2012年06月15日

調布市議会議員高橋ゆうじさんへ

調布市議の方のFacebook利用促進論に反論したら、なんか微妙にトンチンカンな反応があったので返事をしておきます。

反論をいただきました、感謝です!
http://ameblo.jp/minnanochofu/entry-11277411928.html

以下、引用してコメントします。

どういう方か存知あげませんが、文面からすると行政官庁の方のようです。


違います。ただの民間人です。下記参照願います。

http://www.liblog.co.jp/index.php?c=3-7

役所の方というのは、こういう考えをするんだということも、よく解りました。


なんか、危険な考え方にみえます。僕の文章を読んでわかることは僕個人のことだけのはずです。にも関わらず、僕の文章を読んで「役所の方というのは、こういう考え方をする」ということが「よく解」ってしまうとは・・・。このブログをきちんと読めばわかりますが、時間が勿体ないので簡単に説明すると、僕の行政に対するスタンスは「小さい政府」を指向していて、政治的立ち位置はミルトン・フリードマンとムハマド・ユヌスに大きな影響を受けています。僕の考えを3行で書くなら、

「役人も賢者ばかりではないのだから間違った判断もする。それなら、行政に依存するのはやめて自分たちで良い社会を作っていこう。そのためには、生活者一人ひとりがきちんと考えて意思決定していく必要がある」

ぐらいのものです。むしろ反公務員的なスタンスで、その点ではみんなの党と同じ方向のはずなんですが、なぜか役人の代表的意見と捉えられてしまったようです。木を見て森を見たのならまだしも、水(いや、木と似ても似つかないものなら金属だろうが、本だろうが、iPhoneだろうが、何でも良いんですが)を見て森だと思ってしまったのでしょうか。しかも、「よく解」ってしまうとは・・・。

(ニールセン・ネットレーティング2012年3月データ)


いや、だから、それは古いデータなんですけど(笑)。僕が最新の2012年4月のデータを提示しているのに、なんでわざわざ古いデータを引っ張りだしてくるのか、意味不明です。

行政へのコメントも建設的な意見が多いと言われている。


こういう「さもありそうなこと」を自己正当化に使うから、議論が無駄な議論になるんです。どこの誰がどういうデータを元にそういう見解を示したのか、きちんとしないとダメですね。高橋さんが過去の経験から「Facebookでは行政に対するコメントも建設的なものが多い」というのならまだしも(それでも心理主義的な色彩は拭えませんが、一方でこういう「感覚」が正しいことも多々あるので、それを否定することはありません)、「多いと言われている」では何の説得力もありません。

〇twitterはニックネームでも偽名でもOK


Facebookも偽名での利用は不可能ではありません。これは本質ではありませんが。

行政情報は「取りに来い!」でなく「提供する!」に。


Facebookでやるということは、「提供」ではなくて「押し付け」です。ウェブサイトで普通に公表されているなら、十分に「提供」されている状態だと“僕は”思います。加えて、押し付けできる状態にするために税金を投入して市民を教育する必要があって、さらに押し付けのために利用するシステムは一民間企業が運用しているとなれば、「はぁ?」となってしまいます。

「役所の情報はFacebookでお知らせするので、皆さんFacebookを使えるようになって下さい。講習会も開きますから」というのは、言葉を別のシステムに置き換えるなら、「今後、行政関連情報は役所から電話でお知らせします。これまではお問い合わせをいただいていましたが、今後は役所から電話してお知らせします。なお、利用できる電話はソフトバンク社のiPhoneだけなので、皆さんには一人一台、ソフトバンク社のiPhoneを差し上げます。電話は皆さん同士でも利用できるので、色々ディスカッションにも使えます。使い方がわからない人もいるでしょうから、講習会も開きます」みたいな感じなんですが、違和感ありませんか???僕なら、「なんでソフトバンクなんだよ、俺はauが良いんだよ」「別にわざわざ電話してくれなくても良いよ」「上から目線って、表面的なことじゃないでしょ」「俺はもうiPhone持ってるんだけど、何で税金で配るの?」「なんか、今日、ソフトバンクが回線不良なんだけど!(想定事例)」「俺の嫌いな会社に買収されたらどうしよう」「ってか、現状でもライバル会社なんですけど」「講習会とか、アホか?」とか、思っちゃうんですが。

大事なポイントは「Twitter後のネット社会番外編 その14 Facebookの行政利用って、本当にうまくいくの?」でも書きましたが、「Facebookは公共インフラではない」ということです。日本人の利用者が1,000万人いたとしても、DoCoMo、au、ソフトバンクのどこの携帯よりも少ないんです(2012年5月現在でDoCoMo約6,000万人、au約3,500万人、ソフトバンク約3,000万人)。そうした状況において、「みんなでDoCoMoを使いましょう」(別にauでもソフトバンクでも良いですが)と行政が旗を振るのはおかしいわけです。百歩譲って、「じゃぁ、auとソフトバンクがDoCoMoに買収されたらどうだ」という思考実験も理論上は可能ですが、それはそれで独占的で不健康な市場です。ミクシィもグリーもGoogle+もTwitterもある中で、行政がFacebookの利用を促進するというのは、こういう理由で違和感バリバリなわけです。やりたければ「日本SNS」を行政が作って、みんなでそれを使えば良いじゃないですか。例えばその中に弥生会計がウェブサービスとして提供されていたら、こんなに便利なことはありません。そこで帳簿をつければ、自動的にデータが税務署に行くわけです。確定申告も不要になるし、国民の無駄作業は一気に減少します(もちろん、それでは困ってしまう人もいるでしょうが)。行政がやるべきことと、やるべきではないこと、この区別はきちんとやる必要があります。

#前にも書きましたが、政治家がFacebookを使うのはどんどんやれば良いと思います。ただ、利用目的は「既存の支持者との関係をメインテナンスする」ことに主眼を置くべきで、新しい支持者を得るツールとは考えないほうが無難だと思います。

##ウェブサイトの一形態として(パイプを増やすという意味で)、自治体がFacebookを使うのもありだと思います。ただ、それは費用対コストを慎重に吟味する必要があるでしょう。運用コストはウェブサイトのみのケースの2倍以上になりそうです。また、Facebookを使えない人、使いたくない人への配慮も当然必要です。

###みんなの党って「行政がやるべきではないこと」を徹底的にリストアップして小さい政府を志向する政党だと思っていたんですが、違ったのでしょうか?

関連エントリー:Twitter後のネット社会番外編 その14 Facebookの行政利用って、本当にうまくいくの?

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