2011年03月22日

大気にも、海にも、放射性物質はばらまかれた

大本営がまともな情報を発信してくれないので、世の中に散らばっている情報を自分で集めてくるしかない。とにかく、原子炉周りでは色々なことが起きているようだ。アエラが「放射能が来る」と書いたら「風評被害だ」と大ヒンシュクを買ったようだけれど、僕はあながち間違っているとも思わない。先日速報した東京都産業労働局のデータがまず最初の論拠。「東京まで放射線は飛んでこない」というのはあくまでも線源となる物質が福島に固定化されている場合であって、ヨウ素やセシウムが大気浮遊塵となって直接飛んできてしまえば(これを称して「放射能が来る」とするのはそれほど的の外れた表現ではない)、もちろん放射線量は増加する。そして、東京都産業労働局のデータは、それを裏付けている。

東京都産業労働局「都内における大気浮遊塵中の核反応生成物の測定結果について

昨日、今日ぐらいから、「ほうれん草や水にヨウ素やセシウムが規制値を大幅に上回る量検出された」という報道が出てきているが、これも線源が原子炉に固定化されていないことを示している一例だ。

放射性物質、ホウレンソウから最大27倍(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110320-OYT1T00403.htm

福島県飯舘村で水道水から基準の3倍の放射性物質、飲用控えるよう要請(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110321-00000502-san-soci

福島第1原発:海から放射性ヨウ素 限度の126.7倍(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/today/news/20110322k0000m040158000c.html?inb=tw

政府は公式に認めていないのかも知れないけれど、少なくとも「放射性物質漏れ」は間違いがない。一部は爆風や煙、水蒸気に混じって大気に放出されたし、また一部は原子炉を冷やすためにかけられた大量の水に混じって海に流れ込んだはずだ。

今日(もう昨日)の昼のNHKのニュースでは、「雨のために放射線量が強めに検出されている」とアナウンサーが説明していたけれど、その内容もあやしい。理化学研究所の研究者が茨城県のモニターデータを使って茨城県東部の放射線モニターデータを解析してくれているのだけれど、

茨城県東部 放射線モニターデータ解析

これを見ると、21日の3時頃に何かがあったことをうかがい知ることができる。データは福島県ではなく茨城県のものだけれど、「何かが来ている」ことは間違いがない。また、下記を見ると、場所にもよるけれど、21日の放射線量は15日のピークとほぼ同等だ。

http://ag.riken.jp/u/mon/

飲料水や牛乳、ほうれん草への影響は15日に起きた放射性物質漏れが引き起こしたと推測されるけれど、それと同じくらいの「放射性物質」が、21日の深夜にも漏れたと考えるのが妥当なのである。

さらに、文科省はこんなデータも開示している。

環境放射能水準調査結果(定時降下物)(3月20日9時〜21日9時採取)(PDF)

岩手、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京あたりはかなりやられている。福島はデータがないが、周囲の状況から推測すれば、茨城、山形並かそれ以上にやられていて何の不思議もない。これまで、東京1点のデータを見て「関東一円にばらまかれていても不思議ではない」と書いてきたけれど、北関東から千葉、埼玉、群馬、東京ぐらいまではアウツのようである。もちろん、濃淡の差はあるのだが。

それで、問題は、こうやって放射能に汚染されてしまった影響はどの程度なのかということなのだ。ただ、それを議論するには、まだちょっとタイミングが早いのかも知れない。その理由は2つあって、1つには、今後さらに放射能汚染が深刻化する可能性があること(また放水したり、爆発したり、状況が悪化すること)、もう1つには現在はヨウ素とセシウムのみしか検出していないけれど、他の元素(例えばプルトニウム)についても調査が必要なことによる。

どちらにしても僕達は、今回の件で食物や飲料水に取り込まれることになった放射性物質の影響を、関東に住んでいる人間数千万人の体を使って疫学的に調べることになったわけだ。短期的にはヨウ素の影響を、長期的にはセシウムの影響を、そしてもしかしたらその他の元素についても、好むと好まざるとに関わらず、調べることになる。

それにしても、自民党政権だったらここまで情報が漏れていたんだろうか。政治主導に見せたがっている民主党政権は必ずしも中央官僚と良好な関係を維持しているとは思えず、その結果、情報統制がうまく行かずにぼろぼろと情報が漏れてしまっている印象がある。例えばこんなニュースとか、国が自治体から刺されているような感じである。

○ 現場を知らない本部の人達から、東京消防庁が現場で判断した方針を変更するよう度々要求された。
・放水は当初4時間の予定だった。その後状況を勘案し、必要に応じ再度放水することにしていた。しかし、連続して7時間放水し続けるよう執拗に要求された。結果として、7時間放水することになったが、そのため2台ある放水塔車のうち1台がディーゼルエンジンの焼き付きにより使用不能となった。
・東京消防庁にて海から放水塔車までの給水ホースの設置ルートを800メートルの最短距離で、設定していたが、遠回りにするように執拗に要求された。
・「俺たちの指示に従えないのなら、お前らやめさせてやる」の発言もあった。

出典:福島原発の放水活動で東京消防報告。今後の教訓にしたいこと。(猪瀬直樹Blog)

もちろん、情報がきちんと提供されるのは好ましいことなので、引き続きこうであって欲しいのだけれど、どうせなら、漏れてしまった情報に対しての対応もきっちりとやってもらいたいと思う。

#ローカルな放射線情報:和光市は理研にモニタリングポストがあります。
15日
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18日
19日
20日
21日

明日のデータを見るのがちょっと怖い。

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この記事へのコメント
新宿に住んでます。
「6都県の水道水から放射性物質 健康に影響なし 文科省」3.19 22:31
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110319/dst11031922320114-n1.htm
というニュースがありましたね。
私もそれ以来、文科省の数値をチェックしています。
蛇口水と定期降下物ですね。
自分が東京在住なので、とりあえず埼玉県(さいたま市)、千葉県(市原市、)東京都(新宿区)、神奈川県(茅ヶ崎市)の数値をメモしてます。
仕事で家にいない時以外は、ずっと情報集めて心身共にフラフラなんですが、調べない訳にはいかんのです。
今日3月20日9時~21日9時採取の定時降下物をチェックしてギョッとしました。
特に埼玉県の「ヨウ素131/セシウム137」の数値が
昨日の「66/不検出」から「7,200/790」になってますよね。
この数値って、1日の検出量ですよね。
ヨウ素131が7,200(MBq/km2)って、「7,200マイクロベクレル」
つまり「7,200マイクロシーベルト/1日」ということなんでしょうか。
7,200マイクロシーベルトとは7,2ミリシーベルト。
CTスキャン1回が6,9ミリシーベルトですから、ほぼ同じ値です。http://twitpic.com/48sj8n
まあ、24時間外に出てる人はいないと思いますが、8時間くらいならいるでしょう。
3日8時間外にいたらCTスキャン1回。
しかも、外から帰ったら除染しないとなりません。
8時間外にいて普通に帰ってしまったら、衣服についたヨウ素131はまだ活躍します。
この考え方は間違ってるでしょうか?
もう計算もさっぱり自信ないのです。勘違いならいいのですが。
毎日、蛇口水と定期降下物の数値を調べて暮らすなんて神経衰弱になってしまいます。

Posted by おるねら at 2011年03月22日 08:26
続きです(800字を超えてしまいました)


今回の放出は、燃料棒の放射性物質が完全になくなるまで数ヵ月間続く可能性があるというし。
http://wiredvision.jp/news/201103/2011031621.html
3号機の格納容器の底が破損してるんだから当然なんですよね。

いつもアドルフから追い出される「理系じゃないヤツ」なので、さっぱりわかりません。
Posted by おるねら at 2011年03月22日 08:27
21日3時頃の「なにか」って風向&風の強さじゃないすか?
どっかで日本地図(全体)と放射能濃度の時間に対するgifアニメを見ましたが、最初のころは運のいいことに(?)ほとんど海に流れて行ってる状況でした。
Posted by e- at 2011年03月22日 08:32
閣下の動画拝見しております。

東京都は節電といい今回の消防庁のことといい、どうしてこんなに国に非協力的なのでしょうか?「いかなければ〜」と脅したと言われますが、消防庁の方は12日頃からこういった事態を想定し訓練していたと会見で話しており、矛盾を感じます。

またこの状況の中で都知事選をやるというのは、無謀ではないでしょうか?
Posted by みほ at 2011年03月22日 10:40
友人のツィッター&mixiからたどり着きました。わかりやすいご説明をありがとうございます。
いたずらに不安を煽られている毎日ですが、たとえどうなろうと、正確な情報があれば心の準備をできるのに・・・と感じています。

姑はいわき市におります…お米、水など生活必需品はご近所の方が運んできてくださるので、とりあえず困らないということですが、近所の診療所は受診したくても、ガソリンがないので移動ができない、当然、公共交通は使えません・・・なによりも迎えにさえ行けないことが悔しいです。とりあえず20箸鯑れて途中でガソリンスタンドに並びながら行ってみようたと考えましたが、姑の『まだ、大丈夫だから』に甘えさせてもらっています。
何か不自由していない?とバカなことを聞いてしまったら『クリームパンが食べたい』と・・・
Posted by sakura at 2011年03月22日 11:44
> 特に埼玉県の「ヨウ素131/セシウム137」の数値が
> 昨日の「66/不検出」から「7,200/790」になってますよね。
> この数値って、1日の検出量ですよね。

ベクレルは一秒あたりの単位なので、一日の平均だと思います。

> ヨウ素131が7,200(MBq/km2)って、「7,200マイクロベクレル」
> つまり「7,200マイクロシーベルト/1日」ということなんでしょうか。

違います。

> この考え方は間違ってるでしょうか?

全く間違っています。今は面倒臭いので計算しませんが。

> 毎日、蛇口水と定期降下物の数値を調べて暮らすなんて神経衰弱になってしまいます。

あまり気になるようなら関東を離れたほうが良いと思います。
Posted by buu* at 2011年03月22日 12:56
> 21日3時頃の「なにか」って風向&風の強さじゃないすか?

いや、あの「なにか」は、ヨウ素とセシウムでしょ。それだけかどうかはわかりませんが。ドライベントをやったのかも知れません。

菅さん、21日に福島に行く予定だったのに天候不順を理由に取りやめたような気もします。
Posted by buu* at 2011年03月22日 13:00
> 東京都は節電といい今回の消防庁のことといい、どうしてこんなに国に非協力的なのでしょうか?「いかなければ〜」と脅したと言われますが、消防庁の方は12日頃からこういった事態を想定し訓練していたと会見で話しており、矛盾を感じます。

いや、東京都は凄く協力していると思いますよ。僕には、政府と東電の幹部が馬鹿に見えます。

> またこの状況の中で都知事選をやるというのは、無謀ではないでしょうか?

石原さんとそのまんま東さんが有力候補なんだから、いつやっても一緒だと思います。僕は都民じゃないし、都に税金を払っているわけでもないので、基本的に部外者ですが。
Posted by buu* at 2011年03月22日 13:03
> いたずらに不安を煽られている毎日ですが、たとえどうなろうと、正確な情報があれば心の準備をできるのに・・・と感じています。

ちゃんと教えてもらえないんですから、不安になるのは当たり前ですね。中途半端に情報が漏れてくるのは、全く情報が流れてこないのとそれほどかわりがありません。また、「すぐには影響が出ない」という言い方もどうかと思います。嘘をつかないように配慮しているんでしょうが。

> ガソリンがないので移動ができない

日本石油が生産を再開したとのことで、徐々にガソリン不足は解消すると思います。
Posted by buu* at 2011年03月22日 13:07
ありがとうございます。引き続き愛読していきます。
Posted by おるねら at 2011年03月22日 13:46