2013年10月30日

特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」

東京国立博物館で特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」をやっているので、すいている(はずの)平日の昼間に観てこようと思い、出かけてきた。ところが、全然すいてない。







また、展示物が異常に細かい書き込みをされている作品なので、観ている人たちの足が異常に進まない。挙句、並んでいるところにどんどんジジイやババアが横入りしてくるので、いつまで経っても列が進まない。博物館の係員の無能っぷりが酷く、作品を観るどころの騒ぎではない。

とうとう、マスクのおじさんがブチ切れて「何を延々と立ち止まっているんだっ!お前らだけが観てるんじゃないんだよ!明日になるぞ」と怒鳴り出す始末。「良く言った」と肩を叩いてやろうと思ったのだが、距離があまりにもあって実現できなかったのだが残念だ。そのトラブルの最中も係員はオロオロするばかりで、本当に使えない。

絵の前に柵を作って、前は近くで観ることができるけれど、さくさく動かなくてはならない列、後ろはじっくり観て良いけど、距離があるから、双眼鏡やオペラグラス持参でよろしく、みたいなやり方をすれば良いのに、そういう知恵はないらしい。

おまけに、前期と後期に分かれていて、折角観に行ったのに、写真でしか観ることができない作品があった。これがサントリー美術館の鳥獣戯画展というのならまだ納得もできるのだが、国立博物館でこれはないだろう。舟木本はさすがに前期後期を通じて観ることができるようだが、上杉本はなんと前期だけである。しかも、このことが告知されているのは公式ウェブサイトの、かなり深いところである。

開催概要を見ても、「上杉本は前期のみ」という記述は見当たらない。書いてあるのは前期と後期があるということだけだ。

公式サイト開催概要
http://www.ntv.co.jp/kyoto2013/outline/index.html

トピックスの26日の記事までほじくり返せば出てくる情報だけど、これは情報の隠匿ではないのか?ちなみに前期のみ、後期のみの作品はこんなにある。

前期のみ鑑賞できる作品
1.国宝「洛中洛外図屏風 上杉本」狩野永徳筆 米沢市上杉博物館蔵
2.重文「洛中洛外図屏風 歴博乙本」国立歴史民俗博物館蔵
3.重文「洛中洛外図屏風 勝興寺本」勝興寺蔵
4.重文「賢聖障子絵」(右半分10面)狩野孝信筆 仁和寺蔵
5.「唐人物図屏風」狩野孝信筆 仁和寺蔵
6.「唐人物図屏風」狩野甚丞筆 仁和寺蔵

後期のみ鑑賞できる作品
1.重文「洛中洛外図屏風 歴博甲本」国立歴史民俗博物館蔵
2.重文「洛中洛外図屏風 福岡市博本」福岡市博物館蔵
3.重文「洛中洛外図屏風 池田本」林原美術館蔵
4.重文「賢聖障子絵」(左半分10面)狩野孝信筆 仁和寺蔵
5.「牡丹図襖」狩野孝信筆 仁和寺蔵

作品は楽しめたけれど、東京国立博物館、日本テレビ放送網、読売新聞社のクソっぷりが際立つ特別展だった。

ちなみに、この特別展を観るにあたっては、山口晃さんの「ヘンな日本美術史」の第三章、第四章あたりを読んでおくと、一層楽しめると思う。あと、11月4日までに行かないと、同書で取り上げられている上杉本を観ることができない。これは大損なので、ぜひ、4日までにどうぞ。



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