2012年11月19日

のぼうの城

石田三成の大軍に攻められながら、500騎(3,000だったという説もある)の手勢で籠城し、小田原城が落城するまで持ちこたえた、忍城(おしじょう)の城代、成田長親を描いたもの。

馬にすら乗れず、でくのぼうと言われながらもなぜか人望だけはあったといわれる長親を中心に、忍城の攻防を、史実に基づいて描いているのだが・・・・

この手の「史実に基づく」というのがどの程度基づいているのかが良くわからない。最近観た映画だと、"アルゴ"は「あー、このタイミングとかはうそ臭いけれど、概ね本当なんだろうな」と思うし、"危険なメソッド"も「かなりの部分まで本当っぽい」と思うのだけれど、去年の"ザ・ライト"ぐらいになると、「エクソシストがいるのは事実だろうけれど、それ以外はうーーーん」と思ってしまう。つまり、「事実に基づく」「史実に基づく」というのが、同じ文言であっても、その度合が随分違う気がする。

そして、この作品。長親がでくのぼうだったのは本当だろうが、さて、クライマックスの田楽踊りは本当に史実なんだろうか。2万人の兵を前に踊るって、それは東京ドームの内野スタンドに向かって踊るようなものだ。マイクやスピーカーがない1600年前後に、2万人を前にして肉声を届けることが可能だったのか。2万人全員ではなく、1,000人だったとしても、さて。この映画はとにかくこの点が気になって仕方がない。それまではそれなりに楽しめたのに、肝心要の場面で「あれれ?」と疑問に感じ、ドッチラケになってしまったのである。仮にそれが史実だったとするなら、画面でもっと説得力のある説明をすべきだと思うのだが、この映画では単に空々しいだけだった。本当ならきちんと本当らしく、嘘ならいかにも本当っぽく見せるのが作り手の腕の見せ所だと思うのだけれど、そういったものが欠片もなかった。だから、観ている側の感想は

「こんなこと、できるわけないじゃん」

となってしまう。そういう部分を「実話」という単語でカバーしたかったのかも知れないが、それこそ奇策、しかも、役に立たない奇策である。こんなので騙されるほど観客は馬鹿ではない(と、思いたい)。

TBS開局60週年の記念映画とのことだけど、特撮もお粗末。また、録音も良いとは言えず、役者のセリフが聞き取りにくい。こういうハードの部分でもアラが目立つ。

さらに、ラストの甲斐姫の顛末。これこそ史実通りだけれど、「え?」という感じである。ここも、「え?」と思わせないような表現が必要だと思うのだけれど、これを観た人は納得できるんだろうか?史実はその通りだとしても、それまでの長親の描かれ方との乖離が大きすぎる。長親をデフォルメするのは構わないけれど、それなら首尾一貫したデフォルメが必要で、最後だけ手のひらを返してしまうとあれ?となる。

現代語を巧みに混ぜこぜにして笑いをとる会話パートの処理だけはできが良かったと思うのだが、それ以外ではマイナスポイントが多く、長くてトイレに行きたくなる映画だった。評価は☆半分。

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