2011年11月16日

「第三回 鹿島槍蕎麦打ち会」を終えて

今年の蕎麦打ち会は去年にもまして好評のうちに終了することができました。これもひとえに参加していただいた皆さんのご協力のおかげです。35名もの参加者を僕一人でハンドリングできるはずもなく、皆さんが少しずつ、あるいはたくさんの協力をしてくれたからです。本当にありがとうございました。

この蕎麦打ち会、そもそもは僕の友人が「鹿島槍スキー場を買ったので、夏の間に何かのイベントで使って貰って構わない」という話をくれたことと、知人の元五輪選手が、「最近白馬に来てくれる人が減ってきている。寒いのが嫌とか、スキーは面倒臭いというのは仕方ないので、ブルーベリーや蕎麦を食べに来てもらいたいのだが、何か良い知恵はないか」とお酒の席で僕に話しかけたことがスタートでした。ちょうど僕たちは「どうぶつしょうぎ」のマーケティングをしていたので、どうぶつしょうぎと蕎麦打ちをセットにして、鹿島槍でイベントをやってみよう、と考えたわけです。その後、いくつかの紆余曲折はあったものの、今は「夏に白馬の畑で不耕起栽培の蕎麦を育てよう」「自分たちで蒔いて育てた蕎麦で、蕎麦を打とう」という会になりました。

この会、先日、ある飲食の経営者の方に概要を説明して、「いくらだと思いますか?」と訊いたら、一泊二食で1万5,000円くらいだろう、との返答でした。実際はその半額以下でやっているわけです。だからなのか、今年は想定した参加者の1.5倍もの方が鹿島槍まで遊びに来てくれました。景気の悪い中、子供たちと一緒にご家族で参加していただくには、やっぱり負担の少ない価格設定が必須だと思っています。大きなトラブルもなく、イベントのあとは皆さんから「楽しかった」「また来年も参加したい」という連絡をいただいています。このイベントは、蕎麦蒔きが7月最終週の日曜日、蕎麦打ちが11月の第二週の土日と決まっていますので、ぜひ、また来年もご参加ください。

さて、ここでひとつ、皆さんにお願いがあります。僕は以前、「B to Cの関係をどうやって再構築していくか」という記事を書きました。また、最近ではTPPへの参加にあたり、「日本のコメが大事だというのなら、消費者が日本のコメを買えば良いだけのことだ。関税がなくなって、横で10分の1の価格のカリフォルニア米が売っていようとも、『オレたちは日本人なんだから日本のコメを買う』と考えれば良いだけのこと。農家を支援するのは国ではなく消費者だ」という内容の情報発信をしたりしています。両方とも、「事業者(コメなら農家)と消費者の関係を考え直しましょうよ」というものです。

僕はこのブログで健康食品を叩いていますが、それはインチキな商売、消費者を騙すマーケティング手法だからです。一方で、今回、皆さんを楽しませてくれた鹿島槍の人たち、あるいは美味しい豚肉をわざわざ自腹で持ってきてくれたアクアポークの小山さんは、彼らとは全く違います。一緒に蕎麦を打ったり、キャンプファイヤーをやったり、花火をやったり、お酒を飲んだりした仲間です。また、今回は残念ながら都合がつかずに参加していただけませんでしたが、皆さんが美味しい、美味しい、と言いながら食べた蕎麦の原料は、グルノーブルオリンピックの日本代表だった丸山寿一さんから提供していただいた蕎麦粉です。そういった人たちとの関係を大事にしてもらいたいのです。ネット時代になり、核家族化が進み、人と人との関係は希薄になってきています。ですから、この蕎麦打ちイベントで作った縁をぜひ大事にしていただきたいと思います。最近のスーパーの野菜売り場とか、玉子売り場とかで「顔が見える」みたいな売り方が流行りですが、僕はあんなの全然意味が無いと思っています。だって、顔写真が出ているだけですから。だから僕は、こういう売り方を「形ばかりのマーケティング手法、イメージ戦略の一つ」と考えています。だけど、今回協力していただいた皆さんは、ちゃんとそこにいた人たちばかりです。

鹿島槍は、どんどん夏の利用者が増えているようです。僕たちが遊びに行った時のレジャーも、もっともっと充実していくと思います。アクアポークさんも、皆さんが注文してくれれば、「来年もまた一緒に遊びたい」と思ってくれるかも知れません。来年のキャンプファイヤーでは、バーベキューも追加されるかも知れません。また、夏の蕎麦蒔きに参加すれば、丸山寿一さんもきっと歓迎してくれると思います。

僕ができることは、都会ではなかなか経験ができない蕎麦打ち、皮からの餃子作り、鰹節を削るところからの蕎麦つゆづくり、キャンプファイヤー、打ち上げ花火などの機会を企画・提供することぐらいです。でも、楽しい会の背後には僕以外の、多くの人の協力があります。だからこそ、とても楽しい時間を過ごしていただくことができました。

今年の冬、スキーやスノボに行こうと思ったら、ちょっと鹿島槍に行くことを検討してみてください。もしかしたら、僕たちの写真が飾ってあるかも知れません。宿泊は、ちょっと遠いかも知れませんが、八方の大根館(おおねかん)を考えてみてください(鹿島槍まで車で約20分)。豚肉を買おうと思ったら、アクアポークのサイトにアクセスしてみてください。そうそう、今回参加していただいた現代アートの吉島信広さんは、12月に東京神楽坂で企画展を開かれるようです。展示を見て、そのあと近所の蕎麦屋で一杯飲むというのも良いかも知れません。

「B to C」とか言うと難しそうですが、なんのことはない、みんなで楽しくやっていきましょう、というだけのことです。僕がわざわざこんな風に書く必要もなく、「そんなことはわかっているよ」と言われちゃいそうですが、引き続き、よろしくお願い致します。

今年は日程が合わなかった方、興味はあったけれどちょっと面倒くさいな、と思った方、そんな皆さんも、ぜひ来年はご参加いただければと思います。来年も20人集まっていただければ開催します。「平日にやって欲しい」というお話もありましたので、場合によっては平日と休日のダブルヘッダーも実現するかも知れません。

来年、鹿島槍でお会いしましょう。

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