2013年07月12日

親知らずを抜いてわかったこと

先週の木曜日に三本目の親知らずを抜いた。これで、僕の体からは親知らずが全部抜かれたことになる。一本目は左上、二本目は右上、そして三本目が左下だった。右下は幸いな事に最初から存在しなかった。

今、三本目を抜いてから一週間だが、まだ痛み止めと抗生物質を飲んでいる。上の二本を抜いたときはすぐに痛みが解消したのだが、下の歯はちょっと長引いている。この点については最初から歯医者で説明があったので、予定通りである。上の歯を抜いたときは出血が一晩続いたのだが、下の歯は大丈夫だった。良く考えてみたら、下の歯を抜いたあとは縫ったので、そのおかげかもしれない。

一本目を抜くときは、ちょっと時間がかかった。歯自体はまっすぐに生えていたのだが、歯茎にしっかりと食い込んでいたのか、30分ぐらいかかった気がする。二本目は一回目のことがあったのである程度覚悟していた。事前に「斜めに生えていて、半分埋もれているので、抜きにくいかもしれません。歯を割って抜くかもしれません」と説明されていて、「あーーー、次は長丁場だな」と思っていたのだが、実際には一本目よりもずっと簡単だった。結局歯を分割して抜いたのだが、時間は10分ぐらいだったと思う。そして、三本目だ。かかった時間は約80分。これはかなり大変だった。歯を分割して抜いて、抜き残しをチェックして、といった感じで、診察台に寝ているだけでも腰が痛くなってくるほどだった。「早くしてくれー、このヤブ医者!!」と思ったほどである。ただ、抜いてみて、支払いをしてみて、「歯医者って、損な仕事だなぁ」と感じた。

親知らずの抜歯の状況に関するまとめ
(場所:歯の状態:抜歯の所要時間:抜くときの方法:縫合:出血:痛みの残り具合)
左上:まっすぐ:30分:そのまま:なし:一晩:2日程度
右上:斜め埋没:10分:2分割:なし:一晩:1日程度
左下:斜め埋没:80分:4分割:2針:なし:5日程度


実際には、歯を抜くこと自体はそれほど痛みがあるわけではない。麻酔の注射の痛みが中心で、抜いている最中に痛い場合はそれを伝えるだけで麻酔を増量してくれる。むしろ痛いのは、麻酔が切れた後である。これは多分、歯医者の技術よりも、歯の生え方によるんだと思う。そりゃぁ、抜き方にもうまい、下手はあるだろうが、顎の骨にがっちり食い込んだ歯を引き剥がすなら、誰がやってもそれなりに影響はあるはずだ。にも関わらず、「歯医者は痛い」というイメージを持ってしまう。

加えて、以前、友人の誰かが、「悪くなっていない親知らずを抜くなんて信じられない」という主旨の発言をしていたことを思い出した。僕の場合、親知らずの周囲の歯や、親知らず自体が虫歯になっていたので抜いて当然なのだが、親知らず自体は不要な歯なので、「将来周囲の歯に悪影響をおよぼすかも知れない」という理由で親知らずを抜くこともあると思う。しかし、自分が抜くまでは、彼女の「信じられない」という意見に僕も賛同していた。そして「親知らずを抜きたがる歯医者は金儲けがしたいだけなんだろう」と考えていた。でも、これは誤解だったと気がついた。このことには実際に歯を抜くまで気が付かなかったことなので、まだ親知らずを抜いていない人に対して書いておきたい。

今回、三本目の親知らずを抜くのにかかった費用は薬代を入れても4,000円/本程度である。一時間びっちり歯医者がつきっきりであたって、衛生士や助手がついて、である。保険を使っているけれど、歯医者に入るお金はせいぜい1万円である。その上で、患者は抜歯に対して「大変な思いをした」「痛かった」というネガティブな印象を持つ。抜いたあと、必ず身の回りの人間に「親知らずを抜いたけれど、大変だった!」と感想を述べる。痛くない歯を抜いて、ここまでネガティブに思われてしまうのは本当に損な役回りだ。僕が歯医者なら「放置しておいて大丈夫です」「どうしても抜きたいなら別の歯医者で抜いてもらってください」と言いたくなるところである。それほど儲かるわけでもなく、患者から恨まれてまで親知らずを抜くことはないのだ。

じゃぁ、なぜ歯医者は親知らずを抜きましょうと言うのか。多分、患者のことを考えているからだと思う。患者のこと、患者の歯の将来的な健康のことを考えてくれているからこそ、「親知らずを抜きましょう」と言ってくれているのだ。彼らは、進んで貧乏くじを引いてくれているのである。僕は三本の親知らずを失った代償として、このことに気がついた。

歯医者で「親知らずを抜きましょう」と言われたら、その歯医者は良い歯医者である可能性が高いと思う。

#ただし、良い歯医者だからといって、腕が良いとは限りません(笑)
##抜くのが大好きで、抜きたくて抜きたくて仕方のない歯医者さんの存在を完全に否定するわけではありません(^^;

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