2011年10月02日

もうダマされないための「科学」講義

もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

主たるテーマは4つで、それを菊池誠さん、伊勢田哲治さん、松永和紀さん、平川秀幸さんが分担して書いている。内容は

1章 科学と科学ではないもの 菊池誠
2章 科学の拡大と科学哲学の使い道 伊勢田哲治
3章 報道はどのように科学をゆがめるのか 松永和紀
4章 3・11以降の科学技術コミュニケーションの課題 平川秀幸

の4つ。この4氏のうち僕が知らないのは伊勢田さんだけ、特に松永さんは非常によく知っている(とはいえ、松永さんのウェブサイトはどれも地震以後ほぼ更新がストップしていて、どうしたんだろう、と心配していた)。

今回この本を読んだのは、今執筆中の遺伝子組換え作物の本に関して、編集担当の方から「こんな本が出てますので、チェックしてみてください」と言われたから。なるほど、確かに役に立った。実際のところ、僕が遺伝子組換えに関係していたのは理研と経産省にいたときで、当事者として最新情報に触れていたのはかれこれ10年近くも前のことである。以後は役人の友達との情報交換や、くらしとバイオプラザ21、バイオインダストリー協会、日経BP、あとは松永さんのウェブサイトなどが主たる情報源で、なかなか一次情報を入手することができなくなっていた。なので、松永さんの意見は、前から良くわかってはいたものの、再確認という意味で非常に役に立った。キクマコさんはツイッターやら何やらでときどき意見を読んでいるし、今回は特に目新しい記述もなく、まぁこんなものだろう、と。平川さんは5月だか6月だかにちょこっとツイッターでお話をさせていただいた程度(しかも、テーマは科学コミュニケーションではなく、カルタヘナ法)なので、実際にはあんまり良く知らなかった(笑)けれど、僕が馬鹿にしている(笑)科学コミュニケーション畑の人らしい。平川さんの主張にはおおまかな所で同意するのだけれど、細かい所ではどうなのかな。今、日本が抱えている課題を4つにまとめているのだけれど、ちょっと評論家的で、実務者レベルの考察ではないな、と感じた次第。あと、伊勢田さんのパートはなんか難しくて良くわからなかった(笑)。ってことは、遺伝子組換えや科学コミュニケーションも、専門じゃない人にはわかりにくいのかもな。とにかく、難しい言葉が多すぎて。特に前半が難しかった。

僕からすると、「科学的とはどういう意味か」の方が大分読みやすかった。って、それは当たり前か。ただ、参考にはなった。参考具合をそれぞれ書くと(☆☆☆が満点、★は☆の半分)、

キクマコ ☆☆★
伊勢田 ★
松永 ☆☆☆
平川 ☆★

という感じかな。トータルでは☆☆。どれか一つでも興味があるテーマがあれば面白いと思う。というか、キクマコさんの総論は多くの人に参考になると思う。全部が全部同じクオリティなんてあり得ないからね(もちろん、それは読み手によって全然変わってくるはずで、僕が松永さんの文章を高く評価するのは、それはそれでレアなんだと思う)。

ちょっと(かなり?)難しい内容だけど、もしドラとかくだらない本を読むくらいならこっちを読んだほうが良いと思うよ。たった800円なんだし。

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この記事へのコメント
> 松永さんのウェブサイトはどれも地震以後ほぼ更新がストップしていて
foocom.netというサイトの編集長をされているようです。
ご存知でしたらすいません。
http://www.foocom.net/
Posted by ベクレルトシーベルト at 2011年10月03日 12:27
> > 松永さんのウェブサイトはどれも地震以後ほぼ更新がストップしていて
> foocom.netというサイトの編集長をされているようです。

ありがとうございます(^^

今、遺伝子組換えの本を書いていて、その調べ物をしていてつい先日見つけました。松永さんの放射能についての考え方には同意しませんが、遺伝子組換えについては相変わらず色々と参考になりました(^^
Posted by buu* at 2011年10月03日 12:38