2012年08月31日

最強のふたり

intouchables


予告編を見ただけでもかなり面白そうな予感があったので、試写会で見ることができてラッキーだった。事故で首から下が麻痺という障害を抱えた大富豪の障害者と、その介護に雇われた貧困層の黒人の交流を描いている。

全編笑いに溢れていて楽しい。別にお涙頂戴のシーンがあるわけでもないのに、そういった笑いの中でじんわりと感動が広がっていく。面白おかしいエピソードをつなぎあわせていくだけなのに、その背後にやさしさや本当の意味での気配りなどが感じられる脚本が素晴らしい。また、音楽の使い方が印象的で、ダンスとは縁のない生活をしている僕のような人間でも、ある場面では思わず体を動かしたくなる。

黒人と白人、貧乏人と大富豪、健常者と障害者、無教養人と知識人、ビバルディとアース・ウィンド・アンド・ファイア、若年者と高齢者といった、仲良くなるには多すぎるハードルを抱えた二人が、どんどん仲良くなっていくのだけれど、その根底にあるのは表面上の配慮ではなく、ストレートな感情表現やスキンシップだったりする。日本人が一番苦手とするところで、そういう意味では日本映画の対極にあり、また、日本人が憧憬する内容でもある。

フランス語の原題を英訳するとuntouchablesなのかと思ったらintouchablesだった。さわれない奴ら、ではなく、ふれ合わない人たち、という感じで、接点のない者同士といったニュアンスのよう。それを「最強のふたり」としてしまうセンスは真正面から否定したいけれど、映画の内容は素晴らしいのひとこと。

障害者となってから機能的でないという理由で使われず、埃を被るだけになっていたマセラッティがこの映画では重要な役割を果たしていく。

単一民族、ムラ社会といった独特の風土を持つ日本においても、国内的には世代間格差が拡大する一方で、国際的には隣国とのコンフリクトが顕在化しつつある。そうしたintouchablesにとっても、ちょっとしたヒントを提供してくれると思う。ユーモア、音楽、スキンシップと、ちょっとしたきっかけによって、世の中はうまく回り始めるかも知れない、そんな気持ちにさせられる作品なので、多くの人、特にプライドを抱えている側の「強者」たちに観てもらいたいと思う。

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