2011年11月27日

マリノスの今年に関する総括(ちょっと早いけど)

マリノスの今年もほぼ終了。ちょっと時間があったので、ざっくりとまとめてみる。

サッカーにおける得点の方法は大きく分けて2つ。そのうちの1つはさらに2つに分けられるので、都合3つになる。

◯数的優位
 ●選手の連動による→ポゼッションサッカー
 ●カウンターによる→カウンターサッカー

◯セットプレー

「数的優位」と「セットプレー」は分けて考える必要がある。セットプレー頼りは基本的にチーム力で劣るチームが取る作戦で、典型的なのが数年前までの韓国に対する日本の戦術である。セットプレー頼りのチームには良いキッカーとフィジカルに優れる選手が必須となる。一方で、数的優位を作り出すのはいわゆる「流れの中からの得点」を目指すもので、戦力的に大きな差がない場合に重要になってくる。

数的優位を作り出すにはポゼッションサッカーとカウンターサッカーがあるが、前者の代表はバルサ、日本代表、ガンバなどが該当し、後者の代表はレアル(モウリーニョのサッカー)である。この他、イタリアを中心としたヨーロッパサッカーは基本的に後者に属すると思う。

現在のマリノスは、どちらかを選ぶなら、カウンターサッカーにならざるを得ない。なぜなら、ポゼッションサッカーには絶対的かつ運動量が豊富なゲームメーカー(例えばヤット)、あるいはキラーパサー(全盛期のヒデ、あるいは俊輔)が必要で、今のマリノスにはそれがいない。昨日のフロンターレ戦では前半のみ俊輔がそこそこに機能していたが、後半になるとガクンと運動量が落ちてしまった。90分戦えるだけのものを俊輔は持ち合わせていない。欧州でも、日本代表でも、すでに一線級ではなくなってしまった俊輔の現実というのは、きちんと受け止めなくてはならない。

必然的にマリノスはカウンターサッカーとならざるを得ないのだが、カウンターサッカーは守り中心なので、良いディフェンダーが必須となる。そして、ディフェンスラインから少ないタッチで前へボールを運ぶパス、トラップ技術も求められることになる。さらに、スピードのある選手が重要な役割を果たす。これだけでは足りず、カウンター攻撃に厚みを出す選手としてサイドバックに良い選手がいる必要がある。Jリーグは、攻撃的な選手は海外に流出するものの、守備的な選手は基本的に国内に残っているので、相対的に言って守備力が高い。守備に回るスピードやブロックの強固さは、かなりレベルが高いのである。したがって、常勝軍団となるためには、それはそれできちんとしたメンツを揃える必要がある。忘れてはならないのが走力で、相手のボールを奪うには中盤以降のプレスが必須となる。テクニックがない部分はスタミナでカバーせざるを得ない。

こうした中、マリノスは中盤のつなぎ(特にパスとトラップの正確さ)とサイドバックのオーバーラップに難があり、結果的にカウンターが機能しにくい状態にある。これはチーム力、個々の選手の能力の問題である。マリノスでこの部分を担うのは兵藤、谷口、小椋あたりになるのだが、彼らは一長一短で、まだ絶対的な存在ではない(もちろん、Jの中ではレベルは高いのだが)。このチームを一番歪めているのは何と言っても俊輔なのだが、観客動員などの都合もあって、俊輔を外すという選択しもとりえないようだ。

ポゼッションサッカーを展開するには俊輔の能力が不足しているし、カウンターサッカーを展開するには中盤の選手の精度やサイドバックに弱点がある、となると、残された手段は「相手のミスを待つ」のと、「個人技」にならざるを得ない。これは、要すれば「運任せ」のサッカーだ。今年のマリノスはシーズン後半で失速したように見えるが、実際は前半で運が良く、後半で運が悪かったとも言える。

マリノスの弱点として特に目立つのは相手に先制され、得点しなくてはならない状態に追い込まれた場合である。慣れない前がかりのサッカーを展開しようとすると、途端にパスミスが目立つようになる。前がかりになっている状態で中盤の深いところでパスミスを連発するので、それがすぐに追加失点につながってしまう。ときどきパスがつながると凄い攻撃になるので、「またアレをやってくれよ」と思うけれど、そういうプレーはあくまでもたまたまであって、再現性は低いのが今のマリノスだ。そうした中、マリノスは補強のポイントとしてフォワードを挙げているようだ。大黒、千真、小野といったメンバーは、他チームと比較して決して見劣りがしない。大黒の決定力はさすがだし、え?そこから決めちゃうの?と思わされる千真も魅力だし、気持ちを前面に出して動きまわる小野も今後の成長が楽しみな選手だ。90点を95点にするよりも、他の、例えば80点のところを90点にする方がずっと簡単だと思うのだが、今のところのチーム方針はフォワードの強化ということらしい。

#個人的には、小椋のパートナーとしての「俊輔以外の」ボランチのもう一枚、左のサイドバック、そしてキーパーの方が簡単な補強ポイントだと思うのだが・・・。千真、小野、兵藤、谷口、小椋、栗原、小林、青山といったメンバーには今のところ不満がない。

フォワードの能力云々を言う時、基本になるのは「数的優位の場面での決定力」がひとつ。例えば昨日の川崎のジュニーニョなどだ。でも、この能力で言えば、大黒などはかなり高いと思う。次に、「自分の力で得点場面を作る能力」がひとつ。例えばディフェンダーの裏のスペースにすばやく駆けこむ能力だ。しかし、日本人でこの動きができるのは香川ぐらいで、こういう人材は世界的にも不足しているから、Jリーグにはほとんど見当たらない。そういう理由で、圧倒的にフィジカルに優れるハーフナー・マイクをターゲットマンとして獲ってきて、「フィジカルで圧倒してターゲットとなる能力」を発揮してもらおうという算段なのかも知れない。引き続き、カウンターサッカーを指向するなら(指向せざるを得ないが)、これもありだとは思う。ただ、カウンターサッカーのためには、何と言っても「素早く確実に前線までボールを運ぶ」ことが必要になってくるのである。今の状態では、すぐに高いところでパスを奪われ、失点してしまう可能性が高い。また、ボールを奪う能力も、今は中澤らの「読み」に頼る部分が多いのだが、もっと素早いプレスも必要になってくるだろう。

ファンの多い俊輔だし、時間は短くても、試合の中で存在感を示すこともできる選手なので、恐らく今後数年は俊輔を使わざるを得ない。それこそがマリノスの限界でもあるのだ。Twitterなどを見ていると監督批判も少なからず見受けられるが、俊輔を切ることができないなら、誰が来てもそれほど大きな変化は生まれないだろう。そこが日本代表と違うところなのだ(代表は俊輔を切ってヤットを使うようになってから成果が出せるようになった)。

まだ試合が残っているけれど、今年のマリノスの成績は4位か5位である。これは、実はかなり良い成績だったと思う。例えば今シーズン開幕前のサカマガ、サカダイの順位予想のまとめがこちらに載っているのだが、

【サカマガ】J1順位予想【サカダイ】
http://supportista.jp/2011/03/news02002715.html

サカマガ平均8位、サカダイ平均11位である。グランパス、ガンバ、アントラーズの一角を崩しての(その代わり、レイソルが上にいるのだが)4位はそれなりに健闘とも言えるはずだ。少なくとも、僕はそう思っている。

じゃぁ、来年はどうなのか。うーーーーーーん。難しい。全てのタイトルに絡むようなチームにするためには、やっぱりお金が必要。僕としては、スポンサーが「マリノスのスポンサーをやっていて良かった」と思えるような、サポーターとスポンサーの関係構築が必須だと思っている。しかも、スポンサーがそれを実感できるような仕組みが。「あなたの会社がマリノスのスポンサーであることを私たちは感謝しています。そして、あなた達の会社を、私たちは支援します」と伝えられるような何かがあったら良いな、と。例えば、Twitterを使って、「今、崎陽軒のシウマイ弁当を食べた。美味しかった。崎陽軒はマリノスのスポンサー。みんな、食べてくれよな」とつぶやくとか。サポーターの力は小さいけれど、みんなが歩調を合わせることができれば、それなりに大きな力にできるはず。スタジアムで応援するのも重要だけど、多分それだけじゃダメなんだと思う。色々できるはずだし、そのための仕組みも色々とあるはず。知恵を出しあって、みんなが少しずつ、マリノスに力を与えられたらなぁ、と思う。

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