2012年10月02日

コッホ先生と僕らの革命

dream


ドイツにサッカーを伝えたコッホ先生とその生徒の物語。保守派に対抗する改革派、という内容は日本の実社会で腐る程目にする話で、これを観る人の多くが実は自分も保守派に与しているというのが日本の悲しい現実である。この映画の対象はサッカーだが、今の日本の状況でわかりやすく例示するなら、「夫婦別姓」だったり、「年功序列」だったり、「女性天皇」だったり、「土俵に女性が上がること」といったことが該当するはずだ。

こう言ってはなんだが、この映画を観て“純粋に”感動することが許されるのはほんのひと握りの人間で、多くはこの映画でコッホ先生の「敵」として描かれている登場人物と同類なのではないか。あちら側の癖にコッホ先生の側に立っているつもりになって感動するのはぜひともやめて欲しい、とまでは言わないけれど、こちら側に来たいなら、せめて「今はあちら側にいる」ということを自覚して欲しいと思う。この感覚って、村上春樹がエルサレム賞を受賞した時、「壁と卵」のスピーチについて報道する日本のメディアの記事を読んだ時にも感じたんだけど。

とまれ、映画自体のできは素晴らしいと思う。何より、いじめっ子のジャイアンの描写がとても自然だった。こういう脚本を誰もが書きたいと思っていると想像するんだけど、それに成功することはあまりない。この映画は、それに成功しているだけでも素晴らしい。

サッカーは、英国においては今も下流階級がファンの中心みたいだけど、イタリア、スペイン、そして日本では階級とは無関係に国民がサッカーを好きなので、そういう国のひとつ、ドイツのサッカーの黎明期の話というのはなかなか興味深いものがあった。

#ちなみに日本でサッカーが市民権を得たのはほんの20年前なんだけれど。

日本社会において長いものに巻かれている人“以外”は自分を勇気づける意味で、あとはまだ社会に出てなくて、日本を変えていける可能性がある子供達に観て欲しいと思うのだけれど、いかんせん、上映館数が少ない(全国で28館)。くだらない映画の上映館数ばかりが多く、興行成績も良いというのがこの国の姿なんだろう。

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この記事へのコメント
ローベルト・コッホかと思った...。
Posted by くっし〜 at 2012年10月02日 22:39
> ローベルト・コッホかと思った...。

時代的にはほとんど一緒ですね。
Posted by buu* at 2012年10月03日 12:43