2012年02月16日

総統閣下はお怒りです「ひとりぼっちの婚活女子」

今日、俺は昼間っから不毛な時間を過ごした。何をしたかといえば、恋愛相談である。相手はすでにアラサーとも言えない30代後半の独身女性、カツマーナだ。表向きは昔からの友人、ということになっているが、俺の中では「知人」である。

カツマーナから久しぶりに「飯をおごるから」と連絡があった時点で「これは面妖な」と思ったのだが、案の定ろくでもない相談だった。要は、合コンだかお見合いパーティだかでひっかけた男2人のうち、どちらが良いか、という話である。どっちでも良いだろ、ひっかけたんなら、と思ったのだが、奴は真剣に2人を天秤にかけているらしい。相談開始からほんの3分で今日来たことについて滅茶苦茶後悔していた俺は、「両方と付きあえば?」といって話を終わらせたかったのだが、そうは問屋が卸さない。

おい、今日のオムレツランチ、えらく割高だな。

ちょっと退屈そうに上の空で外を通るお姉ちゃんを見ていると、「真面目に婚活してるんだからっ」とピシャリと言い放たれたので、仕方なく「婚活って、何をやってんの?」と聞いたら、料理教室に通っているという意外な答えが返ってきた。奴は昔からインスタントラーメンが料理だと言い張って聞かない奴だったのに、である。それで、試しに「じゃぁ、味噌汁の作り方を言ってみろよ」と尋ねたら、「お湯を沸かして、だしの素を入れて・・・」と言い始めたので「アホか」と遮った。それじゃぁ、昆布とカツオで合わせだしを取る方法は?と突っ込んでみたところ、わからないそうで。これでは料理教室に何を勉強しに行っているのかさっぱりわからない。単に、花嫁修業の雰囲気に酔って、泥酔している感じだ。

註釈:昆布とカツオ
昆布をふきんで拭いて、ハサミで数カ所切れ目を入れてから水に入れ、一晩置く。朝になったら加熱し、沸騰直前で昆布を取り出す。つぎに削った鰹節を入れ、箸で押さえながらコトコト弱火で1、2分、アクをすくいながら煮る。火を止めて鰹節が沈むのを待ち、沈んだらお玉ですくって鰹節をこし器でこす。


俺が反応したことに少し気を良くしたのか、「どっちが良いかなぁ」とか言っているので、「あみだくじで決めたら?」と言ってやったら、「でも、体が目当てだったら困るし」って、オイオイオイ、ちょっと待て、あのさーーー、20や25の女子じゃないんだから、体が目当てって、どんだけ脳みそお花畑なのよ、と。

註釈:あみだくじ
古来より伝わるくじびき手法の定番。


註釈:体が目当て
30代も半ばを過ぎたら、注意すべきは体目当てではなく、むしろ財産目当てである。


いや、37、8だって、魅力的な女子はたくさんいるけど、お前はまず体重が不自由なんだから、それを何とかしなさいよ、俺が昨日仕事で会ってきたAV女優さんなんか、ぱっと見でも激ヤセな感じなのに、おっぱいはHカップらしいよ。脱いだら凄いんだよ。お前は脱ぐ前からダメじゃん。

註釈:AV女優さん
麻美ゆまさん。非常に魅力的な女性だった。あっという間にファンになってしまった。大抵の女子は彼女にかなわないだろう。


それに、前に会った時よりも相手に対する要求スペックが高くなってるよね。それってどういうこと?じゃぁ、君自身のスペックは上がったの?少なくとも、女子の容姿とか、肌の張りとかは、時間と共に容赦なくスペックダウンするんだよ。お化粧する女子がほとんどなことからも分かるように、女子のスペック判断の要素として「見た目」っていうのは男女双方の共通認識として間違いなく存在していて、しかもそれは時間と共に急激に劣化していくんだから、結婚したいとか言うなら、その分、女子は何かを身につけなくちゃでしょ。それこそが「花嫁修業」のはずで、だけど、味噌汁ひとつ満足に作れないんじゃぁ、「はぁ?」という感じだよ。「体が目当て」って、体だけでも目当てにしてくれるなら万々歳じゃないの?少なくとも、俺は釣られないけどさ。それにもまして、なんか、もうお前の表情からは不平、不満があふれちゃっているよね。昨日の女優さんなんか、何かあればニコニコっとしていて、凄くチャーミングだったよ。笑顔が最大のお化粧になっていたけれど、お前はなんなの、実際はつまらなくても、もっと楽しそうにしていないと、みんながお前から離れていくよ、と言いたい放題言ってやった。

註釈:言いたい放題
普通のやつは黙っているところ、ダメなことはダメとあえて言ってやるのが俺。


しかし、奴はめげない。ひと通り俺の話を聞いてから、「デザートは何にする?」って、お前の耳は馬の耳か?まずは痩せろ、話はそれからだ、と思ったのだが、今日のところはそれだけは言わずにおいた。

註釈:馬の耳
「馬耳東風」に由来。馬耳東風とは、「人は春風が吹けば冬が終わり暖かくなると喜ぶが、馬は春風が耳をなでても何も感じない」(李白)という意味。「馬の耳に念仏」も同義。


太るのは彼氏ができてからにした方が良いよ、という言葉が喉元まででてきていたけれど、それはぐっと飲み込んだ。奴はチーズケーキを飲み込んでいる。俺はといえば、このところ体重が増え気味なので、デザートは食べず、ストレートティだけを飲んで、「ま、とりあえず、どっちでも良いと思うから、さっさとどちらかに決めてしまえ。これは単に決めの問題だ。迷うくらいなら、マジで、あみだくじで良いんじゃないかな」と言って、店を出た。

それにしても不思議なのは、奴に声をかける男子が2人もいるということだ。狭いように見えて、世の中は広い。

註釈:狭いように見えて広い
普通は逆。



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