2011年12月31日

合わせて読むと、栗原が社長批判

マリノスの木村監督解任について各紙が報道しているわけですが、

デイリースポーツオンライン
横浜M・和司監督、無念…電撃解任
http://www.daily.co.jp/soccer/2011/12/31/0004715218.shtml
ある主力選手は「俺たちにも責任がある。勝っていれば交代はない」と厳粛に受け止めた上で「毎年のように監督が去る悲しい姿を見るのはつらい。(監督を)呼んできたのは社長でしょ?」と苦言を呈した。


サンスポ
木村監督「突然さ」横浜M、電撃解任を発表
http://www.sanspo.com/soccer/news/111231/sca1112310504002-n1.htm
「毎年のように監督が去っていく悲しい姿を見るのは辛い。選手が頑張るしかない」と日本代表DF栗原。


合わせて読むと、「監督を呼んできたのは社長でしょ?」と日本代表DF栗原(笑)。

それはそれとして、嘉悦社長、やめないんですね。これはずるいな。

自らの役員報酬半額 続投表明の嘉悦社長
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jleague/headlines/20111230-00000018-kyodo_sp-spo.html

「ACLを逃したら辞める」って、クビをかけてのシーズンだったはず。サポーターの中には社長の腕力を認める人も多いけれど、これじゃあただの嘘つきである。こんな社長には、真の求心力なんて生まれっこない。この先、何かちょっとしたトラブルで「ほら見ろ」と、みんなにそっぽを向かれるに決まっている。最初からクビをかけるとか言わなきゃ良いのに。

それに、気になるのはデイリーの記事にあるこの部分。

同社長は「結果だけ出せば、どんなサッカーでもいいということではない。守ってカウンターだけでは、このリーグで勝っていけない」と話した。


正直、はぁ?という感じだ。確かにバルサの強さを見せつけられているここ数年、ポゼッションサッカーは現代サッカーの理想型である。常勝チームガンバも、そしてアジアではナンバー1の強さを誇る日本代表も、基本はポゼッションサッカーだ。だけど、何度もこのブログで書いているけれど、それができているのはヤットがいるから。日本代表はそれに加えてパートナーに無類のスタミナを誇る長谷川がいる。左サイドには今や世界的なサイドバックになった長友、右のウッチーもそこそこ成長しているし、ボールが持てるセンターバックがいて、フォワードに岡崎と香川の二枚看板。この代表ははっきり言って過去最強だと思う。その、完成型とも言える日本代表をクラブチームでつくろうと思っているのだろうか?

少なくとも、マリノスでポゼッションサッカーをやるなら、中心選手が俊輔では無理だ。俊輔は昔からスペインサッカーに憧れていて、海外に移籍する前は「レアルでやれたら死んでもいい」とまで発言していた。その彼だから、頭の中には華麗なパスワークで相手を翻弄するサッカーと、その中心にいる自分が理想としてあるのかも知れない。しかし、今のJのレベルはそこまで低くない。例えば天皇杯の準決勝、マリノスのサッカーは決して悪いサッカーではなかった。そこそこにボールをキープし、適度にボールを散らし、それなりにチャンスを作った。普通に良いサッカーを展開していたと思う。しかし、それでも相手のゴールを割ることはできなかった。その理由は、サンガがきちんと組織的な守備で対応したからに他ならない。フリーキックのチャンスも何度ももらったけれど、それも決め切ることができなかった。俊輔のフリーキックは確かに魅力的だが、絶対的な切れ味はない。少なくとも、ひと蹴りで試合の流れを変えるようなものではない。せいぜい、20回蹴って一度決まるかどうか、ぐらいのものだ。そして、そのセットプレーが逆に再三のピンチを招いた。中沢、栗原が前に出ている場面でのサンガのカウンターである。サンガのゲームプランは簡単で、マリノスのディフェンダーを中盤より前におびき出してのカウンターである。何度もこのパターンでチャンスを作っていた。「守ってカウンターだけでは、このリーグでは勝っていけない」というのは決定的な勘違いだと思う。その勘違いをしたおかげで、レッズは今年、あのメンバーで降格争いをしたし、カウンターサッカーを地道に貫いたサンガは天皇杯の決勝に駒を進めたのではないか?

#準決勝についてはサンガに有利な不可解な判定が二度あったけれど、審判のレベルが低いのはJでは仕方がない。

マリノスが不安定なのは、カウンターの精度が低いからだ。バックラインからすばやく前線につなぐ、その精度とスピードが足りない。天皇杯準決勝での先取点は、それが非常にうまくつながった一瞬だった。俊輔を中心にするなら、チーム作りは比較的明快で、フィジカルに優れるセンターバックで相手の攻撃を跳ね返し、そのボールを少ないタッチで俊輔につなぐ。俊輔はこのボールを決定力のあるフォワードに供給する。サブプランとして、俊輔以外の前線へのパイプを一本用意して、二次攻撃用にタイミングよくオーバーラップできるサイドバックを整備、あとはスペースを作る動きのできるフォワードを一枚置いておけば良い。中沢、栗原のセンターバック、俊輔、渡辺千真と小野裕二。このメンバーで中心ラインはほぼほぼ出来上がっている。あとはボランチが精度をあげて、素早く俊輔につなげるようになれば良かったはずなのに。

しかし、社長の発言によれば、どうやら社長は俊輔を中心にしたポゼッションサッカーをやりたいらしい。イニエスタかシャビあたりを獲得するつもりならともかく、今のメンバーでポゼッションサッカーを標榜したら、今年のレッズみたいになってしまいそうで怖い。

社長は、Jの守備力を見くびっているんじゃないだろうか。今のJの組織的守備力は非常に高い。それこそ、J2で中位に甘んじているサンガですら、天皇杯準決勝ぐらいの守備をやるのである。それを組織力で崩すのは、並大抵のことでは無理だ。そのサッカーにフィットしそうなのは小野裕二ぐらいである。

しっかりとブロックを作った守備で相手の攻撃をはね返し、素早く前線にパスをつないでカウンター。このサッカーしかないと思うのだけどねぇ・・・。

そうこうしているうちに、千真とアーリアが流出のようで。

横浜MのFW渡辺千真がFC東京に移籍
http://www.daily.co.jp/soccer/2011/12/31/0004715223.shtml

横浜Mの長谷川を獲得
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/fctokyo/news/201112/CK2011123102000062.html

両選手とも良い選手だったし、特に千真は好きなタイプの選手だったから非常に残念である。

それで、出ていくのは仕方ないとして、なんか、サプライズな獲得情報はあるんですかね?ヤットをガンバから獲得とか?

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