2013年04月09日

TOEICに関する雑感

先日、こんな記事がYahoo!のトップに掲載されていたのだが、

TOEIC高得点社員の英語力ギャップ なぜ?人事担当者もビックリ
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130408-00000500-biz_san-nb

中身を読んだら、四月馬鹿かという内容が書かれていて驚いた。いわく、

企業の選考においてTOEICで高いスコアを保持していることは、就活において非常に有利と考えられています。大手電機メーカーや素材メーカーの人事担当者から聞いた話に依ると、内定者の多くは就活時点で750程度のスコア(最高点が990)を保持していると言っています。 実際に、武田薬品工業では、応募条件にTOEIC730点を基準として設けています。こういった傾向は企業全般に言えることです。しかし、入社後の実体を聞いてみると、TOEICのスコアは高いが英語でビジネスメールが書けなかったり、英語圏の外国人との会話ができなかったりするらしく、企業の人事担当者も頭を抱えているそうです。


とのことなのだが、「大手電機メーカーや素材メーカーの人事担当者」に本当に話を聞いたんだろうか?フィクションじゃないの?TOEICって、ほぼヒアリングだけの試験で、TOEICの点が高くてもビジネスメールが書けないのは普通の話。人事担当者が本気で入社希望者の英語力を試したいと思うなら、TOEICなんか参考にせず、自分が英語で面接すれば良いだけのこと。大体、ここに出てくる750とか、730なんて数字は、ビジネスでは全く参考になる値ではない。TOEICなど、ビジネスにおいては900未満はゴミである(900以上がゴミではないということではない)。

資格試験というものは、「資格試験のためにこれだけ勉強しました」という努力を証明するだけのものである。例えば僕はバイオ技術者認定試験なんていう資格を持っているが、この資格のためにやった勉強はゼロである。受験料を払って、試験を受けて、合格した。では、その資格がこれまでの人生で何かしら役に立ったかといえば、何の役にも立っていない。履歴書に書いたことすらない。なぜこの資格が僕にとって全く役に立たないかって、それは僕がこの資格を取るために何の努力もしていないからだ。この程度の資格なら目をつぶっていても合格することは、僕も、周りの人間もわかっているから、僕がこの資格を持っていても何の意味もない。同様に、「こいつは英語ができる」というのは資格の有無に関わらずわかることで、TOEICの点数など、「TOEICのために勉強を頑張った」ことしかわからないのである。もちろん、ビジネスで利用できるくらいに英語ができる人間がTOEICを受けることもあるが、それは僕がバイオ技術者認定試験を受けたのと同じである。TOEICなど、実社会ではそのくらいの意味しかない。民間企業でTOEICを受けさせる会社があるし、中央官庁でも役所内で試験を実施したりしているけれど、これなども「勉強しました」という目印なだけで、だから給料が上がるかといえばそんなことはない。仕事で役に立たないなら、TOEICが950点だろうが、会社に対しての貢献はゼロである。

自民党が「TOEFLの成績を大学受験資格に」などと言っているようだが、これもまた疑問である。英語力は海外生活が長ければ必然的にアップするもので、必要以上に英語力を評価することは、クラスの固定化につながる。子供に海外生活をさせるような家庭は、一般論として日本社会においてはそれなりに上層に位置する家庭で、子供の英語力を必要以上に評価することは、裕福な家庭の子供に偏重して高等教育を受けさせることになりかねない。

ここ数年、英語力ばかりが取り沙汰されるけれど、僕がやばいと感じるのはむしろ日本人の日本語力の方である。日の出テレビの政治家たちですら、平気でら抜きなどの間違った日本語を使い、それを指摘されても修正することをしない。日本語を大事にしない人間が日本を大事にするとは思えないのだが、日本人自体が日本語を大事にしていないのだから、その代表である政治家が日本語を大事にしなくても、当たり前である。僕なら、ら抜きを使うだけで投票しないのだけれど、そういう人間はマイノリティなのだろう。

この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
全くもってその通りだと思います。
“日常会話に不自由しない→TOEIC730くらい”と良く言われますが、その逆は真ではないということに気づかない人が多いのですね。
この記事を目にして、昔働いていた外資系企業のインタビューでアメリカ人上司に“What's TOEIC?”と尋ねられたことを思い出しましたw
彼曰く、「お前、俺と話してるんだから大丈夫だよ。俺TOEICが何か知らないし。」
Posted by junjun at 2013年04月09日 18:42
> “日常会話に不自由しない→TOEIC730くらい”と良く言われますが、その逆は真ではないということに気づかない人が多いのですね。

「資格とは何なのか」をわかっていない人が多すぎるのです。資格をありがたがる日本人が多い、ということでもあるのですが。おかげで「資格を取ればなんとかなるんじゃないか」と思って、努力して、あとでがっかりするのです。
Posted by buu* at 2013年04月09日 23:59