2011年03月12日

Twitter後のネット社会 番外編 その1「情報拡散は公式RTを利用しよう」

拙著「Twitter後のネット社会」2−4において下記のような記述があります。

デマに対しては2ちゃんねるですら「ソースを出せ」というオーダーがでるものですが、Twitterの場合は「誰が言い始めたんだ」という部分がわかりにくく、結果として「デマに弱い」状況が生まれています。特に多いのが「助けてください」と人情に訴えるものなので、注意が必要です。Twitterの情報に触れたときは、常にその信頼性に気を配る必要があります。(要約)


今、まさにこの状況が生まれています。現時点では、Twitter、mixi、Facebookは、それぞれデメリットよりもメリットが生かされている状態です。特にTwitterは、公式RTを上手に活用し、必要以上の情報の増殖が抑制されています。しかし、そんな中でも、徐々に不確実な情報が現れてきています。例えば、この情報です。

【拡散】友達のお父さんがコスモ石油に勤めていて教えてもらいました。首都圏の方へ。千葉の製油所、製鉄所の火災の影響で首都圏では、科学薬品の含まれた雨が降ることが予想されます。 傘やレインコートの使用をお願いします!雨にあたらないようにしてね!


この情報はまず間違いなくデマです。こうした情報が「善意」によってどんどん増幅してしまうのがネット社会の脆弱性です。しかし、もちろん、対策はあります。Twitterを利用している方は、「拡散希望」と言われ、その情報を拡散する場合には、必ず公式RTを利用してください。これによって、情報発信拠点の固定化が可能になります。もし初期情報提供者が自身の発信した情報について間違いであると認識した場合、大元の情報を削除することによって、Twitter上の情報は全て削除されます。情報伝達の途中で誰かが非公式RTを実施した場合、その情報は削除が不可能になります。

また、Twitter上の情報を他所(例えばmixi)に転載する場合は、「拡散希望」といったやり方はやめてください。あくまでも、自分のマイミクまでにとどめてください。情報の発信拠点の固定化が必要ないのは、情報の信頼性が担保されている場合のみです。今回の例で言えば、「友達のお父さん」という情報源に全く信頼性がありません。また、もしその情報が重要なものであれば、インサイダー情報としてではなく、必ずオフィシャルな形で報じられます(例えば、NHKの番組で告知されるなど)。

ただ、緊急の情報というのも間違いなくあります。ですから、情報を拡散する際は、必ずTwitterの公式RTを利用してください。今は誰もが「デマ」を流してしまう時代です。そして、それが社会を混乱させます。誰もが情報を容易に発信できるからこそ、それぞれが発信する情報に対して慎重である必要があります。Twitterの場合は、「公式RTを利用する」というだけで、かなりのリスク軽減が可能になります。

ただし、もちろん何でもかんでも公式RTをすれば良いというわけではありません。必ず、「これは本当だろうか」と一度考えるようにしてください。また、流してしまったデマは削除せず、修正するようにしてください。削除してしまっては、デマだったことが周知されず、拡散に歯止めが効かなくなります。

17:04追記
朝日新聞のサイトにデマであると掲載されました。
コスモ石油が否定 「火災で有害物質降る」のメール連鎖

この記事へのトラックバックURL