2012年10月13日

ツナグ

死を取り扱った映画だからなのか、観ている客の年齢層が非常に高い。

死んだ人と生きている人間を再会させる、イタコのような人が主人公。最近はどこかの新興宗教の総裁が今上天皇の守護霊のようなやんごとなき方々を呼び出したりしてカオス状態になっているという噂もあるけれど、この映画で呼び出されるのは普通の人。しかも、口寄せは無料でボランティアだっていうのだから大変だ。エピソードは導入に一つ、アクセントに一つ、クライマックスに一つと合計3つ。これらを論理的破綻なしに語っていくために、ご都合主義の設定が多く、かなり自分勝手な印象を受ける。また、設定のみならず、他にもご都合主義があちこちにあって、それが気になってしまう。突っ込もうと思ったら、多分、両手でも足りないと思うのだが、いくつか書くなら、人が死ぬような大きな事故があったら、ちゃんと調べてみようよ(それも、交通事故ともうひとつと2つもあって、後者は7年も放ったらかし)、とか、そんな聞き間違え、しないだろ、とか、凍ってないならあまりにも偶然が重なりすぎる、とか、お前らホテル代どうしてるんだ、とか、高校生がホテルのロビーで寝ていて誰も文句を言わないとかである。

樹木希林の安定感はさすが。若手もそこそこ頑張っている。だからこそ、脚本と設定の甘さが目に付く。脚本といえば、ストーリーが一本道でほとんどひねりがない。あと、一部、日本語の使い方もおかしかったと思う。

後ろでみていたオーバーシックスティと思われるおばさんたちが笑っちゃうくらいに号泣していたのだけれど、残念ながら僕の涙腺は一度たりとも刺激されることはなかった。評価は☆1つ。

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この記事へのコメント
こんにちは
『ツナグ』を見てきて、どんなレビューが書かれてているのかを検索したところ、ほぼ私と同じ感想を持たれた方を発見しまして、ここに至ります
映画見てきたよ〜と友人たちにメールした時に、まさしく「ツッコミどころ満載やったから、今度聞いて〜」と伝えたものです
しかし、まぁ、設定から現実味のないモノですので、あまり真剣にツッコムのも大人げないかと(笑)希林さんが、詩をうたう(?)のが、なかなか心にしみました 人の生き死には、結局どうにもならないものなので、生をありがたく、授かったとおりに生きていく、というような心地を希林さんの声から受け取りました いちばん理不尽だと思ったのは、7年前に失踪(そして死亡)した恋人を絶対に忘れないと言った彼…私は、生きている人には生きている人が大事だと思っているので、それはない、と思いました 
ではまた
Posted by きなこ at 2012年10月15日 12:53
> 設定から現実味のないモノですので、あまり真剣にツッコムのも大人げないかと(笑)

いや、スター・ウォーズだって、バック・トゥ・ザ・フューチャーだって、設定は現実味がないんです。設定された場の中において、きちんと整合性の取れた脚本を書くのが、脚本家の腕です。

例えば、水道の蛇口をひねったことと、交通事故の因果関係などが代表例ですが、「そんな偶然、あるわけないはず」と思うから、観る側はミスリードされます。ところがそれが「いや、実はそういう偶然だったんです」となればどっちらけです。あぁ、ミスリードする目的でものすごい偶然をでっち上げたんですね、下手くそな脚本だなぁ(あるいは原作かも知れませんが)、となります。

>希林さんが、詩をうたう(?)

ヘルマン・ホイヴェルスの「人生の秋に」にある「最上の業(わざ)」ですね。

http://www.amazon.co.jp/dp/4393216156

"最上のわざ"から一部引用

この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり、
働きたいけれども休み、
しゃべりたいけれども黙り、
失望しそうなときに希望し、
従順に、平静に、おのれの十字架をになう−−。
若者が元気いっぱいで神の道をあゆむのを見ても、ねたまず、
人のために働くよりも、けんきょに人の世話になり、
弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること−−。
老いの重荷は神の賜物。
Posted by buu* at 2012年10月15日 13:39