2011年12月21日

著作者として、著作権は大事なんですが

書籍電子化:代行は「違法」 「自炊」業者を提訴 浅田次郎さんら7人、差し止め求め
http://mainichi.jp/enta/book/news/20111221ddm041040088000c.html
書籍を個人利用者が電子化する「自炊」行為の代行は著作権法に違反するとして、小説家や漫画家ら7人が20日、代行業者の「愛宕」と「スキャン×BANK」の2社に代行事業の差し止めを求めて東京地裁に提訴した。

裁判をやってみないとわかんないけど、僕も現行法から判断するなら違法かな、と思う。でも、機械をレンタルするなら良いんだよね?

ただ、なんというか、

「私の本が見ず知らずの人にいいようにされている」


というコメントは、ちょっと僕には良くわかりませんが。本を買っていただいた人が、一番好きな形で読んでいただくのが一番だと思うので。

それはさて置き、著作者側は明言していないのかもしれないけれど、要は「スキャンされて電子データにされちゃうと、それをコピーするのが容易だから、ばんばん違法コピーされちゃって、元の本が売れなくなる」ってことなんだと思う。Aさんが自炊業者のB社に電子化をオーダーして、B社がAさんに納品、Aさんが友達のCさんやDさんにPDFの複製をプレゼント、みたいな。あるいはB社が闇販売することも考えられる。著者も出版社もそれじゃぁ本が売れなくて困る。でも、「起きてもいない犯罪」を「誘発する可能性が高い」というアプローチで自炊代行業を取り締まるのは無理筋なので、「著作権法違反だろ」とだけ言っているんじゃないかと。

しかし、もしそうだとしたら、PDF版を通常版と同程度(あるいは同程度以下)の価格で販売することと、違法コピーの厳罰化で対応するのが筋なんじゃないかなぁ。「違法コピーなんてみんなやっているから」という状況がまずいわけで、たとえば「一枚コピーするごとに懲役1年」とかだと、100枚コピーしたら懲役100年になるので、みんなおいそれとはやらなくなると思うんだよね。

現状は、自炊している人は本の価格プラス自炊の手間(あるいは手間賃)を払って電子データを入手しているわけで、自炊のニーズがあるとすれば、価格は同程度でも構わないってことでしょ?

簡単にできてしまって、しかもそれが経済的ダメージが大きいというのなら、やったら厳罰、というのが普通の流れだと思うんだけど。極論で言えば、死刑なら誰もやらないよね、多分。

ということで、違法コピーの厳罰化を念頭に入れつつ、今だけの緊急退避的な形で、ということならわからないでもないんだけど、ただただ「自炊は禁止」っていうんじゃ、すぐにまた別の業態が出てきてしまうと思うんだよね。そうやってもたもたしているうちに、世の中は全部Kindleになっていました、とか。

念を押すわけではないのですが、僕の本は自炊していただいても一向に構いません。

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