2013年03月21日

クラウド アトラス

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マトリックスのウォシャウスキー兄弟がいつの間にかウォシャウスキー姉弟になって監督した作品。原作モノで原作未読だが、映画を観る限りでは非常に映像向きな内容である。

奴隷解放時代から現代をまたぎ、未来までの異なる6つの時代の物語が並列で進んでいく。脚本に異常なまでにこだわっていて、物語と物語のつなぎ方が凄い。これはまもなく公開される「ボクたちの交換日記」で内村光良監督がところどころで見せていた手法をもっと極端かつ徹底的にやっているのだが、本作のあとに「ボクたちの・・・」を観てしまうと、彼此の差に驚いてしまうかも知れない。それくらいに「つなぎ」(=編集)にこだわりぬいている。ただ、手法自体は新しいわけではなく、むしろ古典的で正統的である。

ひとつひとつの物語はそれぞれに楽しめる短編になっていて、未来の韓国の映像などはブレードランナーで描かれたものとも、マトリックスで描かれたものとも異なっていて、「おおっ」と感心する。様々な舞台が用意されているので、カーチェイスなどのお決まりのシーンも最も適切なところに配置されていて、映画のバランスが非常に良い。

流れ星の痣を共通させたり、あるいは役者を5役、6役で重複して使うなど、物語間の連携が密なのも「凝っているなぁ」と思う。徐々に映画そのものの輪郭が明らかになってきて、「なるほどねぇ」という感じで終了する。全部で6つもの物語があるので、必然的に長尺になるのだが、この約3時間、飽きないといえば飽きない。映画で語っているテーマを宗教的な側面から語るなら、キリスト教圏よりは仏教圏において肯定的に受け入れられそうな感じがするのだが、同時に、仏教徒の日本人にはそれほど目新しいものがないような気もする。

性転換して女性になったウォシャウスキー姉(元兄)がやらせたと思われる演出が凄くてニヤニヤしてしまう。それと、アジアの女優が米国映画で活躍するためには脱ぎっぷりが重要だな、と思った。本作のペ・ドゥナとか、菊地凛子とか。

長尺で難解な、眠くなるような映画を覚悟していたのだけれど、複雑でもなく、わかりにくくもなく、眠くもならない映画だった。ただ、感動するわけでもなく、何かが小骨のようにひっかかるわけでもなく、これなら横道世之介の方が個人的には好みだったりする。

評価は☆1つ半。

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