世の中には「クソ映画」というものがある。突っ込みどころが満載の酷い映画のことだ。ただ、クソ映画にはクソ映画なりの楽しみ方というものがある。たとえば、この宇宙戦艦ヤマトの感想などが参考になると思うのだが、
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51099705.html
この感想は非常に多くの映画ファンに高く評価され、「逆に観に行きたくなった」という人もたくさん現れた。酷い映画だとしても、それなりの楽しみ方があるのがクソ映画で、他にはアマルフィとか、アンフェアなどがそれに該当する。
こうしたクソ映画とは別に、何の突っ込みどころもない、観る価値を全く見いだせない映画も存在する。ヴィッキー・チャオの「夜の上海」とか、竹中直人の「山形スクリーム」などが該当する。こうした映画に行き当たると、「一体どんなレビューを書いたら良いんだろう」と頭を悩ませることになる。ただただダメなところを列挙するだけでもクソ映画を褒める(?)ことはできるのだが、ダメ映画にはそれがない。そういう映画が、一年に1、2本はどうしても存在してしまう。
このテロマエ・ロマエは、まさにそういうタイプのダメ映画だ。どこがダメって、全部ダメなので、レビューの書きようがない。頑張ってひとつ挙げるなら、脚本が地獄的に酷い。ローマ人が日本語を喋り、タイムスリップするとラテン語を喋る。日本人が過去のローマにタイムスリップすると、みんなで日本語で喋る。これだけで、設定が滅茶苦茶である。そのあたりの整合性というものを全く考えないのだろう。ただの馬鹿だと思うのだが、この脚本を書いたのは武藤将吾である。
この映画は、観るだけ時間の無駄である。コメディのつもりなのかもしれないけれど、ほとんど笑えない。後半はただただ苦痛で、「一体あと何分あるんだろう」と時計を見たらあと45分もあって絶望した。挙句、何のひねりもないラストで「うへぇ」という感じだ。他にもっとましな映画がある(例えば宇宙兄弟の方がずっとマシ)ので、観ないことをお薦めする。どうしても観たければ、DVDになってからレンタルで観れば良い。
評価は☆ゼロ。今年のワースト映画候補レースのトップに踊りでた感じ。