2011年08月20日

悪人

悪人 スタンダード・エディション [DVD]

映画上映時から評判になっていたにも関わらず、映画館で観ずに、準新作になってからTSUTAYAで借りてきた。なぜ映画館で観なかったかって、深津絵里の濡れ場ばかりが取り上げられていたから。僕はそういうシーンを映画館で観るのがあまり好きじゃない。

さて、DVDで観てみたら、濡れ場なんて全然大したことがない。深津絵里の演技は体当たりといえば体当たりかも知れないけれど、海外の女優ならこの程度は当たり前。「空気人形」のペ・ドゥナの方が体当たりという意味ではよっぽど体当たりだったと思う。じゃぁ、深津絵里の演技が全然大したことがないのかといえばそんなことはなくて、孤独な女性、取り残された女性、その愛情を物凄く上手に見せていたと思う。こういう演技を、イロモノのように取り上げ、イメージを押し付けるマスコミは死ね、と思う。

ただ、深津絵里は深津絵里で良かったけれど、他の役者たちもみんな良い演技をしている。わがままで身勝手な保険外交員の満島ひかり、他にも余貴美子、樹木希林、柄本明・・・。さすがは「フラガール」の李相日監督だと思った。良い役者を、凄く上手に使う。その中でも一番良かったのは妻夫木聡だと思う。不幸な身の上と環境の中で、彼なりの優しさで生きてきた不器用な青年を好演していたと思う。正直、「南へ」などの舞台作品の彼は、僕はそれほど高く評価していない。彼の演技が細かいからだと思う。そして、細かい演技は映像作品では弱点にならない。堺雅人と同様、映画向きの俳優なんだと思う。この映画の中で、彼は最も存在感を出していたと思う。

脚本も、被害者とその周辺の人間模様をきちんと描いたことによって、単純な「善」と「悪」の対照とせず、人間の複雑さを表現していて良かった。ちょっと残念なところと言えば、主人公の実の母との関わりが今ひとつ丁寧に描かれていなかったこと。ただ、これは映画の長さを考えれば仕方のないところかも知れない。それと、事件の真相を見せていく順番。「実はこういうことでした」というのは、映画のラスト近くで明かされても良かったんじゃないかと思う。

ずっと国道の周辺を行ったり来たりしていただけの女と、目の前に海があってもうそこから先にはどこにも行けないと思ってきた男の、不器用な人間同士の切ない恋愛映画だったと思う。評価は☆3つ。原作も読んでみようと思う。

悪人(上) (朝日文庫)

悪人(下) (朝日文庫)

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この記事へのコメント
是非、原作をお読みください。映画でカットされている部分に主人公のキャラを現すいい表現が多々あります。
Posted by aquanomori at 2011年08月20日 21:05
> 是非、原作をお読みください。映画でカットされている部分に主人公のキャラを現すいい表現が多々あります。

この手の作品はどうしたってテキストで読んだほうが伝わりますもんね(笑)。ちょっと、原作買ってきます。

#ただ、個人的には満島ひかりが好きなんです(笑)。
Posted by buu* at 2011年08月20日 22:01