http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110924-00000108-san-soci
例によって産経新聞なので、放射能拡散派の記事だけれど、面白いから取り上げてみる。
「正直何が正しかったのかいまだに分からない」。福島県産の花火の打ち上げを中止した愛知県日進市の萩野幸三市長が22日、花火店などへの謝罪後、報道陣に向けて吐露した言葉だ。
何が正しいかわからないって、本当に馬鹿なんだなぁ、地方自治体の政治家って。ものすごく簡単なことじゃん。福島原発由来の放射性物質が付着しているなら、それは拡散すべきではない、というだけのこと。放射性物質が付着しているかどうかなんて調べられるんだから、調べれば良いだけ。そこまでやる気概があるならどんどんやれば良い。
話をややこしくするのはこの記事に出てきた大津留(おおつる)晶長崎大学病院准教授のコメントみたいなもので、吸い込んだらどうとか、健康被害がどうとか、そういう話ではない。先日の京都の松の薪の話も一緒だけれど、「どうしようもない」とか、「それがないと死んじゃう」とか、「経済に大きなダメージを与える」といった事情がないのであれば、わざわざ放射性物質を日本中にばらまく必要はない、というだけのことだ。
九州大の工藤和彦特任教授(原子力工学)の「花火のケースでは放射性物質が紛れ込むことは考えづらく、住民の不安には本来は理由がない」というコメントもアホかという話で、こいつが考えづらいかどうかではなく、実際の花火に放射性物質が紛れ込んでいるかどうか、調べろ、というだけのこと。「考えづらい」は個人の主観であって、そんなものは何の説得力も持たない。
いや、放射性廃棄物をだんごにして花火を作ったわけじゃないから、安全かどうかって言えば、そりゃ危険性はほとんどないと、僕は思うよ。だけど、それ以前に、単に花火を打ち上げる必要がないと思う。
世界の、どこでも良いよ。「この花火には福島第一原発の放射性物質が付着していますが、健康には影響がありませんから買ってください」って持って行って、誰が「わかりました」と買い取るのか、という話。放射性物質が付着していない花火は山ほどあるし、ましてや、花火はどうしても必要なモノじゃない。
やるなら、福島第一の敷地内でやったらどうだろう。これなら誰も文句を言わないだろう。
物凄く不思議なのは、どうして政治家たちはそうやって放射性物質を少しでも全国にばらまこうとするのか、ということ。福島の支援の方法は他にないの?100歩譲って、花火を打ち上げるにしても、その花火がどの程度の放射性物質を含むのかは公表する必要があるだろう。0ならもちろん何の問題もない。1以上なら、「なぜその花火を打ち上げる必要があるのか。その必要性は、その花火を打ち上げることによって発生するリスクと見合うものなのか」をきちんと説明する必要がある。って、それが面倒くさくなってやめたんだろうけれど、それは政治家としての覚悟が足りなすぎるよね。結局のところ、「花火を打ち上げたら福島の支援になるんじゃないか」と考えた時点でおつむが弱かったとしか言いようがない。
#そもそも政治家なんていうのは「次も当選する」というのが行動原理。つまり、「ここで花火を打ち上げたら、福島を支援したってことで、俺の評価はあがるに違いない」って考えたはずで、だから「馬鹿だなぁ」と思うわけだ。
要は、姿勢の問題。「放射性物質は、極力拡散させない方向で動く」というのは常識中の常識であって、そこんところの国民的な合意を形成する必要があるんじゃないの?まぁ、「色々垂れ流して、わけわかんなくなっちゃうのが一番」っていうのが国の本音なんだろうけど。海に流れだした膨大な放射性物質については、もううやむやだもんね。
#でも、それって国際的な賠償マターにはならないのかな?例えば、米国西海岸で獲れたサーモンから放射性物質が検出された、とかになったら、賠償しなくちゃだよね?
この間、汚染水を9万トン処理したら、また9万トン増えていたっていう話があったけれど、これなんか、たまたま一緒だったんじゃなくて、それ以上のものはあふれるなりなんなりして、海や地下水に流れだしちゃったんでしょ?そうやってどぼどぼ自然界に放出して、獲れた水産物から放射性物質が検出されても「ただちに健康に影響はありません」っていってごまかすのが、国としてのベストシナリオだよなぁ。ま、そんなこと、口が裂けても言えないだろうけれど(国内より、国際的な批判に耐え切れないから)、いろんな政治家の行動からは、そういう本音が透けて見える。「ばらまいちゃえばわからない」。