2013年04月08日

ジャンゴ 繋がれざる者

django


相変わらずタランティーノ風味(良い意味で)である。音楽、BGMや効果音の使い方、ズームの使い方、カメラアングル、暴力描写などが独特で、さまざまな演出手法を熟知した上で、誰にも真似できないような自分らしさをきちんと構築しているところがこの監督の素晴らしいところである。イングロリアス・バスターズも凄く楽しかったけれど、

参考:http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50949029.html

なんというか、映画ファンが映画ファンのために撮りました、というのがきちんと伝わってくるのだ。編集が粗いところもあるのだが、それもわざとで演出のうち。ちょっと違和感があったりするのだが、そのもやもやするところも監督の狙いなんだろう。さすがにララさんの退場シーンは「ワイヤーを引っ張る方向が全然違うんじゃないの?」と感じたけれど、これはご愛嬌。

ストーリーや脚本もきちんとしている。1850年あたりのアメリカ南部という「何でもあり」の舞台を設定して、ドンパチを繰り広げる。「スピルバーグが「リンカーン」を撮るなら、俺は俺で奴隷制度を取り上げてやる」と考えたかどうかは知らないけれど、切り口がタランティーノらしくて良い。馬車の上の歯がぐらぐら揺れるのが非常にユーモラスなのだが、他にも覆面軍団による襲撃シーンを始めとしておかしな会話が何度も繰り広げられ、緊張感だけではないところも良い。色々なアイデアが盛り込まれた脚本だと思う。

掛詞のセリフを原語に忠実に、かつ観客にわかりやすく字幕にしていたので、「あー、丁寧な仕事だなぁ、この間の町山さんが監修した「テッド」での字幕もこんな感じでもうちょっと原語を活かせば良かったのになぁ。これ、松浦美奈さんかなぁ?」と思っていたら、字幕は松浦美奈さんで、歌詞は町山さんで、両方の名前が出てきた(笑)。

観終わって何が残るの?といわれると返事に困ってしまう。単に、楽しい3時間を過ごしただけである。苦痛な3時間の後に教訓が残る映画もありだけど、こういう映画があっても良いと思う。評価は☆2つ半。

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