2012年09月19日

夢売るふたり

大好きな西川作品ということで楽しみにしていた。冒頭から引き込まれる作りは見事。そのあとはブラックユーモアを連発してくるので、笑いの連続。それで、途中からだんだん重苦しくなってきて、最後はいつもの西川作品らしいエンディング。ということで、あぁ、さすが、という感じではある。

人生経験と想像力がないと読み取れないシーンが多く、例えば何のために里子のオナニーシーンが挿入されたのかとか(別にブラック・スワンのナタリー・ポートマンに対抗したわけではないはず)、結婚生活を経験していないと良くわからないと思う。逆に、40歳以上ぐらいの既婚者だと、あーー、あるある、みたいなシーンがてんこ盛り。他にも暗示的なシーンが多いので、とりあえず映画館でゆっくり観て、あとはスカパー!なり、DVDなりで再確認・・・って、それでは制作サイドの思う壺か(笑)。一度観ただけでは、普通の人では理解しきれないと思う。僕も、「あぁ、これはこういうオチなのかな」と思った方向に進まなかったので、あれれ?もう一回観ないとだなぁ、と思った。

阿部サダヲは終始一貫して同じキャラなんだけれど、松たか子は作品の間中ずっと揺れていて、その中心にあるのは嫉妬。女性的な嫉妬心をドロドロと見せつけるので、印象としてはかなりエグい。女性監督ならではの作りだと思う。松たか子は野田地図のパイパーなど、舞台で見事な演技を観ているけれど、映画でもなかなかのもの。演出の良さもあるんだろうけれど、監督の演出意図をきちんと表現しているところが素晴らしい。鈴木砂羽も登場シーンは少ないものの、表情で多くを語っていた。その他の俳優も芸達者が多く、かつそれらを贅沢にちょい役で使っているあたり、西川監督もちゃんと評価されているんだなぁと感心した。

ただ、映画として満点か?もうちょっと、一つ一つのエピソードを深く描いてくれたら、里子と、その他の女性たちとの対照がはっきりしたのになぁ、と思わないでもない。そのあたりは、上映時間を切り詰めたい制作サイドとの調整なんだろうけれど。ブサイクなデブに入れ込み、子連れの家庭に取り込まれ、と、一つ一つの意図はわかるものの、それらがもう少し丁寧だったらもっと良かったのにと思う。評価は☆2つ半。

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