2012年06月10日

育休問題の本質を考えてみる

こんな記事を教えてもらった。

「女性は育休取らずに会社辞めて」 調査結果に波紋広がる
http://www.j-cast.com/kaisha/s/2012/06/08135021.html?p=all

「出産するなら辞めてよ」という会社が25%にのぼる、という内容だ。でもさ、これって、全然普通の話なんだよね。って書くと、主として女性陣から「えーーーっ!?」って言われそうだけど。その主旨は多分、「出産で会社に来ることができない女性だけが一方的に不利益を被るじゃん!」っていうことだと思うのだけれど、実際にはその不利益で失うことになりかねない、「(出産しなければ失わずに済んだはずの)クビにならない権利」の方が問題なんだよなー、と思う。

本当なら、男性も、出産しない女性も、出産する女性と同様にいつでもクビになる状態であるべきでしょ。出産した女性が会社に戻ろうと思った時、その女性がちゃんとした能力を持っているのなら、彼女の復職を妨害するのは、子供を産まない人たちの存在でしょ。平等に評価して、「こっちの方が能力が高い」ってことなら、今いる社員をクビにして、出産してきた女性を雇用すれば良いはず。

あなたが辞めても代わりはいるから、ってね。

クビを切りたいのに切れないでいる会社が、「出産」という女性特有のイベントを口実にしてクビを切るから問題になる。本質は「クビを切りたいのに切れない」という状況なんじゃないの?

子供を産んだ時、「子持ちだから早退とかしたり、残業も無理がきかないでしょ」ということで差別されてしまうとすればそれは社会システムの問題で、そういうことが起きないようにきちんと社会資本を整備していく必要はあると思うけれど、その前段階として、会社組織は能力のある人材にどんどん代謝していくべきなんだよ。

要は、「出産する女性が不利益」なんじゃなくて、「出産しない男女が利益を得ている」っていうこと。

僕が昔勤務していた三菱総研は、三菱系各社のお偉いさんのお嬢様たちを事務系で縁故採用して、社員の嫁さん候補にしていた。バブルがはじけてから、そういう女性社員が辞めなくなってしまった。おかげで若い女性を雇用する枠がなくなってしまい、長い間事務系女性の採用がストップし、女性社員の高齢化が進んでしまった。三菱系ということで産休とかも充実しているから、みんなどんどんそういう休みを取る。結果として、世代間格差はもちろん(多分、若い女性事務系社員はほとんどが派遣社員)、未婚女性と既婚女性の間の亀裂も発生しているんじゃないかな、と想像している(最近内部の話を聞かないから正確なところは知らないけれど)。

日本の場合、40代以上の既得権者層が分厚いし、加えて少子化の影響もあって、若い女性の発言力は凄く小さい。加えて、彼女たちも「運が良ければ私も勝ち組に入れるかも」と思っているから、なかなか「労働市場の流動性をもっとアップさせましょう」とは言い難い。こうしたことも日本社会がデッドロックに陥っている理由なんだと思う。

今の日本は年金問題という本家本元の世代間格差問題があって、少子化対策のような「どうしようもない問題」までもが絡んでくる。先進国ではどこでも少子化なんだから人口が減るのは当たり前で、それを前提とした社会システムを構築しなくちゃならないのに、いつまで経っても「どうやったら子供が増えるか」なんて不毛な議論を続けている。そういったことも、この産休問題の本質を見えにくくしていると思う。

どこまで行っても、多くの雇用関連問題は「年功序列」と「終身雇用」という旧態依然とした社会慣習に帰着するんだよね。みんな、わかっていると思うけれど。

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