2012年07月13日

ミッドナイト・イン・パリ

mip


ハリウッドの売れっ子脚本家が婚約者家族とあこがれの街パリにやってきて体験した不思議な夜とは・・・という内容。「アーティスト」の脚本が非常に良かったので、それを打ち破ってのアカデミー賞脚本賞受賞というのはどんな脚本なんだろう、と思って観に行ったのだけれど、納得の内容。

ストーリー自体は他愛もないと言えば他愛もない。だけど、様々に配置された伏線がきちんと回収されていくさまは見事。また、この映画を満喫するためには、1920年前後の芸術家に対する知識が必要なのだけれど、「ピカソやヘミングウェイなんて、名前ぐらいしか知らない」という人が観てもそれなりに理解できるような配慮があるところが素晴らしい。映画を観て、「もっと知っておきたい」と思ったら、パンフレットを買って、もう一度観れば良い。

映画なんて、2時間程度のものなので、そこで語れるものなんてたかが知れている。その中で、観る側のバックグラウンドの知識を活用し、ユーモアを交えつつ、語るべきを語り、不要なものをそぎ落とす、というお手本のような映画だった。起承転結もしっかりしていて、特に「転」の部分が良い。

ちょっと残念というか、不自然だったのは日記のくだりで、そこだけはちょっと気になった。もしかしたら元々の脚本には説明があったのかも知れない。あと、探偵はちょっと気の毒だった(;_;)。

パリと、パリの芸術に詳しければもちろん楽しめるし、詳しくなくてもそれなりに楽しめる。そして、パリについてもっと知りたくなる、そんな、パリに対する愛情に溢れた作品だと思う。僕はこういう映画が好きだ。☆3つ。

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