
演目は知っていたけれど、そのまんま夢枕獏の原作ものだった。歌舞伎になっても本の雰囲気はかなり再現されていたと思う。特に葉二(はふたつ)が実際の音として表現されていた点はさすがに歌舞伎という感じである。映画にもなった陰陽師だけれど、漫画よりも、映画よりも、歌舞伎のフォーマットがフィットすると思う。
今回は3階の最前列での鑑賞だった。

役者の評価は染之助◯、勘九郎◯、七之助◯、菊之助◎、愛之助◎、海老蔵△、松緑◯、亀蔵◎といった感じ。何より残念だったのが海老蔵演じる平将門の迫力のなさで、声が全く届かない。他の役者たちの声はきちんと聞こえるのに、何かぼそぼそ語っているようにしか見えない。加えて、動作に貫禄がない。その将門が重要な役なので、全体が腰砕けしてしまった感がある。これ、もうちょっと前の方の席で観ればまた違った感じなのかな?でも、3階席でも6,000円なんだけど・・・。あと、染五郎と勘九郎の晴明、博雅のコンビはまぁありかな、と思いつつも、20年の時間の経過が演技からほとんど感じることができず、そこはもうちょっと何とかならないものかなぁ、と思った。
余談だが、僕は原作本も漫画も読んでいるので問題ないのだが、普通の歌舞伎ファンの人たちが見て、式神とか、理解できるんだろうか。
