2011年06月01日

黒ひげ危機一発ゲームの行く末

ようやく内閣不信任決議案が提出されたらしい。

3.11はいわば黒ひげ危機一発ゲーム開始の合図で、要は誰がやってもババを引く性質のものだった。なぜなら、基本的に対策を考えていたのは官僚だし、いままで失点を積み重ねてきたのは自民党で、その部分は単に過去の積み重ねであって、変更のしようがないからだ。誰かがババを引くゲームで、そのババを菅直人が握っているときに地震が起きてしまったに過ぎない。

以後、総理大臣という役職がババと分かっているから誰も持ちたがらず、それでも何故か菅直人がそのババを持ちたがるものだから、「奇特な人ですね。じゃぁ、そのままよろしく」と、ババを持たせたままでつかず離れず、適当な距離感を持ちつつ皆さんやってきたようだ。

これが自民党政権だったら、もうちょっと官僚諸氏とうまくやっていたんだろう(それが良い、悪いはまた別の話)けれど、民主党が「政治主導」なんていう看板を掲げていたものだから、官僚の皆さんは政治主導に見せかけるのに疲れてしまい、政治家は独断で勝手に発言することこそ政治主導と勘違いし、アチラコチラでぼろが出てきてしまった。ちょうどインターネットが一定の情報発信ツールとして機能し始めていたころだったので、そのぼろは既存メディアを介さずに勝手に流通してしまい、政府への不信感は増大する一方。僕の知る限り、ここまで国家への信頼が揺らいだのは初めてだろう。厚生労働大臣が「大丈夫なんですよ!」とかいわれ大根をほおばっていた頃はなんと平和だったことか。今になっても「総理!総理!総理!さくらんぼを食べに来てくださいっ」とお願いするようなおっちょこちょいも田舎に行けばいるようだけれど、残念ながら、そんなことをやっても何の解決にもならない。日本自体が、「政府を信用する派」と「政府を信用しない派」にわかれてしまい、政府を信用しない派の勢力は拡大する一方だ。これでは、「ババを引きたくないなぁ」と思って遠巻きにしていた野党の皆さんもさすがに支持者を抑えきれない。これまでは「今は政局よりも支援をどうするか考えないと」などと、一見被災者を慮っての正論を述べていれば良かったのだけれど、菅政権が想定以上のダメっぷりでの不信任決議案提出。「もうちょっと頑張ってくれれば良かったのに」というのが正直なところなんだと思う。

さて、明日の午後はそれなりに楽しみで、どういうことになるのやら。まさか小沢や原口や鳩山が不信任に反対するとも思えず、不信任に賛成した議員をそのまま民主党内に置いておくことも考えられない。いよいよ、政界再編になるのかも知れない。

この不信任決議案の採決にはいくつかのパターンが考えられるのだけれど、結論が出るまでに一日もないのだから、「黙って明日を迎えましょう」という感じでもあるのだけれど、泰山鳴動して鼠一匹出てこない、なんてことはさすがにないだろう。最悪の事態は民主党が反菅勢力の切り崩しに成功して、造反者が全然出てこない、というものだが、ちょっとこれは考えにくい。そこそこの造反者が出て、じゃぁ、不信任決議案が可決するのか、否決されるのかが焦点だ。否決された場合、民主党は分裂が避けられず、野党第二党としての小沢新党が登場するわけだが、臨時国会に向けて政権運営はフラフラな状態。一方で可決されても民主党は分裂、その上で菅内閣は総辞職で、谷垣を中心とした救国内閣を構成することになるだろう。さすがに、解散総選挙はないんじゃないかな、と思うので。

さっき、Yahoo!には「被災地が怒っている」という記事が掲載されたけれど、被災地の皆さんは全員不信任決議案に反対なんですかね?なんか、こういう報道のやり方もどうかと思う。それから、朝日新聞の社説に載った「そんなことやっている場合じゃないだろ」という意見もどうかと思う。だってさ、菅内閣じゃ、まともな政治ができないんだもの。「誰がやっても一緒なんだからせめて邪魔するな」っていうのは明確に間違いだよ。今の政府が駄目なのは、不透明な意思決定と不十分な情報公開、官僚を使いこなせず、野党とも意思疎通ができない、という四重苦だからだ。この状態では、「とりあえず被災地復興を」というのも覚束無い。

僕は、首相が東電に対して浜岡の停止要請をしたという一点のみで、首相の資格はないと思っている。結論に文句を云っているのではなく、その手法について。あれが許されるなら、日本は民主国家じゃない。でも、ここで不信任決議案が出されないなら、あれが許されることになる。喧嘩している場合じゃない?冗談じゃない。今展開されているのは、喧嘩じゃなくて、ポピュリズムを背景にした専制君主制を日本において許容するかどうか、という話。まずは最低限の民主国家体制を復活させてもらわないと。その上で、どうするかを考える、というのはどうしても必要な手続きだ。僕は震災復興を旗印にして民主主義と資本主義が殺されたと思っている。そりゃ、殺す必要があって殺したのなら仕方が無いけれど、僕はそんな必要は全然なかったと思っている。

「ともかく、被災地支援を」という主張をする人には、耳タコであっても

The road to hell is paved with good intentions.
(地獄への道は善意で敷き詰められている)

という言葉を思い出すべき。

誰がリーダーになるとしても、ぶっ壊れてしまった民主主義と資本主義だけはきちんと元に戻して欲しい。

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