2013年06月20日

二流小説家

原作が洋物で、その映画化が日本というちょっと毛色の変わった作品である。

連続猟奇殺人で収監されている囚人の依頼で小説家が取材をしていると、その取材先で同じ手口の殺人が次々と発生する、というミステリーなんだけれど、脚本がずさんで途中で飽きてくる。特に何者かに主人公が狙われるあたりからの退屈具合が凄い。何がダメかといえば、犯人の写真に対するこだわりが全く伝わってこないのだ。他にも、発生する殺人の動機がどれもこれも曖昧で、「何で殺しちゃったの?」となる。また、緊迫するシーンでは今まで役に立ちそうになかった登場人物が物凄い洞察力とドライビングテクニックを披露したり、これは笑うところですか?と確認したくなる。また、意味不明に山奥に入っていくあたりも何ら必然性がなく(だから意味不明なんだけど)、「?」となる。

他にも演出には難があって、特にホラー映画調の音楽がしつこい。あと、モノクロに赤だけカラーにする演出が「またか」という感じ。

かように、脚本と演出はダメなところが多かったのだが、役者の演技はなかなか良かったと思う。特に囚人役の武田真治は非常に良い味を出していて、「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェルばりだった。藁の楯も彼がやっていたら面白かったかも知れない。

ダメな映画でもダメなりにツッコミどころがあって楽しめる映画もあるのだけれど(アマルフィとか、ヤマトとか)、この映画は特にツッコミどころもなく、単にダメなだけの三流映画だった。

評価は☆ゼロと言いたいところだが、武田真治の演技にプレゼントして☆半分。

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