この手の食の安全本は色々読んだけれど、稀に見る良著。これを読まずに「食の安全」を語るなかれ、という感じ。
僕のような理系の人間でも読み飛ばしたくなるような数字の羅列や横文字の略語がところどころに出てくるのだけれど、このあたりは文字通り読み飛ばしてしまえば良い。大事なことは、そういう数字によって何が導きだされるのか、という、結果の方だから。
何がなんだかさっぱりわからない天然物よりも、人工の物質のほうが動態が把握されていてよっぽど安全かも知れない、というところから始まって、「結局、全世界的なコンセンサスは『バランスの良い、多様な食事が一番』である」というところに落ち着く。
「◯◯が悪い、××がいいらしいと大した根拠もなく“お役立ち情報”をたれ流しているメディアや自称情報通のオピニオンリーダー、そして口コミ情報として伝えられている悪意のない一般の人たち」によって、詐欺に騙されやすい環境が作り上げられているという部分にも全面同意。
あんまり売れているっていう話を聞かないけれど、全国民が読むべきだよ、この本は。評価は☆3つ。