2011年04月05日

八日目の蝉

b978cc39.jpg原作未読でまっさらのままで試写会鑑賞。

悪い奴は主人公の父親で、この馬鹿男のおかげでたくさんの登場人物たちの歯車が狂ってしまうのだけれど、フォーカスはこの馬鹿男には当てられない。被害者であり、加害者である女性を主軸にして話が進んでいくのだけれど、観ていて「これだけ広げた風呂敷をどうやって畳むのだろう」と心配になった。では、それがどうやって畳まれたかというと、それを書くとネタバレになってしまうので追記に書くことにする。

まず、この映画のダメな所を先に挙げておく。一つ目は、劇団ひとりさんの演技。この人、役者として評価されているんですか?良く知りませんが。一昨年だったか、南原さんのひどい演技に最悪演技賞を差し上げましたけれど、本作の劇団ひとりさんの演技も最悪。全体を通じてそれなりに芸達者な人たちがやっていたので、その下手っぷりが目立つこと目立つこと。今年度のきいちご賞助演男優賞はほぼ確定って感じ。次は、途中で岡山観光映画になってしまったこと。文科省の助成金とかをもらうとこういうシーンを入れなくちゃならなくなるのですかね?「いらねぇだろ、このシーン」というのが結構たくさんある。おかげで2時間30分近い映画になってしまい、腰が痛くなった。三つ目は、井上真央と永作博美がおっぱいを見せないことによって不自然な演出になってしまったこと。「その場面で、その処理はないだろ」とイライラする。いや、「見せろ」ということではないんです。見せないことによってものすごく不自然なシーンになってしまった。特に永作さんのシーン。最後に、監督の演出力。成島監督の作品を観たのはこれが初めてだけれど、音楽の使い方を筆頭に、「うわー、ベタすぎて下手くそな監督だなぁ」というのが僕の正直な感想である。あと、「逃げ回っている」という雰囲気が全然感じられなかったのは非常に残念。ただ、何から何まで駄目だったかというとそうでもなくて、丘にある被害者の家を下から仰ぐアングルでのシーンを多用するなど、良い効果を出している部分もあった。マイナス10ポイント、プラス3ポイント、トータルでマイナス7、といった感じ。

ということで、減点要素はこれだけ。ストーリー的には非常に興味深いものだった(不倫相手の子供を妊娠、というのは、知らないだけで結構あるんだろうなぁ)し、特に女性から見たら、この映画は色々と共感するところが多いのではないかと思う。永作博美と子役の渡邊このみの演技もみごと。特に渡邊このみさんの演技は素晴らしい。子役って、この間の「キック・アス」もそうだけれど、ワイルドカードだよなぁ、と思う。余貴美子さんや風吹ジュンさんはもちろんだし、20世紀少年でただおっぱいがでかいだけじゃないことをアピールした小池栄子さんもきちんとしていたと思う(演出には難があったものの、これは彼女のせいではなく監督のせい)。

女性はしっかりしている人ばかりで、男はだらしない奴ばかり、という映画はちょっと前にも何かで観た気がするのだけれど、この映画もそんな感じ。ほとんどまともな男が出てこない。唯一、カメラ屋のおやじだけはすげぇ超能力で、「お前、渡邊このみの20年後が井上真央ってわかるのかよ!滅茶苦茶すげぇな。やっぱ、あれか、ニュータイプって奴か!」って言いたくなる位に凄かった。存在感抜群。でもそれだけかな。ちょっと、同性としては残念。

「母性」というものを扱ったという点では「ジーン・ワルツ」と良く似ているのだけれど、本作の方が出来は格段に良いと思う。監督が別で、劇団ひとりさんが別の役者さんだったらもっと、ずっと良くなったとは思うけれど、仕方なし。これだけのマイナスポイントがあっても、評価は☆2つ半。

以下、ネタバレ。
終わってみると、広げた風呂敷は全然畳んでない。「混沌とした過去はそのままに、将来へ向けた再生を語る」という構成。既存の方程式は喪失→再生だったのだけれど、本作は大前提の「喪失」が存在しないところが新しい。色々なモヤモヤが残るのだけれど、そういったモヤモヤを放置しつつ、力強く再生を語ったところが高く評価できると思う。

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