2011年04月22日

ぼくのエリ 200歳の少女

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]

なんか、静かで芸術的な雰囲気と、美少年と美少女、そして吸血鬼のホラーの取り合わせが物凄く微妙な作品。見事に融合しているという感じではなく、メロンと生ハムみたいな(僕は、それぞれを別々に食べたほうが美味しいと思う)。

だけど、つまらないかといえば全然そんなことはない。静かな中にもメリハリがあり、ラブストーリーの中に喜びがあり、不老不死の吸血鬼と、それに仕える普通の人間の悲しい関係を描き出している。

ただし、この映画は大きな、とても大きな問題を抱えている。それを知らないと、映画は全くと言っていいほど違うものになってしまう。そこについては超ネタバレなので、追記に書く。映画自体の評価は「ぼかされてしまった大きな問題」をネグレクトして、☆2つ。
さて、ネタバレ。

映画を見ればわかるけれど、この映画ではエリの裸のシーンでぼかしが入る。「少女ヌードだから?」と勘違いするのが普通なのだけれど、実際は違う。このシーンで映しだされるのは、オチンチンを切り取った痕なのである。つまり、エリは吸血鬼であると同時に男なのである。だとすれば、先代のエリの面倒見役、そして、代替わりしてのオスカーとエリの関係というのは、男と女の関係ではなく、人間と吸血鬼の関係なのである。何も知らないで見てしまうと、「あぁ、あのおじさんも昔はエリと良い仲だったんだけれど、おじさんだけ普通に年を取っちゃったんだな、それで、代替わりってことで、自分はそろそろ退場することを選んだんだな」みたいに感じてしまうだろう。私のことを少しでも理解して、というセリフの意味も一層重くなるし、ラストのオスカーの判断が意味するところも大きく変わってくるわけだ。映像をぼかしてしまったために、映画の持つ本来の意味も全くぼけてしまったことになる。字幕で工夫することもなく、さらにはタイトルで「200歳の少女」などと謳ってしまい、ミスリードを誘ってしまっている。これは、ちょっとなぁ、と思ってしまう。映画を見て、この「実はね・・」というネタを読んだら、もう一度見てみると良いかも知れない。

この記事へのトラックバックURL