted by cocoa at 2011年03月10日 16:04
> 私、数年前までシンクタンクと呼ばれるところに
> 派遣ですけど事務で行ってましたー。

えええ、そんなところに行ってたんだ!

> 理事長はとても尊敬できる人だったけど。。。
> あとは?って感じでしたね(^_^;)

ありゃりゃ(涙)

ちなみに三菱総研は別に馬鹿ばっかりというわけじゃないです。馬鹿もウソツキもいますが、どちらかと言えばちゃんとした人が多い。でも、政策立案する会社じゃないんだよな。その能力もないし。彼らが悪いんじゃなくて、役所が強すぎるんです。
Posted by buu* at 2011年03月10日 16:12