2012年07月10日

るろうに剣心

Yahoo!映画のレビュアー試写会で鑑賞。原作未読。

アクション映画と思って観るなら、アクション部分の出来は結構良いと思う。しかし、冒頭いきなり文字で「1868年・・・」と始まる時点で脚本力の低さが露呈。スターウォーズのように、テキストで説明しなくてはならないどうしようもない事情があるなら別だが、幕末・明治維新あたりを文字で説明するのは辞めて欲しい。以後も何度か、「ちょっと説明的だよなぁ」と思ってしまう場面あり。

あと、観ていて物凄く気になったのは「2分」と時間を区切られてからのシーンが多分4分以上はあったこと(誰か、ストップウォッチで計ってみて欲しい)。このあたりをもっとスピーディーに描いてくれないと、気になって秒を数えてしまう。

そして、ラストが長い。登場人物たちが自己陶酔して語り続けるので、途中で飽きてしまう。

役者は、アクションについてはそれほど違和感がなかった。強いてあげるなら、剣心の踏み込みと飛距離が物理法則的に明らかにおかしいこととかだと思う。これも見せ方次第ではもっと良くなったと思うけれど、マイナスポイントという程ではない。が、残念なのは剣心の平時の演技と薫。剣心はアクションシーン重視ということでわからないでもないけれど、薫はもう二息、という感じ。ルックス的にも演技力的にも同系統の役者に柴咲コウがいるけれど、武井咲には、今後、もうちょっと頑張って欲しいところ。

僕が大友啓史監督の作品を観るのは「ハゲタカ」以来二度目だが、「ハゲタカ」もそれほど高くは評価していない。
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50860126.html

ハゲタカではテレビ関連映画の制約を強く感じたのだけれど、本作はテレビ局は無関係なので、そのあたりはないはず。あとは脚本力だと思うのだけれど、本作は藤井清美と大友啓史の共同脚本(単独じゃないってことは、最初に藤井さんが書いて、撮影しながら大友さんが大幅に手を加えたってことなんだと想像)。藤井清美の作品で観たとこがあるのは「L change the World」(小林弘利との共同脚本)だけど、これは「ハゲタカ」に輪をかけての珍作である。
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50538894.html

監督は「役者が頑張っているので応援して欲しい」と言っていたけれど、確かに役者は頑張っていたと思う。一番頑張らなくちゃいけないのは監督じゃないだろうか。

おまけで、昨日あった監督トークショーの概要を載せておきます。

監督トークショーの内容(司会進行:清水節(しみずたかし)氏)
●司会の案内
レビュアー試写会は抽選ではなく、熱心にレビューを書いていて影響力のある人を優先している。監督とは「ギャラクティカ」でクリエイティブディレクターをやった際、トークショーをやった仲である。

●監督自己紹介
元NHK。ハゲタカ、龍馬伝などなど、大河もやったので、もう良いかな、と退職。

●ドラマの大友がなぜマンガ原作
原作を知っていた。社会派と言われていたのに声をかけられて逆に興味を持った。龍馬伝の幕末の連中がもし明治に生き残っていたらどうなっていたのか。岩崎弥太郎がいたらどうなっていたのか。マンガ原作の飛躍が楽しい。原作者ファンの厳しさもあって、ハードルの高さが魅力的だった。

●原作との関わり
和月(原作者)さんとは密にコミュニケーションを取った。二次元のマンガと三次元の映画との違いは、マンガはページを遡って元に戻ることができるけれど、映画は戻れないこと。その点を原作者が解ってくれていた。CGやワイヤーアクションを使わず、生身の人間でやりたかったが、そこにも同意してくれた。試写会では立ち上がって握手してくれて、「最高です。いうことないです。僕としては満足です」と言ってくれたので、肩の荷が下りた。

●佐藤健について
やるとすれば彼しかいないと思っていた。原作者もその点、同じだった。今の若い俳優の中ではダントツだと思う。龍馬伝では人を斬るシーンがなかったが身体能力が高いのも解っていた。

●アクションについて
極力、役者にやってもらった。自分がアクションマニアなこともある。海外でもアクション映画の現場を見てきたが、セリフではなくアクション(体の動き)で見せることに魅力を感じていた。セリフより動き、エモーションに裏打ちされているモーションを見せたかった。(12回もアクションシーンがあったが)やはりアクションが振り付けになってはダメだと思った。役者がやるんだから、なぜ戦うのか、戦い方の違い、間合いの違いを見せたかった。それらのバランスを取るのが難しかった。

●ヒーロー像
マーベルのようなヒーローを生み出したかった。ヒーローの条件は不器用でも戦っている人。廃刀令で刀がない時代でも、みんな刀を捨てることができなかった。みんな隠していた。そんな時代に刀を持っている。しかも「切れない刀でござる」と、変なものを持っている。彼は、刀を捨てられない、でも人は斬りたくない、と葛藤している。自分の中で戦っている。そういう不器用な姿が良いなと思った。結論を出せずにウロウロしている生き方が良かった。

●変わろうとするもの
神様の差配とは考えず、それぞれの立場に立つなら、岩崎弥太郎だって、今まで士農工商の一番下にいた。それが新しい時代になって「ひゃっほー、俺たちの時代だぜー」ってなると思うんですよ。

●質疑応答
佐藤健との印象に残っているエピソードは
足を怪我した時、事務所から「練習の時間が足りないので怪我をした。もっと練習時間を増やしてくれ」と言ってきた。彼の熱意を強く感じた。22歳の若者が勝負をかけて打ち込んでくれた。

マンガの実写化にあたってこだわった点は?
生身のアクション。俳優陣には負担を強いた。剣心は最強の人斬りだったんだから、強くなくちゃいけない。それにこだわった。アクションを長回しで撮ったが、役者は非常に良くやってくれた。

原作から変えた部分は?
基本的に原作のコンセプトは変えていない。ただ、そのままだとおかしいところは変えた。2時間に収めなくてはならないので、登場人物は減らした。役者にキャクターを寄せていった部分もある。

今回は原作モノだったが、オリジナルをやる予定は?
環境があって、誘っていただけるならぜひやりたい。

●監督から一言
時代劇ではなくアクションエンターテイメントとして作った。今できることの全てを詰め込んだので、ディテールを見てみて欲しい。役者も頑張っているので応援して欲しい。

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/buu2/51349040