2011年03月18日

追悼「買い占めするならカネ送れ」

昨日(というか、ほぼ今朝)アップした「買い占めするならカネ送れ」の動画がうまく拡散してくれて、かなり大勢の人に見てもらえたようだ。言うまでもなくこの動画は著作権を侵害していたので、あっという間にYouTubeの運営者の手によって削除されてしまった。命はおおよそ24時間(笑)。前回の「ケツダンポトフ編」の時は、土曜日の夕方にアップして月曜日の昼に削除された。再生回数は9000回で、はてブは100ぐらいだった。今回の動画はそこまでの勢いはなかったと思うのだが、ちょっと早すぎた印象もある。どうせ消えてしまうにしても、あと1、2日はもって欲しかった。なぜなら、首都圏の「買い占め」は、おそらくはあと4、5日で解消するはずだからだ。計画停電は、実際に電気を作る部分に障害を抱えているので、なかなか改善されない。でも、物不足は、実際には不足していないのだから、買い占めをしたい人たちの家に商品が山積みになった時点で解消するはずである。その飽和点に達するまでに、長くて4、5日じゃないかな、と思うのである。もうすでに豆腐は回復しているし。だから、せめて日曜日ぐらいまでは、と思っていたのだけれど、YouTubeの中の人は思ったよりも仕事が早かった。

実はさっき、2時間ほどツイッターで動画に対するリアクションを読んでいた。早いペースの時は、1分で30ぐらいの投稿があって、結局そのペースは3時くらいまで衰えなかった。僕は動画のキャプションのつけ方を覚えてまだ2週間も経っておらず、「天才」だの、「ネ申」などと言われるような能力はこれっぽっちも持ち合わせないのだけれど、多くの人が「楽しめた」とか、「吹き出した」とか、「この一週間で一番笑った」とか書いてくれているのを読んで、作ってよかったなぁと思った。「Twitter後のネット社会」を読めばわかるけれど、僕はツイッターを万能だとは思っていないし、むしろ適度な距離をもって付き合ったほうが良いツールだとすら思っているのだけれど、「あぁなるほど、こうやってリアクションがあるなら楽しいよなぁ」と思った。これはブログでは味わえないものだ。そして、暗いニュースばかりの今の日本語圏の人達に、少しでも「笑い」を与えられたことが何よりも嬉しかった。

ただ、ちょっと危ない部分も感じたのも事実である。たまたま僕のリアルフレンドの一人が動画に対してコメントしているのを見つけたので挨拶したのだが、「あれ?元木さんだったの?」という返事が来たのである。でもまぁさもありなん。僕は動画の詳細に1.動画の背景へのリンク、2.転用元となっている映画のレビューへのリンク、3.「ヒトラー 〜最期の12日間〜」のDVD販売サイトへのリンクの3つを明記したのだけれど、多分、多くの人はそこまで調べないんだと思う。しかし、だとすれば、この改変動画はちょっと危険である。なぜなら、「ヒトラーは世界史の中でも突出した独裁者であり、ユダヤ人に対するホロコーストを指令したと言われている人物である」ということが共有されている必要があるからである。日本語の字幕が読める人であれば、ほとんどの人がその事実を共有しているはずだが、もちろん100%ではない。だからこその、映画レビューへのリンクであり、販売サイトへのリンクなのだ。この保険を完全にネグレクトされてしまうのは僕の本意ではない。

#ちなみに件の友人はきちんとした一般常識を持った人なので、別に背景の説明は不要なのだが。

この動画の面白さは、誰もが知っている人類史上屈指の悪人が、至極まっとうな正論をぶつところにある。いくつかの細かいユーモアは盛り込まれているが(関西人の納豆とか、花粉症とか、総統閣下シリーズ定番の空耳とか、さらにはタイトルも「同情するなら金をくれ」というセリフのパロディである)、一番のポイントは、言うまでもなくヒトラーが正論を展開するというギャップにあるのだ。だから、「ヒトラーは悪いヤツ」という大前提は、必ず共有されていないと困るのだ。

また、映画ファンの一人として、「ヒトラー 〜最期の12日間〜」という作品に対する興味も持ってもらいたいとも思っている。映画のレビューでそのあたりについては触れているけれど、この作品は役者たちの名演技によって素晴らしい映画に仕上がっている。もう観た人たちは、「あぁ、あの名画の、あの場面だな」とすぐにわかるはずだけれど、未見の人には、「この動画は映画のどんな場面なんだろう。今度、ビデオを借りてみようかな」と思ってもらいたいのである。僕自身、この作品に対するリスペクトがあるからこそ、こういったパロディ動画が多くの人に受け入れられたのだと思う。そして、動画の面白さをきちんと理解してもらい、楽しさを共有してもらうためにも、ぜひ映画を見てもらいたいのである。

たった4分の動画だけれど、僕としては、暗い話題ばかりの日常をちょっと忘れてもらうこと、日頃の困ったことに対するメッセージ、被災者から支援者へのメッセージ(今はボランティアは要らない、モノも微妙だ、まずはお金が欲しい)、そして首都圏に住む僕達の役割、そして、映画の面白さを盛り込んだつもりである。

「そんな面倒くさいことはどうでも良いよ、面白ければ」などと言わず、ぜひ仙台の被災者のメッセージと、映画のレビューを合わせて読んで欲しいと思う。今ならTSUTAYAで200円で借りられるのだ。

さて、どうしようかな。もちろんネタは手元にあるから、ニコニコにアップするのでも良いし、つべに再アップでも良いんだけれど・・・。

2011.3.18 6:02追記
そういっていたら、どこかの誰かがニコニコにアップしてくれた(笑)そういえば「著作権放棄するから好きにして」って書いたんだった。これじゃぁ、どうしようもないなぁ。アップしたの僕じゃないから、会社のinfoのメアド宛とかで「削除してください」とかメールしないでくださいね(笑)

ニコニコ版「買い占めするならカネ送れ」

2011/3/18 13:40 追記
色々あって、結局再アップしました。こちらをどうぞ。
復活の「買い占めするならカネ送れ」

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