2013年07月02日

さよなら渓谷

真木よう子ファンとしては見逃せない作品だったので、公開後すぐに観てきたのだけれど、観ていてすぐに「あれ?」となった。広告で書かれている重要な事実が、なかなか明かされないのである。こ、これは・・・。ネタバレ広告が最悪の一言に尽きる。PR担当者は脳みそが腐っているのだろう。このレビューを読んだ人はすでにネタバレ広告を読んでしまっている可能性が高いのだが、良くクリエイターサイドがこんな広告手法を許したな、と思う。観る側としては1,800円を返せ、という気分である。

映画は、ちょっと音楽の使い方が演出過多で、正直鼻につく。日本映画的な、ところどころで音楽を挿入していくやり方なのだが、突然ボリュームがアップしてパタッと止む、の繰り返しで、そのあたりがどうなのかな、と。あくまでも好みの問題なんだろうし、監督は意図的にこういう演出手法を選択しているので、こういう個性が好きな人もいるんだと思う。僕はあまり好きではない。これは音楽だけではなく、シーンのつなぎ方でも同じで、ちょっと僕には合わない感じがした。

原作未読だが、原作はそこそこ長編のようなので、小説で書かれていたことはほとんどが省かれているはずで、それで的確に小説の記述をきちんと表現できていたかは原作を読まないとわからないのだけれど、映画を観た限りでは、雑誌記者の二人の能力差がありすぎて、これじゃぁ渡辺がかわいそうだなぁ、と感じた。それと、ラスト。「最後にひとつだけ」と質問したくなる渡辺の気持ちがさっぱりわからなかった。小説で読めばそれが伝わるのかも知れないのだが、映画で観る限り伝わってこないのであれば、映画としては失敗だったと思う。この映画、尾崎とかなこはどうやったって描けるはずで、問題は渡辺をどうやって描くかがポイントだったはず。しかし、体育会系という設定も、妻との関係も、消化不良だったと思う。わざわざ靭帯の再建手術の跡を見せたり、色々と伏線を張ったはずなのに、それらが役に立たずに空回りしていた。

役者の演技は大部分はなかなか良かったと思う。ひとり、渡辺を演じた大森南朋の除いては。兄が監督ということで、使い方がおかしいということはないんだと思うのだが、どうもしっくり来かった。脚本が悪いのか、演出が悪いのかはちょっとわからないのだが。最大の目的だった真木よう子は良い演技を見せていた。演技の質という意味でも、幅という意味でも、世代を代表する役者だと思う。ただ、歌唱力は・・・。これは「朧の森に棲む鬼」でも感じたのだけれど、もうちょっと頑張りましょう、という感じだった。

良いところと悪いところが混在していて、評価が難しい映画だと思うのだが、☆は2つにしておく。

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