試写会で鑑賞。
説明的で、かつ緊張感に欠ける前半は正直眠くなる。しかし、前半の退屈さを忘れさせるような後半はなかなか見事。これができるなら前半からフルスロットルでお願いしたかった。最初の一時間ぐらいはとにかく退屈で退屈で退屈だ。冒頭の衝撃的なシークエンスのあと、「さて、遡ること数ヶ月・・・」みたいなやり方はミッション・インポッシブル3のパクリだし。
真木よう子が韓国に出ていくあたりからテンポが良くなって、そのままラストまで駆け抜けてしまうのだけれど、「おい、これじゃぁ外事警察なんてご大層なものを持ち出さずとも、どこぞの外交官(キターーーッの人)でも良かったんじゃない?」という感じになるのだが、ラストのラストでちゃんと風呂敷が畳まれるのは好印象。ただ、終わってみてから全体を俯瞰すると、凄くありがちな事件ではあった。核爆弾をテロリストが手にして、それを利用して戦争勃発を企むとか、007とかだと20年ぐらい前にスペクターさんがやっていそうな話である。そのあたりが西洋諸国と極東(朝鮮半島を含む)の文明の差なのかも知れない。「あーーー、どうしよう、このままじゃ爆発しちゃうよっ!」みたいなのも、今までに何度も観た気がする。あの、「赤い線と、青い線と、どちらを切りましょうか。えーーーい、目をつぶって、こっちだ!」みたいな。いや、本作は全然違いますけど。
この映画の最大のチェックポイントは脚本の古沢良太。代表作は三丁目の夕日シリーズ、キサラギ、探偵はBARにいるなどで、どれも邦画としては高く評価した作品。そして今もフジテレビ系列で放送している「リーガル・ハイ」でも出色の脚本を書いている。彼が、この映画でどこまで面白い脚本を書くのかに注目していた。前半のかったるさと、M:i:IIIのパクリはちょっとどうかと思うけれど、途中からはさすがに古沢、とうならされる。何しろ、必要以上に説明的じゃないのが良い。観客を馬鹿にした脚本家だと「そこまで説明しなくて良いよっ!」と思ってしまうのだが、そういう饒舌なところがない。本作で言えば、お金を渡す、という行動で全てを語るあたりが非常に好感。あーー、いや、でもどうかな、あの、写真を何度もしつこく写すのはちょっと興ざめだった。もうわかったから、さらっと流せよ、大した話じゃないんだから、と思った。
渡部篤郎は一見冴えない刑事を好演。真木よう子は相変わらず可愛くて非常にナイスだけれど、一般人にしては体のキレが良すぎる気もする(笑)。でもやっぱり加点要素。一方で尾野真千子はあんまり可愛くないし演技も下手で減点要素。
評価は☆2つのところ、真木よう子におまけして☆2つ半。